概要
人が動くほど病も動いた。文明の広がりと感染の広がりは、同じ地図の上にある。
この物語について
疫病は昔から人を殺してきたが、大量に殺すようになったのは人が密集して住み、遠くまで動くようになってからだった。
モンゴルがユーラシアを一つの交通圏にした直後、黒死病がヨーロッパの3分の1を殺した。大西洋が渡られた直後、持ち込まれた病がアメリカ大陸の社会を崩した。軍隊が世界中を移動した第一次大戦の直後、スペイン風邪が戦死者を上回る数を奪った。飛行機が日常になった時代には、COVID-19が数か月で世界を止めた。
一方で人は反撃も覚えた。ジェンナーの種痘は、病を根絶できると初めて示した。
重なっているストーリー
同じできごとや人物を含む物語です。何件を共有しているかを添えました。
確かめるという方法21件を共有 / 偉い人がそう言ったから、をやめた話。誰が最初かは、思っているほどはっきりしない。『疫病と世界史』で読む歴史16件を共有 / 歴史を動かしたのは王でも思想でもなく、目に見えない微生物だった、と最初に言い切った本。接触前のアメリカ5件を共有 / 旧大陸と行き来のないまま、農耕も都市も国家も別々に生まれた。3000年ぶんの、独立した実験。大航海時代4件を共有 / 海が壁ではなく道になった。二つの大陸が結ばれ、世界がひとつの市場になっていく。技術と産業4件を共有 / 道具が人を変え、その人がまた道具を作った。速さが加速していく話。都市の歴史4件を共有 / 人が密集して住むという異常な選択が、文明のほとんどを生んだ。『サピエンス全史』で読む歴史4件を共有 / ハラリが人類史を三つの革命で切った本。その筋に沿って、このデータベースの項目を並べ直す。『銃・病原菌・鉄』で読む歴史4件を共有 / なぜ征服したのがスペイン人で、されたのがインカだったのか。ダイアモンドは答えを人ではなく大陸の形に求めた。『世界史』(マクニール)で読む歴史4件を共有 / 文明どうしが接触し、借り、競い合うことで歴史が動く。世界を一つの物語として書いた最初の教科書。『暴力と不平等の人類史』で読む格差4件を共有 / 格差を大きく縮めたのは、改革ではなく破局だった。戦争、革命、国家の崩壊、疫病の四つしかない、という本。『収奪された大地』で読むラテンアメリカ4件を共有 / 500年の歴史を、何が持ち去られたかで書く。金、銀、砂糖、ゴム、コーヒー、銅、石油。二つの大戦3件を共有 / 一発の銃声から31年。二つの戦争は別々ではなく、前者の終わらせ方が後者を呼んだ。民族移動の時代3件を共有 / 4〜6世紀、ユーラシアの東西で同時に人が動いた。ローマだけの話ではない。『繁栄』で読む歴史3件を共有 / 人類が豊かになったのは交換のおかげで、悲観する理由はいつも外れてきた、という本。反論側も付けてある。『1491』『1493』で読む新大陸3件を共有 / コロンブス以前のアメリカは人の少ない原野ではなかった。以後の世界は、生き物の大移動でできている。『ホモ・デウス』で読む次の歴史3件を共有 / 飢餓と疫病と戦争を抑え込んだ人類が、次に何を目指すか。『サピエンス全史』の続編。ローマ人の物語2件を共有 / ラティウムの一都市が地中海全域を呑み込み、そして西半分が消えるまでの1200年。女性の権利2件を共有 / 人口の半分が、参政権を得るまでに文明の歴史のほとんどを要した。草原の帝国2件を共有 / 匈奴からジュンガルまで、2500年のあいだ農耕世界の北にいた人たちの側から歴史を並べる。帝国と独立2件を共有 / 数十年で世界の大半が数か国のものになり、また数十年で戻った。日本の古代2件を共有 / 中国の史書にだけ名が残る王たちから、律令の国家ができるまで。手本は常に大陸にあった。『ローマ人の物語』で読むローマ2件を共有 / 塩野七生が15年かけて15巻で書いた、建国から西の帝国の終わりまで。このデータベースの第一期と同じ範囲になる。『国家はなぜ衰退するのか』で読む歴史2件を共有 / 国境をひとつ挟んで豊かさが違うのは、地理でも文化でもなく制度のせいだ、という本。2024年のノーベル経済学賞の元になった。『暴力の人類史』で読む歴史2件を共有 / 人が人を殺す率は、狩猟採集の時代から今まで、長い目で見ればずっと下がってきた、という本。反論も多い。『ヨーロッパ覇権以前』で読む13世紀2件を共有 / 1250年から1350年まで、世界はすでに一つにつながっていた。ただし中心はヨーロッパではなかった。『地中海』で読む歴史2件を共有 / 歴史には三つの速さがある。ほとんど動かない時間、ゆっくり動く時間、そして事件。捕虜収容所で書かれた本。『反穀物の人類史』で読む歴史2件を共有 / 人が穀物を育てたのではなく、穀物と国家が人を囲い込んだ。最初の国家は、なぜ壁の内側に人を閉じ込めたのか。