概要
冬戦争と継続戦争でソ連と戦ったフィンランドは、戦後、大国の隣で生き延びるため、ソ連を刺激しない中立を守った。スウェーデンも、ナポレオン戦争のあとおよそ二百年、どの同盟にも入らずにきた。2022年2月、ロシアがウクライナに全面的に攻め込むと、両国の世論は一変し、5月に二国そろってNATOへの加盟を申し込む。ロシアと1300キロ余りの国境を接するフィンランドは2023年4月4日に加盟し、トルコとハンガリーの承認に手間取ったスウェーデンは、2024年3月に加わった。
場所
60.17°N 24.94°E · フィンランド
本文
冬戦争と継続戦争でソ連と戦ったフィンランドは、1944年の休戦で領土を譲り、多額の賠償を払った。戦後、フィンランドは自由な選挙と市場の経済を保ったまま、外交ではソ連の意向に逆らわない道を選んだ。1948年の友好協力相互援助条約は、西側の同盟に加わらないことを事実上の約束にしていた。西側では、大国の顔色をうかがう小国のふるまいを、皮肉を込めて「フィンランド化」と呼んだ。
スウェーデンは、1814年にノルウェーをめぐってわずかに戦ったのを最後に、およそ二百年、戦争をしていない。二度の大戦でも中立を守った。冷戦のさなかもNATOには入らず、自前の兵器産業と、国民の多くが兵役につく守りを持った。ソ連が崩れたあと、両国は1995年にヨーロッパ連合に入り、NATOとの協力も深めたが、加盟までは踏み込まなかった。どちらの国でも、加盟を望む人は少数だった。
2022年2月24日、ロシアがウクライナへの全面的な侵攻を始めると(ロシアのウクライナ侵攻)、両国の世論は数週間で入れ替わった。とくにフィンランドでは、ロシアと1300キロ余りの国境を接し、同じことが自分たちに起こりうると多くの人が感じた。5月18日、両国はそろって加盟を申し込んだ。
加盟には全加盟国の承認が要る。トルコは、両国がクルドの武装組織に甘いとして承認を引き延ばし、ハンガリーもそれに続いた。フィンランドが先に承認され、2023年4月4日、NATOの結成の記念日に、NATOの31番目の加盟国になった。スウェーデンは2024年3月7日に32番目の加盟国になった。ロシアとNATOが接する国境は、一気に倍ほどに伸びた。