『サピエンス全史』で読む歴史

概要
ハラリが人類史を三つの革命で切った本。その筋に沿って、このデータベースの項目を並べ直す。
この物語について
『サピエンス全史』(ユヴァル・ノア・ハラリ、2011年、日本語版2016年)は、人類の歴史を三つの転換点で区切る。約7万年前の認知革命、約1万2000年前の農業革命、約500年前の科学革命になる。取るに足らない一種の動物だったホモ・サピエンスは、なぜ地球を支配するまでになったのか。それが本の問いである。

筋はこうなる。言葉が「無いもの」を語れるようになったとき、見ず知らずの大人数が同じ物語を信じて協力できるようになった。国も、お金も、法も、会社も、その物語の一種にすぎない。農耕は人を豊かにしたのではなく、麦のほうが人を飼い慣らしたのだと言う。お金・帝国・宗教の三つが、ばらばらだった人の群れを一つの世界へ寄せていった。そして「知らない」と認めたところから科学が始まり、資本と帝国と結びついて、この500年の加速が起きた。
この物語は、その本が取り上げたできごと・人物・国を、このデータベースの側から並べ直したものになる。各項目の役どころには、本がそれをどう使っているかを書いた。できごとのページには、扱っている章を史料として付けてある。本文は写していない。ここにある文章はすべてこのデータベースのために書いたものになる。

本の第1部は、サピエンスが特別な生き物ではなかったところから始まる。約30万年前にアフリカで現れたとされる私たちの種は、長いあいだ、ほかの人類の種と並んで暮らしていた。ヨーロッパと西アジアにはネアンデルタール人が、アジアにはデニソワ人が、インドネシアのフローレス島には小柄なフローレス原人がいた。火を使って食べ物を料理できるようになったことで、消化に使う腸が短くなり、そのぶん大きな脳を養えるようになった、という筋を本は紹介している。アフリカの外へ出ようとした最初の試みは、うまくいかなかったともいう。
転機を本は認知革命と呼ぶ。約7万年前から、サピエンスは見たことのないもの、存在しないものについて語れるようになった。ライオンの頭を持つ人の像のように、想像したものを形にした品が現れるのもこの頃である。神や部族の祖先の霊といった共通の物語を信じることで、互いを知らない何百、何千もの人々が協力できるようになった、と本は論じる。そのあとサピエンスは世界中に広がり、ほかの人類の種は姿を消した(ネアンデルタール人の消滅)。交配したのか、追いやったのか、本はどちらの説も紹介している。いまのヨーロッパやアジアの人々の遺伝子には、ネアンデルタール人の遺伝子がわずかに混じっている。

サピエンスが新しい土地に着くと、大きな動物が消えた。本はこれを、人類が引き起こした大量絶滅の最初の波として描く。オーストラリアへの渡海(サフルへの渡海)のあと、大型の有袋類がいなくなり、アメリカ大陸でもマンモスや大型のナマケモノが消えた。ニュージーランドでは、13世紀ごろに人が着いてから二百年ほどのうちに、巨大な飛べない鳥モアが絶滅した。気候の変化の影響をどこまで見込むかには研究者のあいだで議論があり、本の見方はその一つである。なお、本はサピエンスのオーストラリア到達を約4万5000年前とするが、オーストラリア北部のマジェドベベの遺跡の測定は約6万5000年前という年代を出している。そういう差は、直さずに両方書いた。
第2部は農業革命である。本は農耕の始まりを「史上最大の詐欺」と呼んだ。農民は狩猟採集民より長く働き、栄養は偏り、病気は増えた。それでも人の数は増え、増えた人は元の暮らしに戻れなくなった。小麦がサピエンスを家畜にしたのだ、という言い方はこの本でいちばん知られた一節の一つである。ギョベクリ・テペの石の神殿が農耕より先に建っていたことを、本は信仰が人を集め、それが農耕を促したかもしれない例として挙げている。
大勢が集まって暮らすようになると、物語だけでなく帳簿が必要になった。メソポタミアの楔形文字は、王の偉業ではなく、穀物の出入りを記すために生まれた。本はここで、前18世紀のハンムラビ法典と1776年のアメリカ独立宣言を並べて読む。前者は人を上層民・一般民・奴隷に分け、後者はすべての人は平等に造られたと言う。どちらも、多くの人が信じることで成り立つ「想像上の秩序」であり、自然の中に客観的な根拠があるわけではない、というのが本の主張である。大西洋の奴隷貿易のなかで作られた人種という序列も、その想像上の序列の一つとして扱われる。
第3部は、人類の統一である。本は、お金と帝国と宗教の三つを、ばらばらの群れを一つの世界へ寄せた力として挙げる。お金は、見知らぬ人どうしが信頼し合うための、最も普遍的な仕組みだという。小アジアのリュディアで作られた刻印つきの貨幣(リュディアの鋳造貨幣)は、その歩みの節目として描かれる。帝国については、アッカドのサルゴンを最初の例とし、ペルシアのキュロス2世を、征服した民すべてのために治めると称した最初の王として挙げる。秦の始皇帝は度量衡と文字を揃え、ローマは征服した人々をやがてローマ人にした。帝国はしばしば残酷だったが、いまの私たちの文化の多くは帝国の遺産だ、と本は言う。
宗教について、本は神々の多い宗教から一神教への流れをたどり、善と悪の二元論を持ち込んだザラスシュトラや、一時は世界宗教になりかけたマニ教にも触れる。ブッダの教えは、神々ではなく自然の法則に重きを置く宗教として扱われる。さらに本は、自由主義、社会主義、そしてナチズムのような進化論を人間に当てはめた思想まで、近代の主義を「宗教」の一種として論じた。なぜユダヤ教の小さな一派だったキリスト教がローマ帝国の宗教になったのかについては、歴史にはしばしば説明しきれない選択がある、という例として挙げている。