『近代世界システム』で読む歴史2件を共有 / 国ごとの発展を比べるのをやめる。16世紀からずっと、世界は一つの分業の仕組みとして動いてきた、という本。『砂糖の世界史』で読む世界商品2件を共有 / 一つの白い粒を追いかけると、カリブの奴隷とイギリスの朝食と産業革命が一本につながる。三国志1件を共有 / 400年続いた漢が壊れ、三つに割れ、そしてまた一つに戻るまでの約100年。幕末1件を共有 / 黒船が来てから15年で、700年近く続いた武家政権が終わった。明治1件を共有 / 藩を消し、身分を消し、40年で列強と戦えるところまで作り替えた。その代償も含めて。冷戦1件を共有 / 撃ち合わずに40年競った。ただし代理の戦場では、実際に人が死に続けた。中国の王朝1件を共有 / 殷から清まで3000年。王朝は替わっても、同じ型で替わり続けた。探検と発見1件を共有 / 地平線の向こうに何があるかを、確かめに行った人たちの記録。主権はだれのものか1件を共有 / 王が決めるのか、議会が決めるのか、国民が決めるのか。800年かけて答えが動いた。交易路とお金1件を共有 / 運ぶ/両替する/貸す。人と物が動くところには、いつも同じ仕組みが生えてくる。考えることの歴史1件を共有 / 同じ数百年のあいだに、ギリシアでも中国でもインドでも、人が根本から考え直した。冷戦のあと1件を共有 / 対立の構図が消えたあと、何が残ったのか。1989年からの三十年。キリスト教のひろがり1件を共有 / 迫害される小集団が、300年で帝国の宗教になり、そこから何度も割れながら世界へ出ていった。表現の歴史1件を共有 / 書いた人、描いた人、作った人。政治と戦争のあいだに、ずっと別の営みがあった。ペルシア戦争1件を共有 / 当時最大の帝国に、都市国家の寄り合いが勝った。ギリシアが自分たちを語りはじめる。コテンラジオで聞く歴史1件を共有 / ポッドキャスト「コテンラジオ」が取り上げた人物とできごと。ここに並ぶ項目には、その回の動画が付いている。『ローマ帝国衰亡史』で読むローマ1件を共有 / ギボンが1776年に出しはじめた、トラヤヌスからコンスタンティノープル陥落までの1300年。「なぜ滅びたか」を問う型はここで作られた。『物質文明・経済・資本主義』で読む三つの層1件を共有 / 毎日の暮らし、市場での取引、そしてその上に乗る資本主義。ブローデルは経済を三層に分けた。『想像の共同体』で読む歴史1件を共有 / 国民とは、会ったこともない人を同じ仲間だと思える想像力のことだ、という本。『大転換』で読む歴史1件を共有 / 市場はずっと社会の一部だった。それが逆転して、社会のほうが市場に合わせはじめた19世紀に何が起きたか。『中世の秋』で読む中世の終わり1件を共有 / ルネサンスの前夜ではなく、中世そのものの終わり方。過剰な儀礼と、死への執着に覆われた14〜15世紀。『中国の科学と文明』で読む技術の歴史1件を共有 / 中国には長い科学技術の蓄積があった。では、なぜ近代科学はそこで生まれなかったのか。『モンタイユー』で読む中世の村1件を共有 / ピレネーの村人200人が、異端審問で一人ずつ尋問された。その調書から、村の暮らしが丸ごと出てくる。『交易の世界史』で読む物の流れ1件を共有 / シュメールの銅から現代のコンテナまで。人が物を遠くへ運ぶために、何をしてきたか。『リオリエント』で読む世界経済1件を共有 / 1800年まで、世界経済の中心はアジアだった。ヨーロッパは、その列に遅れて並んだ客にすぎない。『歴史序説』で読む王朝の寿命1件を共有 / 14世紀の北アフリカで、社会には法則があると考えた人がいた。王朝はなぜ三代で衰えるのか。筋(64)
年代順に並べてあります。役どころが書いてあるものは、なぜこの物語に含まれるかを添えました。
ヒッポクラテス人物 / BC460年頃 – BC370年頃アテナイの疫病できごと / BC430年 / 記録に残る最古の流行ヒッポクラテスの医学できごと / BC400年頃 / 病を神罰でなく自然の現象として扱ったヴェスヴィオ火山の噴火できごと / 79年8月24日(近年は10月説が有力) / 街が一瞬で消えるということガレノス人物 / AD129年 – AD216年頃 / アントニヌスの疫病を診た張仲景人物 / AD150年頃 – AD219年頃アントニヌスの疫病できごと / 165年 / 記録に残る最初の帝国規模の流行『傷寒論』できごと / AD200年頃 / 一族の三分の二を疫病で失った医者が書いたキプリアヌスの疫病できごと / 249年グレゴリウス1世人物 / AD540年頃 – AD604年3月12日 / 疫病の年に教皇に選ばれた長屋王の変できごと / AD729年(神亀6年) / 長屋王の祟り天平の疫病できごと / 735年 / 日本の人口の3割前後ラーズィー『天然痘と麻疹について』できごと / AD900年頃 / 二つの発疹を分けたモンゴル帝国の拡大できごと / 1206年 / ユーラシアが一つの交通圏になった黒死病できごと / 1347年 / その直後にヨーロッパの3分の1が死ぬ『デカメロン』できごと / AD1353年 / 黒死病の目撃の記録ラグーサの検疫できごと / AD1377年7月27日 / 最初の検疫の法ワット・タイラーの乱できごと / AD1381年6月 / 黒死病の30年後。