← 地図で見る
Event / できごと

トライアングル・シャツウエスト工場の火災

The Triangle Shirtwaist Factory fire
AD1911年3月25日
重要度 5
大英帝国カナダアメリカ合衆国アメリカ合衆国グリーンランドメキシコスペイングレートブリテン及びアイルランド連合王国ホンジュラスグアテマラAD1911年3月25日ニューヨーク
このできごとには、まだ自由に使える図版が見つかっていません。 代わりに、このデータベースが持っているAD1911年3月25日の版図を描いています(10勢力)

概要

ビルの八階から十階の縫製工場で火が出た。働いていたのは大半が十代から二十代の移民の女性である。九階の出口の扉は、盗みを防ぐという理由で施錠されていた。非常階段は途中で崩れ落ちた。消防のはしごは六階までしか届かない。窓から飛び降りた者が多数いた。146人が死んだ。経営者二人は無罪になった。この火災が、労働安全の法規と、防火の規制と、そして労働組合を、決定的に押し進めた。

場所

ニューヨーク
40.71°N -74.01°E · アメリカ合衆国

関わった人(1)

フランシス・パーキンズAD1880年4月10日–AD1965年5月14日 · 通りで見ていた

本文

**建物**。

**ニューヨーク、グリニッジ・ヴィレッジ**。

**ワシントン・プレイス23番地、アッシュ・ビル**。

(**十階建て**。**1901年竣工**。

**——**「耐火建築」**として建てられた**。

〈**そして、実際に、**建物そのものは、いまも建っている**。

**——**焼けたのは、中身と、人である**。〉)

**その八階、九階、十階**に、**トライアングル・シャツウエスト社**が入っていた**。

(**製品——**シャツウエスト**(女性用のブラウス)。

**当時、**流行の頂点にあった衣服である**。

**働いていた者——**約500人**。

**——**大半が、**十代から二十代の、移民の女性**である**。

〈**イタリア系と、東欧のユダヤ系**。

**最年少の犠牲者は、**14歳**(キャサリン・マルティエスとローザリア・マルティエス)。〉

**労働——**週六日、一日9時間から12時間**。

**賃金——**週7ドルから12ドル**。〉)

**その二年前**。

**1909年、「二万人の蜂起」**。

(——**衣料産業の、大規模なストライキ**。

**主力は、**若い移民女性**である**。

**トライアングル社の労働者も、**参加した**。

**——**そして、経営者は、**組合を認めなかった**。

〈**用心棒を雇い、**警察と結んで、ストを潰した**。

**多くの工場が、条件を改善した**。**トライアングル社は、しなかった**。〉

**そして、**要求の中に、**「非常口の確保」**があった**。〉)

**1911年3月25日、土曜日、午後4時40分頃**。

(——**終業の、直前である**。

**八階の、裁ち台の下の屑箱**から、火が出た**。

〈**原因——**煙草の火**と推定される**(工場内は禁煙だったが、守られていなかった)。

**そこに、**数か月分の、綿の裁ち屑**が溜まっていた**。

**——**そして、周囲に、**薄い綿布**が、大量に吊るされていた**。〉

**——**数分で、フロア全体が燃えた**。〉)

**何が、起きたか**。

**(1)**八階から、十階へ、電話で知らせた**。

(——**十階(経営者の事務所)には、**届いた**。

**そして、**九階には、届かなかった**。

〈**電話が、通じなかった**、とされる。

**——**九階の労働者は、**煙が来るまで、知らなかった**。〉)

**(2)**九階の、出口の扉が、施錠されていた**。

(——**ワシントン・プレイス側の階段への扉**。

**理由——**盗みを防ぐため**、と説明された**。

〈**当時、**退勤時に、労働者の鞄を検査する**慣行があった**。

**そのために、**出口を一つに絞っていた**。

**——**そして、もう一方は、鍵をかけていた**。〉

**この点は、**裁判の、最大の争点になった**。〉)

**(3)**非常階段が、崩れた**。

(——**建物の外側の、鉄の非常階段**。

**細く、急で、**そして、**地上まで届いていなかった**(二階で終わっていた)。

**——**約20人が、その上にいたとき、**熱で歪み、崩落した**。

**全員が、落ちた**。〉)

**(4)**エレベーターが、二回で、止まった**。

(——**運転手のジョセフ・ザリックとガスパー・モルティロ**が、**何度も往復した**。

**——**そして、**熱で、レールが歪んだ**。

**それ以上、動かせなくなった**。

〈**その後、**エレベーターの縦坑に、飛び降りた者がいる**。

**——**箱の上に落ちて、それで、箱が動かなくなった**、とも記録されている**。〉

**——彼らは、**多数の命を救った**。〉)

**(5)**消防のはしごが、届かなかった**。

(——**当時のニューヨーク市消防局のはしごの最大の高さは、**六階、約26メートル**。

