概要
人を信じられない王に、羊飼いのメロスが、親友を人質に置いて妹の結婚式に向かい、三日目の日没までに戻ると約束する。雑誌『新潮』に載った短編で、末尾に古い伝説とシラーの詩によったと書き添えてある。結婚して落ち着いた時期の太宰の明るい作品で、のちに中学校の国語の教科書の定番になった。
場所
東京
35.68°N 139.77°E · 日本・東京都
35.68°N 139.77°E · 日本・東京都
関わった人(1)
太宰治AD1909年6月19日–AD1948年6月13日 · 作者本文
『走れメロス』は、1940年5月、雑誌『新潮』に発表された短編小説である。太宰治は前の年に結婚し、東京の三鷹に移って、それまでの荒れた暮らしから立ち直りつつあった。この時期の作品には、明るく、まっすぐな話が多い。
舞台は古代のシチリアの町、シラクス。羊飼いのメロスは、人を疑って次々に殺す王ディオニスに腹を立て、城に乗り込んで捕らえられる。死刑を言い渡されたメロスは、妹の結婚式を挙げるために三日の猶予を求め、その間、親友の石工セリヌンティウスを人質に置くと申し出る。王は、どうせ戻ってこないだろうと笑って許す。
式を終えたメロスは、川の氾濫や山賊、そして自分の疲れと迷いに打ち勝って走り続け、日が沈む寸前に刑場に飛び込む。二人の友情を見た王は改心し、自分も仲間に入れてほしいと頼む。
作品の末尾には、古い伝説と、ドイツの詩人シラーの詩によったという添え書きがある。シラーの物語詩「人質」が、その元になっている。太宰が友人の檀一雄を熱海の宿に借金のかたとして残したまま東京へ戻ってしまった出来事が、この作品の着想になったという話も伝わる。戦後、中学校の国語の教科書に長く載り、日本でもっとも広く読まれた小説の一つになった。