第4部の科学革命を、本は「無知の発見」から語り始める。それ以前の人々は、知るべきことは聖典や古の賢者がすでに知っていると考えていた。1620年、フランシス・ベーコンは『ノヴム・オルガヌム』で、知識は力であると説いた。本が象徴的に挙げるのは、地図の空白である。1492年にコロンブスの到達を果たしたコロンブスは、最後まで自分がアジアに着いたと信じていた。一方、アメリゴ・ヴェスプッチは、そこが知られていなかった大陸だと書いた。その大陸は彼の名で呼ばれるようになる。同じ頃、明の鄭和はコロンブスよりはるかに大きな艦隊でインド洋を渡ったが、何も征服しなかった。なぜヨーロッパだったのか、という問いに、本は科学と帝国と資本の結びつきで答えようとする。
その結びつきの例が並ぶ。クックの太平洋航海は、植物学者バンクスら科学者を乗せた軍艦の旅で、その帰結の一つがオーストラリアへの入植だった。ナポレオンはエジプト遠征に、160人あまりの学者を連れて行った。資本主義の章の主役は、1602年のオランダ東インド会社の設立である。株式会社という仕組みで多くの人から資金を集め、オランダという小国が海の帝国を築いた。信用が崩れればどうなるかの例として、18世紀のフランスのミシシッピ会社のバブルが挙げられ、株主の利益のために国が戦争をした例としてアヘン戦争が挙げられる。
産業革命を、本はエネルギーの変換の革命として捉える。蒸気機関は熱を動きに変え、人と家畜の筋肉に頼っていた世界を変えた。鉄道が走り出すと、町ごとに違っていた時刻を揃える必要が生まれ、標準時ができた。時間までが、産業の都合で決められるようになった、と本は書く。

本は科学と国家の結びつきの頂点として、1945年7月のトリニティ実験を置く。人類は、自らを滅ぼせる力を初めて手にした。その後、広島と長崎への原爆投下を経て、大国どうしが正面から戦うことは割に合わなくなった、と本は見る。DNAの二重らせんの発見は、生命そのものを設計し直す時代の入口として扱われる。アポロ11号の飛行士たちが、月へ行く前にアメリカ西部の砂漠で訓練していたとき、先住民の老人に出会ったという逸話も本の中にある。
最後に本は、豊かになった私たちは昔より幸福になったのか、と問う。そしてサピエンスが、遺伝子工学や人工知能によって、自らを別の何かに作り変えようとしていることに目を向ける。この本の大づかみな筋立てと断定的な語り口には、専門の研究者から批判もある。それでも、ばらばらの年表の項目を、人が何を信じて協力してきたかという一本の糸で読み直してみせたところに、この本の持ち味がある。このデータベースの項目を、その糸に沿ってたどってみてほしい。
動画(5)
この物語が起きた場所
筋(100)
年代順に並べてあります。役どころが書いてあるものは、なぜこの物語に含まれるかを添えました。
- 火の使用できごと約100万〜40万年前(炉が日常のものになるのは40万年前ごろ)火で料理できるようになって、腸が短くなり脳が大きくなった、という筋100万年前の洞窟に焼けた骨と灰が残る。炉が日常のものになるのは40万年前ごろで、火は食べ物を柔らかくし、夜を長くし、猛獣を遠ざけた。ワンダーワーク洞窟

