概要
2008年10月7日、スウェーデンで、音楽を持たずに、聞くたびにネットから流して聞く配信のサービスSpotifyが始まった。創業者のダニエル・エクは、海賊版のファイル共有より便利なものを作れば、人はお金を払う、と考えた。広告を聞けば無料、月額を払えば広告なしで、何千万もの曲が聞き放題になる。音楽は所有するものから、使うものに変わった。レコード会社の売上は配信で持ち直したが、一回の再生で歌い手に入るお金はわずかで、その分け方をめぐる争いが続いている。
場所
59.33°N 18.07°E · スウェーデン
本文
スウェーデンは、2000年代、ファイル共有のサイト「パイレート・ベイ」の本拠地として知られ、音楽の違法な分け合いが広く行われていた国だった。起業家のダニエル・エクは、人々が違法にダウンロードするのは、お金を払いたくないからではなく、それが一番便利だからだと考えた。それより便利なものを作れば、人はお金を払う。
2006年、エクとマルティン・ロレンツォンはSpotifyを作った。曲をダウンロードして持つのではなく、聴くたびにネットから少しずつ流して聴く。押せばすぐに鳴る速さにこだわった。大手のレコード会社と、再生の回数に応じて使用料を払う契約を結び、2008年10月7日、スウェーデンなどで一般に公開した。広告を聞けば無料で、月額を払えば広告なしで聴ける。
スマートフォンが広がると、配信は音楽の聴き方の中心になった。何千万もの曲がいつでも聴ける。人が作った選曲の一覧や、聴いた履歴から次の曲を薦める仕組みが、ラジオや雑誌の役を引き継いだ。音楽は持つものから、使うものになった。長く下がり続けたレコード会社の売上は、2010年代の半ばから配信で持ち直した。
一方で、一回の再生で歌い手に入るお金は一円にも満たず、大きなレコード会社と一部の人気の歌い手に収入が集まるという批判は強い。テイラー・スウィフトが一時、自分の曲を引き揚げたこともある。聴く側の便利さと、作る側の暮らしの釣り合いは、いまも決まっていない。