概要
雑誌リテラリー・ダイジェストは、それまで四回、大統領選を的中させていた。1936年は千万通の葉書を送り、二百四十万通の回答を得る。予測はランドン勝利、ローズヴェルトは四割強。結果は、ローズヴェルトが六割を超える圧勝だった。名簿を電話帳と自動車の登録から作ったため、大恐慌下で電話と車を持てる層に偏っていた。回答した者だけが集計されたことも効いている。一方、五万人の設計された標本で当てたギャラップが世に出た。数の多さは、偏りを直さない。
場所
40.71°N -74.01°E · アメリカ合衆国
関わった人(1)
ジョージ・ギャラップAD1901年11月18日–AD1984年7月26日 · 当てた本文
**実績**。
(——**『リテラリー・ダイジェスト』**誌**。
〈**——**1916年から、**大統領選を、予測してきた**。
**——**1916年(ウィルソン)、1920年(ハーディング)、1924年(クーリッジ)、1928年(フーヴァー)、1932年(ローズヴェルト)。
**——**五回、連続で、**当てていた**。
**〈——1932年は、**得票率の誤差が、1%未満**である。〉**
**——**そして、**「模擬投票」**(straw poll)**として、**広く、信用されていた**。〉)
**1936年**。
(——**方法**。
〈**——**葉書を、**約1,000万通**、送った**。
**——**そして、**約240万通**の、回答を、得た**。
**〈——史上最大の、世論調査である。**
**——そして、**いまも、その規模を、超えるものは、稀である**。〉**〉
**——**名簿**。
〈**——**電話帳**。
**——**自動車の登録**。
**——**クラブの会員名簿**。
**——**そして、**自誌の購読者**。〉
**予測**。
〈**——**アルフレッド・ランドン**(共和党)——**約57%**。
**——**フランクリン・ローズヴェルト**(民主党)——**約43%**。
**——**そして、**「ランドンが、勝つ」**。〉
**結果**(1936年11月3日)。
〈**——**ローズヴェルト——**60.8%**。**選挙人、**523人**。
**——**ランドン——**36.5%**。**選挙人、**8人**。
**〈——メイン州と、ヴァーモント州だけ。**
**——アメリカ史上、**最も一方的な大統領選の一つ**である。〉**
**——**誤差、**約19ポイント**。〉)
**なぜ、外れたか**。
(**(1)**名簿の、偏り**。
〈**——**1936年**である**。
**——**大恐慌の、最中**。
**——**そして、**電話と、自動車を、持てる人**は、**どういう人か**。
**〈——比較的、豊かである。**
**——そして、**共和党を、支持する傾向が、強かった**。〉**
**——**1936年の選挙は、**階級によって、票が、はっきり分かれた**選挙である**。
**〈——ニューディール。**
**——そして、労働組合。〉**
**——**だから、**この偏りが、**そのまま、致命傷になった**。
**〈——1932年までは、**そこまで、階級で割れていなかった**。**
**——だから、同じ方法で、当たっていた。〉**〉
**(2)**そして、**回答の、偏り**。
〈**——**1,000万通、送って、**240万通**の回答**。
**——**回答率、**約24%**。
**——**では、**答えなかった、760万人**は**。
**——**そして、**「不満を持っている人ほど、**答える」**という傾向が、**指摘されている**。
**〈——現状を変えたい人が、葉書を出す。**
**——満足している人は、出さない。**
**——後の研究が、**この効果のほうが、名簿の偏りより、大きかった可能性**を、指摘している。**
**〈スクワイア(1988年)の分析。〉〉**〉
**——**つまり**。
〈**——**二百四十万という数**が、**何の役にも、立たなかった**。
**——**むしろ、**その数が、**確信を、強めた**。〉)
**ギャラップ**。
(——**同じ選挙で**。
〈**——**ジョージ・ギャラップ**は、**約5万人**の標本で、**ローズヴェルトの勝利を、予測した**。
**〈——実際の得票率との誤差は、**6ポイントほど**である。**
**——決して、正確では、無い。**
**——そして、**方向は、当てた**。〉**
**——**さらに、彼は、**選挙の前に、**ダイジェストが外れることを、予測して、公表した**。
**〈——「彼らの方法は、**このように、偏っている**」。**
**——そして、**ダイジェストの名簿と同じ方法で、小さな標本を取って、**
**——「彼らは、こういう結果を出すだろう」**と、当てた。**
**——それも、当たった。〉**
**——**そして、**それが、**彼の名を、決定的にした**。〉
**——**ただし**。
〈**——**彼の方法も、**完全な無作為抽出では、無い**。
**——**「割当法」**(quota sampling)である**。
**〈——「男性を何人、女性を何人、この年齢層を何人」と決めて、**
**——調査員が、**その枠に合う人を、自分で見つけて、聞く**。**
**——そして、**誰を選ぶかは、調査員の判断**である。〉**
**——**そして、**十二年後**。
**——**それが、**破綻する**。〉)
**1948年**。
(——**トルーマン対デューイ**。
〈**——**ギャラップ、ロパー、クロスリー**——**三社とも、**デューイの勝利を、予測した**。
**——**そして、**トルーマンが、勝った**。〉
**——**『シカゴ・デイリー・トリビューン』**が、**「デューイ、トルーマンを破る」**という見出しで、**刷ってしまった**。
〈**——**そして、**トルーマンが、**それを掲げて、笑っている写真**が、**最も有名な報道写真の一つ**になった**。〉
**原因**。
〈**(1)**割当法の、限界**。
**——**調査員が、**話しかけやすい人**を、選ぶ**。
**(2)**そして、**調査を、**早く、やめすぎた**。
**〈——十月の半ばで、打ち切った。**
**——そして、**最後の二週間で、票が、動いた**。〉**〉
**——**そして、**この失敗の後、**業界が、無作為抽出**へ、移った**。
〈**——**社会調査研究センター**(ミシガン大学)と、**全国世論調査センター**(シカゴ大学)**が、**それを、主導した**。〉)
**そして、いま**。
(——**同じことが、**繰り返し、起きている**。
〈**——**1992年、イギリスの総選挙**。
**〈——「シャイ・トーリー」効果。**
**——保守党に投票する人が、**そう答えなかった**。〉**
**——**2015年、イギリス**。
**——**2016年、EU離脱の国民投票、そしてアメリカの大統領選**。
**——**2020年、アメリカ**。
**〈——特に、**州ごとの誤差**が、大きかった。〉**〉
**——**そして、**教訓は、**九十年前と、同じである**。
〈**——**「数の多さは、**偏りを、直さない」**。
**——**そして、**「誰が、答えていないか」**を、**考えなければならない**。〉)