- ホモ・サピエンスの出現できごと約30万年前(ジェベル・イルード)〜20万年前(オモ・キビシュ)第1章。取るに足らない動物だった時代2017年、モロッコの骨が30万年前と分かり、種の年齢は10万年伸びた。どこか一か所で生まれたのではなく、アフリカのあちこちで並行して形になった、という見方に変わりつつある。ジェベル・イルード
- デニソワ人できごと約20万年前から第1章。人類種は一つではなかった小指の骨一つと奥歯からゲノムが読まれ、誰も姿を見たことのない人類種が見つかった。ニューギニアやフィリピンの人の遺伝子に数%が残っている。デニソワ洞窟
- 最初のアフリカ外進出できごと約18万〜9万年前(ミスリヤ/スフール・カフゼー)一度目は失敗しているレヴァントまで出た集団は、そこで途絶えたらしい。いまアフリカの外にいる人のほとんどは、ずっとあとの一度の出立の子孫になる。カルメル山の洞窟群(位置は特定されていない)
- 認知革命できごと約7万年前〜3万年前第1部の主題。ここから「歴史」が始まると本は言う言葉が、目の前に無いものを語れるようになった。虚構を共有できれば、見ず知らずの数百人が協力できる。ハラリはここを人類史の起点に置く。ブロンボス洞窟
- サフルへの渡海できごと約6万5000年前(5万〜7万年前と幅がある)本は約4万5000年前とする。この年表の測定値とは2万年ずれる氷期でも、この海は陸続きにならない。最低でも数十kmを船で渡ったことになる。人類が意図して外洋を越えた、最も古い証拠になる。マジェドベベ
- フローレス原人の消滅できごと約5万年前人類種は一つではなかった、という第1章の例身長1mほどの別の人類が、インドネシアの島に住んでいた。サピエンスがこの海域に着くころに姿を消す。2003年まで誰も知らなかった。リアン・ブア洞窟
- オーストラリアの大型動物の絶滅できごと約4万5000年前人類が最初に引き起こした大量絶滅、と本は見る体重2トンの有袋類も、5mを超えるトカゲも、人が着いてから数千年のうちに消えた。気候のせいか人のせいか、いまも決着していない。カラボナ湖(位置は特定されていない)
- ネアンデルタール人の消滅できごと約4万年前滅ぼしたのか混じったのか。本は両説を並べ、混じった証拠が出た直後に書かれている30万年ヨーロッパに住んだ人類が、サピエンスの到来から数千年で消えた。滅ぼしたのか、混じったのか。いまの人の遺伝子に数%が残っている。ジブラルタル
- ライオンマン像できごと約4万年前実在しないものを想像した最古の証拠として引かれるマンモスの牙を彫った、獅子の頭を持つ人。実在しないものを形にした、いま知られている最も古い証拠になる。ホーレンシュタイン・シュターデル洞窟
- ショーヴェ洞窟の壁画できごと約3万6000年前狩猟採集民が何を信じていたかは分からない、という章の例馬、獅子、犀、そして壁に押し当てた手。1994年の発見時、これほど古いとは誰も信じなかった。描いた人が何を思っていたかは、分からないままになる。ショーヴェ洞窟
- イシャンゴの骨できごとBC1万8000年頃コンゴ東部の湖畔で、ヒヒの腓骨が見つかった。長さは十センチほどで、先端に石英の破片が埋め込まれ、彫るための道具だったと見られる。側面に刻み目が三列。それぞれの列の数には規則らしきものがあり、素数の並びだ、十進法の掛け算だ、月の満ち欠けを数えたものだと、さまざまに論じられてきた。どれも決め手がない。確かなのは、二万年前の誰かが、何かを一つずつ刻んで数えたことである。数えた対象は、失われた。イシャンゴ(位置は特定されていない)
- アメリカ大陸への到達できごと約1万6000年前(2万3000〜1万5000年前と幅がある)数千年で大陸の南端まで達したシベリアからアラスカへ渡り、数千年で大陸の南端に達した。人類が住み着いた最後の大陸で、ここから先は海の島だけになる。モンテ・ベルデ
- アメリカ大陸の大型動物の絶滅できごと約1万2500年前オーストラリアと同じことが繰り返された、という筋マンモス、地上性のナマケモノ、剣歯虎。人が着いてから2000年ほどで、大型哺乳類の属の大半が消えた。オーストラリアで起きたことが、もう一度起きている。ブラックウォーター・ドロー
- ギョベクリ・テペできごと紀元前95世紀神殿が先で村が後だった可能性。本は農耕の動機を宗教に求める材料にした農耕が始まる前に、狩猟採集の人びとが巨石を立てて何かを建てた。神殿が先で村が後だった可能性が出てくる。ギョベクリ・テペ
- 農耕の始まりできごと紀元前90世紀史上最大の詐欺、と本は呼ぶ。個人は貧しくなり、種としては増えた麦を蒔き、羊を囲った。栄養は偏り、身長は縮み、病気は増えた。それでも人口は桁違いに増える。肥沃な三日月地帯(位置は特定されていない)
- チャタル・ヒュユクできごと紀元前71世紀数千人が住んで王の家が無い町道が無く、屋根の上を歩いて天井の穴から家に入る町。数千人が住んだが、王の家らしきものが見つからない。チャタル・ヒュユク
- ウルク。都市というものの始まりできごと紀元前35世紀大人数の協力には帳簿が要る。文字はここで生まれた数万人が城壁の中に住んだ。分業も神殿も官僚も、ここで一度に現れている。ウルク
- 楔形文字の成立できごと紀元前32世紀最古の文書に残る名は王ではなく会計係のものだった、と本は指摘する最初に書かれたのは詩でも法でもなく、麦とビールの帳簿だった。文字は数えるために生まれている。ウルク
- アッカドのサルゴンできごとBC2334年頃本が最初の帝国として挙げる複数の都市国家を一人の下に置いた。記録に残る最初の「帝国」とされる。アッカド(位置は特定されていない)
- サルゴン人物在位 BC2334年頃(年代には幅がある) – BC2279年頃複数の都市国家を一人の支配下に置いた。記録に残る最初の「帝国」とされる。出自の伝説は聖書のモーセの話に似ている。
- 『ギルガメシュ叙事詩』できごと紀元前21世紀不死を探して手ぶらで帰る話。本の終章は死を克服する試みを「ギルガメシュ・プロジェクト」と呼ぶ記録に残る最古の文学。友の死を受け入れられず、不死を探しに行って手ぶらで帰る話になっている。ニップル

