概要
1960年代、アメリカのアリゾナ州フェニックスで、炊き出しの手伝いをしていたジョン・ヴァン・ヘンゲルは、スーパーマーケットの裏のごみ箱に、まだ食べられる食品が大量に捨てられているのを見た。ある母親から、食べ物を預けておいて必要な人が引き出せる、銀行のような場所があればいいと言われたという。1967年、彼は教会の支えで、余った食品を集めて配る「セント・メアリーズ・フードバンク」を開いた。捨てられる食べ物と飢える人をつなぐ仕組みは、アメリカ全土に、そして世界に広がった。日本でも2000年代から各地に作られている。
場所
33.45°N -112.07°E · アメリカ・アリゾナ州
本文
ジョン・ヴァン・ヘンゲルは、ウィスコンシンで育ち、事業に失敗し、離婚を経て、アリゾナ州のフェニックスへ移った。1960年代、彼は教会の炊き出しで、ボランティアとして食べ物を集める仕事をしていた。
ある日、彼は、子どもたちを抱えて暮らしに困っていた母親が、スーパーマーケットの裏のごみ箱から食べ物を拾っているのに出会った。箱の中には、缶がへこんだだけのもの、日付が迫っただけのもの、まだ十分に食べられる食品が大量に捨てられていた。母親は、お金を預けて引き出す銀行のように、食べ物を預けておいて、必要な人が引き出せる場所があればいい、と言ったという。
1967年、ヴァン・ヘンゲルは、教会から古い建物と3000ドルを借りて、「セント・メアリーズ・フードバンク」を開いた。食品の会社や店から、売り物にならなくなった食品を集め、困っている家庭や施設に配る。最初の年、およそ125トンの食品を配った。捨てれば費用がかかる企業にとっても、引き取ってもらえるのは得だった。
この形は、アメリカじゅうに広がった。1970年代の後半、連邦の補助を受けて全国の網ができ、いまでは二百を超えるフードバンクが、何万もの配布の場所に食品を届けている。フードバンクは、ヨーロッパやアジアにも広がった。日本では2000年代から各地で作られ、2019年には、食べ物を捨てることを減らす法律ができて、その取り組みを国が後押しするようになった。