**火は、**八階から十階**である**。

**——**約9メートル、足りなかった**。〉

**そして、**救助網**(life net)**を広げた**。

**——**役に立たなかった**。

〈**九階からの落下の衝撃に、**耐える構造ではない**。

**網が、破れた**。**そして、**支えていた消防士が、投げ出された**。

**——**「三人が同時に落ちてきて、網が裂けた」**という証言がある**。〉)

**そして**。

(——**窓から、飛んだ**。

**下の通りに、**大勢の人が集まっていた**。

**そして、**それを、見ていた**。

〈**新聞記者の証言**。

**「わたしは、**六十二人が落ちるのを、数えた**」**。

**そして——**手をつないで、二人で、あるいは三人で、一緒に飛んだ**者がいた、と複数の証言がある**。〉)

**死者——146人**。

(**女性、**123人**。**男性、**23人**。

**——**そのうち、**約50人が、飛び降りた**。

**多くが、**十代である**。

**そして——**六人の遺体が、**身元不明のまま埋葬された**。

〈**2011年、**百周年の年に、**研究者マイケル・ハーシュ**が、**すべての身元を特定した**。

**——**百年かかった**。〉)

**裁判**。

(**経営者——**マックス・ブランクとアイザック・ハリス**。

**罪状——**過失致死**。

**争点——**扉が施錠されていたことを、彼らが知っていたか**。

**弁護人——**マックス・シュタイアー**(当代随一の刑事弁護人)。

〈**彼は、**生存者の証言を、**「暗記させられたものだ」**として、崩した**。

**——同じ言葉を、繰り返させた**。〉

**1911年12月、**無罪**。

〈**陪審員の一人が、後に語った**。

**「扉が施錠されていたとは思う。**しかし、被告がそれを知っていたという証明が、無かった**」**。〉

**——民事訴訟では、**1913年、和解**。

**遺族一人あたり、**75ドル**。

〈**そして、**保険会社は、**経営者に、**損失を上回る額**を支払っていた**。

**——一人あたり、約400ドルの利益になった、と計算されている**。〉

**そして、1913年、**ブランクは、再び、非常口を施錠しているところを摘発された**。

**罰金——**20ドル**。〉)

**そして、変わった**。

(**(1)**ニューヨーク州工場調査委員会**(1911年)。

〈**四年間で、**3,385の職場を、実地に調査した**。

**そして、**36の法律**を、通した**。

——**防火設備、非常口、扉の開き方(**外開きにする**)、換気、児童労働、女性の労働時間**。

**——**当時、アメリカで最も進んだ労働法規**になった**。〉

**(2)**委員会の、二人の中心人物**。

〈**アル・スミス**(後のニューヨーク州知事、大統領候補)。

**ロバート・ワグナー**(後の上院議員。**ワグナー法**——労働者の団結権を保障した法——の起草者)。

**——彼らが、**この調査を通じて、労働問題の専門家になった**。〉

**(3)そして、**フランシス・パーキンズ**。

〈**彼女は、**その日、近くの友人宅で、お茶を飲んでいた**。

**騒ぎを聞いて、**通りへ出た**。

**そして、**見た**。

**——**「その日、ニューディールは始まった」**と、彼女は後に語っている**。

**1933年、**合衆国初の女性閣僚(労働長官)**。

**——**社会保障法、公正労働基準法、最低賃金、週40時間、児童労働の禁止**。〉

**(4)**組合**。

〈**国際女性衣料労働組合**(ILGWU)**が、これを機に、大きく伸びた**。

**——**葬列に、**約35万人**が参加した**、とされる**。〉)

**いま**。

(**建物は、**ニューヨーク大学のブラウン・ビル**として、**いまも使われている**。

**——**国定歴史建造物**。

**2023年10月、**記念碑が、除幕された**。

〈**146人の名が、**鋼のリボンに刻まれている**。〉

**そして——**同じことが、**まだ起きている**。

**2012年、**バングラデシュ、タズリーン・ファッションズ工場の火災**——**112人が死んだ**。

**——**非常口が、施錠されていた**。

**2013年、**ラナ・プラザ崩落**——**1,134人**。

**——**そして、その工場は、**欧米の衣料ブランドの、下請けだった**。〉)

同じ時代のできごと

ニュージーランドの女性参政権AD1893年9月19日ドレフュス事件AD1894年12月22日ヴィクトリア女王即位60年AD1897年オムドゥルマンの戦いAD1898年9月2日オーストラリア連邦の成立AD1901年1月1日アインシュタインの奇跡の年AD1905年ナウルの燐鉱石1907年韓国併合AD1910年8月29日
AD1911年の世界を地図で見る国境・できごと・生きている人が、その年のものに入れ替わります