- ハンムラビ人物BC1810年頃 – BC1750年頃メソポタミアを統一し、法を石碑に刻んで公開した。条文は282条に及ぶ。
- ハンムラビ法典できごとBC1754年頃アメリカ独立宣言と並べて、どちらも想像上の秩序だと論じる282条を石碑に刻んで公開した。刑罰は身分によって差があり、目には目をの原則で知られる。バビロン
- ザラスシュトラ人物不明(BC1500年頃からBC600年頃まで諸説) – ?善と悪の二元論を持ち込んだ善と悪が争い、人はどちらに与するか選べると説いた。死後の審判という考えは、のちのユダヤ教・キリスト教・イスラームにも影を落としている。
- ローマ国紀元前8世紀(伝承ではBC753年) – (続く)帝国の章の中心。征服された側がやがてローマ人になるラティウムの一都市から地中海全域を支配する帝国へ。共和政のまま版図を広げ、内戦を経て帝政に移った。
- リュディアの鋳造貨幣できごとBC7世紀後半貨幣の章。誰もが信じるという一点で最強の信頼の仕組み金と銀の合金に刻印を打ち、重さを量らずに数えて使えるようにした。市場での取引が速くなり、税も給金も数で払えるようになる。サルディス
- キュロス2世人物BC600年頃 – BC530年すべての民のために統治すると言った最初の王、と本は書くアケメネス朝の創始者。バビロンを無血で降し、捕囚のユダヤ人を故地へ帰した。
- アケメネス朝ペルシア国BC550年 – BC330年キュロスの帝国。普遍を掲げた最初の例エジプトからインダスまでを収めた最初の世界帝国。ギリシアへの遠征に失敗し、最後はアレクサンドロスに滅ぼされた。
- 釈迦の悟りできごとBC528年頃(年代に諸説あり)神の無い宗教として、宗教の章で大きく扱われる菩提樹の下で苦の原因と、そこから離れる道に到った。年代は南伝と北伝で1世紀近く違う。ブッダガヤ
- ゴータマ・シッダールタ人物BC463年頃(BC566年説もある) – BC383年頃(BC486年説もある)苦の原因と、そこから離れる道を説いた。生没年は南伝と北伝で1世紀近く食い違う。
- マウリヤ朝国BC322年 – BC185年インド亜大陸をほぼ統一した最初の帝国。アショーカ王は征服の惨禍を悔いて仏教に帰依し、碑文を各地に建てた。
- アショーカ王人物BC304年頃 – BC232年カリンガ征服の惨禍を悔いて仏教に帰依し、法(ダルマ)による統治を掲げて碑文を各地に建てた。
- アショーカ王の碑文できごとBC260年頃帝国が普遍の思想を採る例法(ダルマ)による統治を石柱と岩に刻ませた。インド最古級の文字記録でもある。サーンチー
- 始皇帝人物BC259年 – BC210年中国を初めて統一し、度量衡・文字・車軌を揃えた。長城と陵墓を築き、死後まもなく王朝は崩れる。
- 秦の中国統一できごとBC221年帝国の章の例。度量衡と文字を揃えて世界を一つにする戦国の争いを制して中国が初めてひとつになった。度量衡・文字・車軌が揃えられる。咸陽
- 秦国BC221年(統一) – BC206年戦国を制して中国を初めて統一した王朝。度量衡と文字を統一し、長城を築いたが、始皇帝の死後わずか数年で崩れた。
- マニ教の成立できごとAD240年頃一神教と二元論のあいだで、いちど世界宗教になりかけたゾロアスター教・キリスト教・仏教を一つに束ねようとした。西はローマ、東は唐まで広がったが、どこでも異端とされて消える。ウイグルでは一時国教になった。クテシフォン
- ミラノ勅令できごとAD313年なぜキリスト教だったのか。本はこれを歴史の「謎めいた選択」の例にするキリスト教を含むすべての信仰を認めた。300年続いた迫害が終わる。メディオラヌム

- キリスト教の国教化できごとAD380年テオドシウス帝がニケーア信条を国家の信仰と定めた。他の祭祀は禁じられていく。
- ムハンマド人物AD570年頃 – AD632年メッカの商人から預言者となり、信仰と政治が一体の共同体を築いた。その死から一世紀で版図はイベリアからインダスに届く。
- モンゴル帝国国AD1206年(クリルタイ) – (続く)1206年にモンゴル高原の諸部が一人の下にまとまり、90年で太平洋から黒海まで届いた。地続きの帝国としては史上最大になる。
- アオテアロアへの到達できごとAD1300年頃最後に人が着いた大きな島ポリネシア人が人類の定住地として最後の大きな島に着いた。マオリの社会が始まる。アオテアロア(位置は特定されていない)
- 鄭和人物AD1371年 – AD1433年頃雲南のムスリムの家に生まれ、少年で去勢されて宮廷に入り、七度の大航海を率いた。旗艦はコロンブスのサンタ・マリア号の数倍あったとされる。
- 鄭和の南海遠征できごと1405年コロンブスより大きな艦隊が何も征服しなかった。本の「なぜヨーロッパか」の対照七度の航海で数百隻の船団がアフリカ東岸まで達した。植民も征服もせず、朝貢の関係を結んで帰る。だが事業は打ち切られ、記録の多くも失われた。海は他者に委ねられる。南京
- アステカ国AD1428年(三国同盟) – AD1521年(テノチティトラン陥落)メキシコ盆地の三つの都市が結んだ同盟。征服した土地を直接治めず、貢納を取る形で広げた。100年足らずでスペイン人と天然痘に倒れる。
- インカ帝国国AD1438年(パチャクテク即位) – AD1533年(アタワルパの処刑)文字を持たないまま、南北4000kmを道と結縄(キープ)で束ねた。95年で最大になり、内戦の直後に180人足らずのスペイン人に倒される。
- モアの絶滅できごとAD15世紀到着から一世紀で消えた。三度目の繰り返し飛べない鳥の9種すべてが、人の到着から一世紀ほどで消えた。人類が最後に着いた大きな島で、同じことが三度目に起きた。アオテアロア(位置は特定されていない)
- コロンブス人物AD1451年頃 – AD1506年アジアを目指して西へ渡り、別の大陸に着いた。本人は最後までインドだと信じていた。
- アメリゴ・ヴェスプッチ人物AD1454年3月9日 – AD1512年2月22日「知らない大陸」と言えた人。それで大陸は彼の名になったコロンブスが着いた陸を、アジアではなく誰も知らなかった大陸だと書いた。1507年の世界地図が、その名を新しい陸に付ける。
- モクテスマ2世人物AD1466年頃 – AD1520年アステカ最後の全盛期の王。コルテスを迎え入れ、その混乱のなかで死ぬ。
- フランシスコ・ピサロ人物AD1478年頃 – AD1541年6月26日内戦で弱っていたインカを200人足らずで倒した。自身も仲間割れで殺される。
- マゼラン人物AD1480年頃 – AD1521年4月27日世界一周の航海を率いたが、本人はフィリピンで戦死した。船は西へ回り続けて帰り着く。
- エルナン・コルテス人物AD1485年 – AD1547年12月2日数百人でアステカを崩した。決め手は武器よりも、現地の反アステカ勢力と持ち込まれた疫病だった。
- コロンブスの到達できごとAD1492年10月12日本人は最後までアジアだと信じた。「知らない」と認めたのはヴェスプッチだった二つの大陸が結ばれた。人・作物・家畜・病原体が行き来し、両側の世界が作り替えられる。サン・サルバドル島(位置は特定されていない)
- スペイン帝国国AD1492年(グラナダ陥落とコロンブスの航海) – AD1898年(米西戦争で最後の海外領土を失う)アメリカ大陸の銀を運び、太平洋を横断する定期航路を持った最初の帝国。その銀は中国まで流れ、世界の物価を動かした。19世紀に大陸の領土をほぼ失う。
- アタワルパ人物AD1502年頃 – AD1533年7月26日内戦に勝った直後にピサロに捕らえられた。部屋を埋める金を渡したが、処刑される。
- テノチティトランの陥落できごとAD1521年数百人が帝国を崩した。本は先住民が「異星人」に出会ったようなものだと書くアステカが滅びた。決め手は武器よりも、持ち込まれた疫病だった。テノチティトラン