人手が減った側が力を持ったコロンブスの到達できごと / AD1492年10月12日 / 大西洋が渡られた梅毒の流行できごと / AD1495年 / ナポリ病とフランス病天然痘のアメリカ大陸上陸できごと / AD1520年 / 免疫のない大陸に病が渡ったテノチティトランの陥落できごと / AD1521年 / 人を殺したのは武器ではなく疫病だったインカ帝国の滅亡できごと / AD1533年カリブの砂糖プランテーションできごと / 1640年 / 運ばれた人と一緒に、黄熱病とマラリアも渡ったロンドン大火できごと / AD1666年9月2日 / 鼠が焼けたという俗説レーウェンフックの微生物できごと / AD1676年 / 細菌が見えたマルセイユのペストできごと / AD1720年 / 絹を早く売りたかったエドワード・ジェンナー人物 / AD1749年 – AD1823年第一船団のボタニー湾到着できごと / AD1788年1月26日 / 天然痘ジェンナーの種痘できごと / AD1796年 / 人が病に反撃できると初めて示したジョン・スノウ人物 / AD1813年3月15日 – AD1858年6月16日 / 取っ手のないポンプルイ・パスツール人物 / AD1822年12月27日 – AD1895年9月28日 / 病の原因が目に見えない生きものだと分かるロベルト・コッホ人物 / AD1843年12月11日 – AD1910年5月27日 / 菌ごとに証明したアイルランドのジャガイモ飢饉できごと / 1845年 / 作物の病が人口を四分の一削ったゼンメルワイスの手洗いできごと / AD1847年5月 / 自分たちが殺していた北里柴三郎人物 / AD1853年1月29日 – AD1931年6月13日ジョン・スノウのコレラ地図できごと / AD1854年9月8日 / ポンプの取っ手を外したクリミア戦争できごと / AD1854年9月14日 / 死者のほとんどが病気ブロード・ストリートのコレラできごと / AD1854年8〜9月 / 疫学の始まり安政のコレラできごと / AD1858年(安政5年) / 三日コロリ白鳥の首フラスコできごと / AD1861年リスターの消毒法できごと / AD1867年 / 外科が体の中を開けられるようにインド大飢饉できごと / AD1876年 / 自然災害が、政策によって規模を変えた野口英世人物 / AD1876年11月9日 – AD1928年5月21日 / 黄熱病の病原体を見つけたと言った血清療法の確立できごと / AD1890年ハンブルクのコレラできごと / AD1892年8月 / 通りの向かいで死者が分かれた第三次ペスト大流行できごと / 1894年 / 菌が見つかったサローテ・トゥポウ3世人物 / AD1900年3月13日 – AD1965年12月16日 / 乳児死亡率を大きく下げた第一次世界大戦できごと / 1914年 / 軍隊が世界中を移動したジョナス・ソーク人物 / AD1914年10月28日 – AD1995年6月23日 / 特許を取らなかったワイカトの徴兵拒否できごと / AD1917年 / スペイン風邪の病人を集めて看護したスペイン風邪できごと / 1918年 / 戦死者を上回る数を奪ったペニシリンの発見できごと / AD1928年9月28日 / 感染症で死ぬのが当たり前だった時代カザフの飢饉できごと / 1930年レニングラード包囲できごと / AD1941年9月8日 / 100万人の餓死DNAの二重らせんできごと / AD1953年 / 生物学が分子の言葉で書けるようになるソークのポリオワクチンできごと / AD1955年4月12日 / 太陽に特許があるか緑の革命できごと / AD1965年天然痘の根絶宣言できごと / AD1980年5月8日 / 人類が病を一つ消したチェルノブイリ原発事故できごと / AD1986年4月26日 / 死者は31人とも数万人ともSARSの流行できごと / AD2003年 / あのとき止められたスマトラ沖地震と津波できごと / AD2004年12月26日 / 津波という言葉を知らない海岸西アフリカのエボラ流行できごと / AD2014年 / 医療従事者が500人死んだCOVID-19の世界的流行できごと / 2020年 / 飛行機の時代には数か月で世界が止まる