概要
ヴェニスの商人アントーニオは、友人のために、ユダヤ人の金貸しシャイロックから金を借り、返せなければ自分の肉を1ポンド切り取らせると約束する。船が戻らず返済できなくなったアントーニオを救ったのは、男装して裁判官になったポーシャだった。喜劇として書かれたが、シャイロックの扱いをめぐって、いまも読み方が問われ続けている。
場所
51.51°N -0.13°E · イギリス・イングランド
関わった人(1)
ウィリアム・シェイクスピアAD1564年–AD1616年4月23日 · 作者本文
『ヴェニスの商人』は、シェイクスピアが1596年から1597年ごろに書いたとされる喜劇で、1600年に単独の本として刊行された。当時のイングランドでは、1290年にユダヤ人が追放されて以来、ユダヤ人が公には住んでいなかった。劇場の観客の多くにとって、ユダヤ人は物語の中の存在だった。
ヴェニスの商人アントーニオは、親友のバッサーニオが、ベルモントに住む裕福な女性ポーシャに求婚するための金を用立てようとする。手元に現金がなかったアントーニオは、ユダヤ人の金貸しシャイロックから金を借りる。日ごろアントーニオから侮辱されてきたシャイロックは、利子は取らないが、期日までに返せなければアントーニオの体の肉を1ポンド切り取ると証文に書かせる。
アントーニオの船は難破の知らせが続き、期日に返せなくなる。シャイロックは法廷で証文どおりの肉を求める。そこへ、男装して法学者になりすましたポーシャが現れ、証文には肉とだけあって血は含まれていない、一滴でも血を流せば財産を没収すると言い渡す。シャイロックは敗れ、財産の半分を失い、キリスト教への改宗を命じられる。
シャイロックが自分を嘲る者たちに向かって、ユダヤ人にも目がないのか、刺されれば血が出ないのかと問う台詞は、劇の中でとりわけ有名である。20世紀のホロコーストを経て、この作品をどう上演し、どう読むかは、反ユダヤ主義の問題と切り離せなくなった。