- 世界一周の達成できごとAD1522年地球が丸くつながっていることが、航海によって実証された。出航した270人のうち18人が帰り着く。リスボン

- 大西洋奴隷貿易できごと1526年本の「想像上のヒエラルキー」の章。人種という序列がここで作られた1200万人以上がアフリカから大西洋を越えて運ばれた。三つの大陸の人口と社会が、この一つの流れで作り替えられる。ベニンシティ

- インカ帝国の滅亡できごとAD1533年テノチティトランと同じ手口が10年後に繰り返された内戦で弱っていたところを、200人足らずのスペイン人に崩された。クスコ
- フランシス・ベーコン人物AD1561年1月22日 – AD1626年4月9日知識は力なり。権威ある書物ではなく観察と実験で自然を問えと説いた。大法官まで上り、収賄で失脚する。
- ガリレオ・ガリレイ人物AD1564年2月15日 – AD1642年1月8日望遠鏡を空へ向け、観測で世界を確かめる方法を示した。異端審問で説の撤回を強いられる。
- ネーデルラント連邦共和国国AD1581年(廃位布告) – AD1795年(フランス軍の侵入による崩壊)信用で戦った国王を戴かない共和国が、80年戦ってスペインから独立した。人口200万の国が、17世紀の世界の海運の半分を握る。株式会社と証券取引所と中央銀行が、ここでほぼ同時に生まれた。
- オランダの黄金時代できごと1600年小国が海を握れたのは信用のおかげだ、と本は言う株式会社と証券取引所が生まれ、小国が世界の海運を握った。レンブラントもこの時代の人。アムステルダム

- オランダ東インド会社の設立できごとAD1602年3月20日株式会社。本は資本主義の章の主役にする誰でも株を買え、その株を転売できる会社の最初。国ではなく会社が艦隊と兵を持ち、200年アジアの海を握った。アムステルダム
- 大英帝国国AD1607年(ヴァージニアの入植) – AD1997年(香港の返還)科学と資本と帝国が一つになった例会社の商館から始まり、七年戦争でフランスを退け、19世紀に世界の陸地の4分の1を占めた。二つの大戦で疲れ、20年ほどでほとんどを手放す。
- 『ノヴム・オルガヌム』できごとAD1620年知識は力なり。科学革命を「無知の発見」と呼ぶ本の起点知識は力なり。古い書物の権威ではなく、観察と実験を積み重ねて自然を問えと説いた。知らないと認めるところから近代科学が始まる。ロンドン

- ガリレオの異端審問できごとAD1633年観測から出た結論を、教義の名で撤回させられた。それでも地球は動く、と伝えられる。ローマ

- アイザック・ニュートン人物AD1643年 – AD1727年天体の運行と落ちる林檎を同じ式で説明した。世界が法則で書けると示す。
- ジョン・ロー人物AD1671年4月21日 – AD1729年3月21日スコットランドの賭博師で、決闘で人を殺して逃げた先のフランスで財政を任された。紙幣と株式で立て直そうとして、史上有数のバブルを作る。
- 『プリンキピア』できごとAD1687年世界が数式で書けると示した天体の運行と落ちる林檎を同じ式で説明した。世界が法則で書けると示す。ロンドン

- ミシシッピ会社のバブルできごと1719年信用が崩れると国も傾く。フランス王家の信用が落ちた例株価が1年で20倍になり、1年で崩れた。フランス王家は信用を失い、以後の戦費を高い利子で借りることになる。パリ

- ジェームズ・クック人物AD1728年11月7日 – AD1779年2月14日三度の航海で太平洋の地図をほぼ完成させた。ハワイで現地の人々と衝突して死ぬ。
- ジェームズ・ワット人物AD1736年 – AD1819年蒸気機関を実用の動力に変えた。人と家畜の力に頼らない生産が始まる。
- ジョゼフ・バンクス人物AD1743年2月24日 – AD1820年6月19日科学が帝国に乗った、その乗り方の見本自費でクックの第一回航海に乗り込み、数千の標本を持ち帰った。以後41年、王立協会の会長として科学と植民地を結びつける。
- プラッシーの戦いできごとAD1757年6月23日会社が国を治めた例東インド会社がベンガルを手に入れた。会社が領土を統治するという異様な形で、インド支配が始まる。プラッシー(位置は特定されていない)

- 産業革命できごと1760年エネルギーの変換が桁で変わった、と本は捉える石炭と蒸気で、人と家畜の力に頼らない生産が始まった。人類の暮らしが根本から変わる。マンチェスター

- クックの太平洋航海できごと1768年科学者を乗せた軍艦。科学と帝国の結婚の例三度の航海で太平洋の地図がほぼ完成した。同時に、この海域が列強の関心の的になる。ハワイ(位置は特定されていない)
- ワットの蒸気機関できごとAD1769年復水器を分けて燃料を大幅に減らした。既にあった蒸気機関が、ここで工場に置ける道具になる。ロンドン
- ナポレオン・ボナパルト人物AD1769年8月15日 – AD1821年5月5日エジプト遠征に160人あまりの学者を連れて行った革命の混乱から皇帝に上り、ヨーロッパの大半を支配した。敗れた後も法典と国民国家の考えが残る。
- アメリカ独立宣言できごとAD1776年7月4日ハンムラビ法典と対にして読まれる植民地が本国から離れ、人が生まれながらに権利を持つと宣言した。フィラデルフィア

- アメリカ合衆国国AD1776年(独立宣言) – (続く)13の植民地から始まり、買収と戦争と条約で100年かけて大陸を横断した。その拡大は、先に住んでいた人びとの土地を取り上げる過程でもあった。
- 第一船団のボタニー湾到着できごとAD1788年1月26日クックの航海の帰結アメリカを失って、囚人を送る先がなくなったイギリスが、クックの報告した土地へ11隻を送った。囚人778人、海兵と家族、8か月の航海。ボタニー湾は水が悪く、北のポート・ジャクソン(シドニー湾)へ移って、1月26日に旗を立てた。「オーストラリア・デー」。先住民にとっては「侵略の日」。80年で16万人の囚人が送られ、天然痘と土地の収奪で先住民の人口は激減した。シドニー
- フランス革命できごと1789年想像上の秩序は別の秩序に置き換わる、という章の例身分制を壊し、国民が主権を持つという考えを現実にした。恐怖政治も同じ革命が生んだ。パリ

- チャールズ・ダーウィン人物AD1809年2月12日 – AD1882年4月19日種が変化することを膨大な観察で示した。人間が特別ではないという考えが広がる。
- カール・マルクス人物AD1818年5月5日 – AD1883年3月14日産業社会の仕組みを分析し、歴史を階級の争いとして描いた。20世紀の国家の形を左右する。
- 鉄道の開業できごとAD1825年9月27日鉄道が時刻を揃えた。本は時間の統一を産業の副産物として書く蒸気機関車が公共の交通になった。人と物が動く速さが桁で変わり、時刻という概念が全国で揃う。マンチェスター
- アヘン戦争できごと1840年株主の利益のために国が戦争をした例清が英国に敗れ、香港を割いた。この敗北の報が、日本に開国の危機感をもたらす。南京

- 『種の起源』できごとAD1859年11月24日人間が特別ではないという考え。本の前提そのもの種が変化することを膨大な観察で示した。人間が特別ではないという考えが広がる。ロンドン

- レーニン人物AD1870年4月22日 – AD1924年1月21日世界最初の社会主義国家を作った。マルクスの理論を、革命の実務に組み替える。
- ヒトラー人物AD1889年4月20日 – AD1945年4月30日合法的に権力を得て独裁を敷き、戦争とホロコーストを引き起こした。民主制が自ら独裁を選びうることを示した例として残る。
- ロバート・オッペンハイマー人物AD1904年4月22日 – AD1967年2月18日ロスアラモスで原爆の開発を率いた。戦後は水爆に反対し、赤狩りのなかで公職を追われる。
- ロシア革命できごとAD1917年共産主義を宗教の一種として扱う世界最初の社会主義国家が生まれた。以後70年、世界は二つの体制に分かれる。ペトログラード

- ナチスの政権掌握できごとAD1933年1月30日進化論を人間に当てはめた「宗教」として扱う選挙を経て合法的に政権を取り、そこから独裁へ移した。民主制が自ら独裁を選びうると示した例。ベルリン

- フクロオオカミの最後の一頭できごとAD1936年9月7日賞金が一つの種を消したフクロオオカミは、背に縞のある、オオカミに似た有袋類である。本土では数千年前に姿を消し、タスマニアにだけ残っていた。羊を襲うとされ、1888年から州政府は一頭ごとに賞金を払い、二千頭を超える分が支払われた。1936年9月7日、ホバートの動物園で最後の一頭が死ぬ。夜の寒さの中、寝小屋から締め出されていたと伝えられる。州が保護を決めたのは、そのわずか59日前だった。その後も目撃の話は絶えないが、確かな証拠は見つかっていない。タスマニア(位置は特定されていない)
- トリニティ実験できごとAD1945年7月16日本はこの瞬間を科学と国家の結びつきの頂点に置く人類が最初に核爆弾を爆発させた。夜明け前の砂漠で試されたのは、3週間後に長崎で使われるのと同じ型だった。広島の型は試さずに使われている。トリニティ実験場

- 広島・長崎への原爆投下できごとAD1945年8月6日以後、大国同士の戦争が割に合わなくなった、と本は見る一発で都市が消えた。人類が自らを絶滅させうる力を持ったことが、この日から前提になる。広島

- DNAの二重らせんできごとAD1953年生命を設計し直す時代の入口生命の設計図の形が分かった。X線で撮られた「51番写真」が決め手になる。それは撮影者に断りなく見せられた写真だった。ケンブリッジ
- アポロ11号の月面着陸できごとAD1969年7月20日月へ行く前に砂漠で先住民の老人に会った、という逸話が本にある人類が地球以外の天体に立った。冷戦の競争が、そのまま到達点になった。
重なっているストーリー
同じできごとや人物を含む物語です。何件を共有しているかを添えました。
『銃・病原菌・鉄』で読む歴史26件を共有 / なぜ征服したのがスペイン人で、されたのがインカだったのか。ダイアモンドは答えを人ではなく大陸の形に求めた。文明のはじまり20件を共有 / 農耕も都市も文字も、離れた場所で別々に始まった。そして始まった順序は、思っているのと違う。『世界史』(マクニール)で読む歴史17件を共有 / 文明どうしが接触し、借り、競い合うことで歴史が動く。世界を一つの物語として書いた最初の教科書。コテンラジオで聞く歴史16件を共有 / ポッドキャスト「コテンラジオ」が取り上げた人物とできごと。ここに並ぶ項目には、その回の動画が付いている。ムンディ先生の講義で学ぶ歴史15件を共有 / 高校の先生「ムンディ先生」が、世界史と日本史を200講ずつで通した授業の動画。ここに並ぶ項目には、その講の動画が付いている。大航海時代13件を共有 / 海が壁ではなく道になった。二つの大陸が結ばれ、世界がひとつの市場になっていく。『国家はなぜ衰退するのか』で読む歴史13件を共有 / 国境をひとつ挟んで豊かさが違うのは、地理でも文化でもなく制度のせいだ、という本。2024年のノーベル経済学賞の元になった。探検と発見12件を共有 / 地平線の向こうに何があるかを、確かめに行った人たちの記録。古代オリエント10件を共有 / 文字も法も都市も、まずここで生まれた。そして次々に主が入れ替わる2500年。技術と産業10件を共有 / 道具が人を変え、その人がまた道具を作った。速さが加速していく話。『繁栄』で読む歴史10件を共有 / 人類が豊かになったのは交換のおかげで、悲観する理由はいつも外れてきた、という本。反論側も付けてある。『近代世界システム』で読む歴史10件を共有 / 国ごとの発展を比べるのをやめる。16世紀からずっと、世界は一つの分業の仕組みとして動いてきた、という本。交易路とお金9件を共有 / 運ぶ/両替する/貸す。人と物が動くところには、いつも同じ仕組みが生えてくる。接触前のアメリカ9件を共有 / 旧大陸と行き来のないまま、農耕も都市も国家も別々に生まれた。3000年ぶんの、独立した実験。『万物の黎明』で読む歴史9件を共有 / 狩猟採集から農耕へ、村から都市へ、そして国家へ。その一本道の筋書きそのものが間違いだ、という本。中田敦彦のYouTube大学で学ぶ歴史9件を共有 / 「中田敦彦のYouTube大学」が講義した世界史・日本史・偉人伝の人物とできごと。ここに並ぶ項目には、その回の動画が付いている。帝国と独立8件を共有 / 数十年で世界の大半が数か国のものになり、また数十年で戻った。確かめるという方法8件を共有 / 偉い人がそう言ったから、をやめた話。誰が最初かは、思っているほどはっきりしない。『大分岐』で読む歴史8件を共有 / 1800年まで、長江下流とイングランドは同じくらい豊かだった。分かれたのは石炭と植民地のせいだ、という本。『負債論』で読む歴史8件を共有 / お金は物々交換の不便から生まれた、という話は史料に無い。先にあったのは借りのほうだ、という本。『1491』『1493』で読む新大陸7件を共有 / コロンブス以前のアメリカは人の少ない原野ではなかった。以後の世界は、生き物の大移動でできている。『反穀物の人類史』で読む歴史7件を共有 / 人が穀物を育てたのではなく、穀物と国家が人を囲い込んだ。最初の国家は、なぜ壁の内側に人を閉じ込めたのか。宗教改革と科学革命6件を共有 / 教会が独占していた「何が正しいか」の答えが、聖書と観測に明け渡されるまで。中国の王朝6件を共有 / 殷から清まで3000年。王朝は替わっても、同じ型で替わり続けた。考えることの歴史6件を共有 / 同じ数百年のあいだに、ギリシアでも中国でもインドでも、人が根本から考え直した。『収奪された大地』で読むラテンアメリカ6件を共有 / 500年の歴史を、何が持ち去られたかで書く。金、銀、砂糖、ゴム、コーヒー、銅、石油。インドと仏教5件を共有 / 一人の王子が始めた問いが、アショーカ王に拾われ、玄奘に運ばれ、東アジアへ届くまで。二つの大戦5件を共有 / 一発の銃声から31年。二つの戦争は別々ではなく、前者の終わらせ方が後者を呼んだ。感染症と人類5件を共有 / 人が動くほど病も動いた。文明の広がりと感染の広がりは、同じ地図の上にある。都市の歴史5件を共有 / 人が密集して住むという異常な選択が、文明のほとんどを生んだ。『疫病と世界史』で読む歴史5件を共有 / 歴史を動かしたのは王でも思想でもなく、目に見えない微生物だった、と最初に言い切った本。『暴力の人類史』で読む歴史5件を共有 / 人が人を殺す率は、狩猟採集の時代から今まで、長い目で見ればずっと下がってきた、という本。反論も多い。『ホモ・デウス』で読む次の歴史5件を共有 / 飢餓と疫病と戦争を抑え込んだ人類が、次に何を目指すか。『サピエンス全史』の続編。『暴力と不平等の人類史』で読む格差5件を共有 / 格差を大きく縮めたのは、改革ではなく破局だった。戦争、革命、国家の崩壊、疫病の四つしかない、という本。『交易の世界史』で読む物の流れ5件を共有 / シュメールの銅から現代のコンテナまで。人が物を遠くへ運ぶために、何をしてきたか。『リオリエント』で読む世界経済5件を共有 / 1800年まで、世界経済の中心はアジアだった。ヨーロッパは、その列に遅れて並んだ客にすぎない。海の歴史5件を共有 / 海は人と物と病と戦争を運び、人はその海を測り、守り、汚してきた。冷戦4件を共有 / 撃ち合わずに40年競った。ただし代理の戦場では、実際に人が死に続けた。『ローマ帝国衰亡史』で読むローマ4件を共有 / ギボンが1776年に出しはじめた、トラヤヌスからコンスタンティノープル陥落までの1300年。「なぜ滅びたか」を問う型はここで作られた。『物質文明・経済・資本主義』で読む三つの層4件を共有 / 毎日の暮らし、市場での取引、そしてその上に乗る資本主義。ブローデルは経済を三層に分けた。『昨日までの世界』で読む伝統社会4件を共有 / 国家のない社会は、争いも子育ても老いも、私たちと違うやり方で扱ってきた。何を学べるか。ローマ人の物語3件を共有 / ラティウムの一都市が地中海全域を呑み込み、そして西半分が消えるまでの1200年。中華の統一3件を共有 / 殷を倒した周から、初めて中国をひとつにした秦まで。800年かけて「天下」という考えが育つ。主権はだれのものか3件を共有 / 王が決めるのか、議会が決めるのか、国民が決めるのか。800年かけて答えが動いた。『ローマ人の物語』で読むローマ3件を共有 / 塩野七生が15年かけて15巻で書いた、建国から西の帝国の終わりまで。このデータベースの第一期と同じ範囲になる。『大転換』で読む歴史3件を共有 / 市場はずっと社会の一部だった。それが逆転して、社会のほうが市場に合わせはじめた19世紀に何が起きたか。『史記』で読む中国3件を共有 / 2000年前に、一人の男が3000年ぶんを書いた。宮刑を受けてなお書き続け、以後の中国の歴史書の型になった。キリスト教のひろがり2件を共有 / 迫害される小集団が、300年で帝国の宗教になり、そこから何度も割れながら世界へ出ていった。『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で読む歴史2件を共有 / 資本主義を生んだのは強欲ではなく、救われているか分からない不安だった、という100年前の論文。『想像の共同体』で読む歴史2件を共有 / 国民とは、会ったこともない人を同じ仲間だと思える想像力のことだ、という本。『オリエンタリズム』で読む歴史2件を共有 / 西洋が「東洋」について語ってきたことは、東洋についての知識ではなく、西洋についての物語だった、という本。『ヨーロッパ覇権以前』で読む13世紀2件を共有 / 1250年から1350年まで、世界はすでに一つにつながっていた。ただし中心はヨーロッパではなかった。『地中海』で読む歴史2件を共有 / 歴史には三つの速さがある。ほとんど動かない時間、ゆっくり動く時間、そして事件。捕虜収容所で書かれた本。『歴史とは何か』で読む歴史の読み方2件を共有 / 事実は自分では語らない。誰がどれを選んだかが、そのまま歴史になる。この年表そのものへの問いかけ。『中国の科学と文明』で読む技術の歴史2件を共有 / 中国には長い科学技術の蓄積があった。では、なぜ近代科学はそこで生まれなかったのか。『チーズとうじ虫』で読む一人の宇宙2件を共有 / 16世紀の村の粉挽きが、世界は腐ったチーズから生まれたと語った。裁判の記録から、一人の頭の中を復元する。『砂糖の世界史』で読む世界商品2件を共有 / 一つの白い粒を追いかけると、カリブの奴隷とイギリスの朝食と産業革命が一本につながる。お金の歴史2件を共有 / 金属の塊が、紙になり、数字になった。お金が成り立っているのは、皆が信じているあいだだけになる。戦争と平和の歴史2件を共有 / 戦争を無くせなかった人類が、それでも戦争を縛り、減らし、裁こうとしてきた工夫の歴史。法と裁判の歴史2件を共有 / 力の強い者の思いのままだった裁きを、書かれた法と手続きで縛ってきた歴史。住まいの歴史2件を共有 / 洞窟と竪穴の家から、長屋、集合住宅、団地、郊外の一戸建てまで。人はどこに、どう住んできたのか。ポエニ戦争1件を共有 / 地中海の覇権をめぐる、ローマとカルタゴの120年。三度戦い、三度目でカルタゴは消えた。アレクサンドロスの東方遠征1件を共有 / 20歳で王になった男が、11年でギリシアからインダス川まで到達した。そして32歳で死ぬ。イスラム世界1件を共有 / 一世紀でイベリアからインダスまで。学問を受け継ぎ、育て、そして西へ返した。女性の権利1件を共有 / 人口の半分が、参政権を得るまでに文明の歴史のほとんどを要した。民族移動の時代1件を共有 / 4〜6世紀、ユーラシアの東西で同時に人が動いた。ローマだけの話ではない。表現の歴史1件を共有 / 書いた人、描いた人、作った人。政治と戦争のあいだに、ずっと別の営みがあった。ペルシア戦争1件を共有 / 当時最大の帝国に、都市国家の寄り合いが勝った。ギリシアが自分たちを語りはじめる。誰が書き残したか1件を共有 / 残っているものが全部ではない。誰の筆によるかで、同じ出来事が違って見える。『文明崩壊』で読む歴史1件を共有 / イースター島、マヤ、グリーンランドのノルウェー人。環境を使い尽くした社会と、そうしなかった社会。『歴史の終わり』と『文明の衝突』で読む冷戦後1件を共有 / 冷戦が終わったあと、世界はどうなるのか。3年違いで出た二冊が、正反対の答えを出した。『菊と刀』で読む日本1件を共有 / 一度も日本へ行かないまま、戦時中のアメリカで書かれた日本人論。読み継がれ、批判され続けている。『失敗の本質』で読む日本軍1件を共有 / なぜ負けたのかを、作戦ではなく組織の性質から説明した本。六つの作戦を並べて、同じ型を取り出す。『地に呪われたる者』で読む脱植民地1件を共有 / 植民地支配が人の心に何をするかを、精神科医が診察室から書いた。36歳で死ぬ年に口述された本。『イタリア・ルネサンスの文化』で読むルネサンス1件を共有 / 「ルネサンス」という時代の像そのものを作った本。150年たっても、まだその像の中にいる。『黒い皮膚・白い仮面』で読む植民地の心1件を共有 / 支配される側が、支配する側の目で自分を見てしまう。27歳の精神科医が書いた最初の本。差別の歴史1件を共有 / 線を引いて内と外を分ける。理屈は、たいてい後から付けられた。働くことの歴史1件を共有 / 一日八時間、週に五日。その区切りは、二百年かけて争って手に入れたものになる。食の歴史1件を共有 / 何を食べるかは、誰が作り、どう運び、どう残すかで決まってきた。台所の外の仕組みの歴史になる。近代と宗教1件を共有 / 科学と国家と世俗化の時代に、信仰は消えるどころか、形を変えて燃え上がり続けた。交通と旅の歴史1件を共有 / 人が速く遠くへ動けるようになるたびに、世界は狭くなり、旅は一部の人の冒険から誰もの楽しみになった。言葉と文字の歴史1件を共有 / 話す言葉を書き留める文字が生まれ、印刷と国家と機械が、言葉を広め、整え、ときに奪ってきた。