概要
それまでの食料品店では、客が欲しいものを店員に告げ、店員が棚から取ってくる。時間がかかり、人手が要る。クラレンス・サンダースは、メンフィスの店で、客を回転式の木戸から入れ、通路を一本道にして、すべての棚を通らせ、出口で精算させた。店員が減り、値が下がる。すべての商品に値札を付ける必要が生まれ、包装と銘柄が意味を持つようになった。買う物を、客が自分で選ぶ。ピグリー・ウィグリーという名の由来を、彼は最後まで説明しなかった。
場所
35.15°N -90.05°E · アメリカ・テネシー州
本文
**それまで**。
(——**食料品店**。
〈**——**客が、**カウンターの前に、立つ**。
**——**そして、**欲しいものを、告げる**。
**——**店員が、**棚から、取ってくる**。
**——**量り売りのものは、**その場で、量って、袋に入れる**。
**〈——小麦粉。砂糖。豆。〉**
**——**そして、**次の客が、待っている**。〉
**問題**。
〈**(1)**時間がかかる**。
**(2)**人手が、要る**。
**——**そして、**人件費が、価格に、乗る**。
**(3)そして、**掛け売りと、配達**。
**——**それも、**費用である**。〉)
**サンダース**。
(**クラレンス・サンダース**(1881〜1953年)。
〈**——**ヴァージニアの、**極めて貧しい家**。
**——**十四歳で、**雑貨屋の店員**。
**——**そして、**卸売の会社で、働いた**。
**——**そこで、**小売の非効率を、見た**。〉)
**1916年9月6日**。
(——**テネシー州、メンフィス、ジェファーソン街79番地**。
**「ピグリー・ウィグリー」**(Piggly Wiggly)。
〈**——**名の由来**。
**——**彼は、**説明を、拒み続けた**。
**——**「なぜ、そんな名前にしたのか」と聞かれて、
**——**「人が、そう聞くからだ」**と、答えた、と伝えられる。〉)
**構造**。
(——**特許を、取っている**(1917年、「セルフサービス式店舗」)。
〈**(1)**入口に、**回転式の木戸**(turnstile)。
**——**一方向にしか、通れない**。
**(2)**入ったら、**通路が、一本道**である**。
**——**そして、**店内を、蛇行しながら、**すべての棚の前を、通る**。
**〈——「見せる」ためである。**
**——買うつもりのなかったものが、目に入る。〉**
**(3)**棚に、**すべての品が、並んでいる**。
**——**そして、**すべてに、値札が、付いている**。
**(4)**客が、**籠を持って、自分で、取る**。
**(5)**そして、**出口の、精算台**で、払う**。
**〈——「チェックアウト」。〉**〉
**——**店員は、**棚を補充する者と、精算する者**だけ**。〉)
**結果**。
(**(1)**人件費が、**下がった**。
〈**——**そして、**価格を、下げられた**。〉
**(2)**現金払い**。
〈**——**掛け売りを、やめた**。
**——**配達も、やめた**。
**——**「キャッシュ・アンド・キャリー」**。〉
**(3)**そして、**予期しなかったこと**。
〈**——**包装と、銘柄**が、**意味を持ち始めた**。
**——**それまで、**店員に「小麦粉をください」と言えば、済んだ**。
**——**いまや、**棚の上で、**箱が、自分を、売り込まなければならない**。
**〈——だから、**パッケージのデザイン**と、**
**——そして、**全国的な広告**が、**急速に、重要になった**。**
**——「ブランド」が、**棚の上で、機能し始めた**。〉**
**——**さらに、**衝動買い**。
**〈——サンダース自身が、**それを、狙っていた**。**
**——「客は、**見たものを、買う**」。〉〉**
**(4)そして、**万引き**。
〈**——**新しい問題である**。
**——**そして、**それが、**この方式の、恒常的な費用になった**。〉)
**広がり**。
(——**1923年までに、**約1,200店**。
〈**——**そして、**フランチャイズ**として、広げた**。〉
**——**そして、**次の段階**。
〈**1930年、**キング・カレン**(ニューヨーク、クイーンズ)。
**——**マイケル・カレン**。
**——**「大量に、安く、そして、駐車場を、付ける」**。
**〈——空いた倉庫を、店にした。**
**——内装に、金をかけない。**
**——そして、**自動車で来て、まとめ買いする**。〉**
**——**これが、**「スーパーマーケット」**の、始まりとされる**。
**〈——ただし、定義による。**
**——サンダースが「セルフサービス」を、**カレンが「規模と、安さと、駐車場」**を、加えた。〉**
**——**そして、**1937年、**ショッピングカート**。
**〈——シルヴァン・ゴールドマン(オクラホマ)。**
**——折りたたみ椅子に、車輪と、籠を付けた。**
**——そして、**最初、誰も、使わなかった**。**
**〈——男は「弱そうに見える」と言い、女は「乳母車のようだ」と言った。〉**
**——彼は、**サクラを雇って、店内で、押して回らせた**。**
**——そして、広まった。**
**——買う量が、**増えた**。〉〉**)
**サンダース**。
(——**そして、彼自身は、**失った**。
〈**1923年、**ニューヨーク証券取引所で、**自社株の買い占め合戦**に、挑んだ**。
**〈——空売り筋と、戦った。**
**——一時、**追い詰めた**(コーナー)。**
**——そして、取引所が、**規則を変えて、決済の期限を延ばした**。**
**——彼は、**破産した**。〉**
**——**そして、**ピグリー・ウィグリーの経営権を、失った**。
**——**さらに、**メンフィスに建てていた、**巨大な自邸**が、未完成のまま、債権者に渡った**。
**〈「ピンクの宮殿」。**
**——いまは、**メンフィスの博物館**になっている。〉**〉
**——**その後も、**新しい店の構想を、繰り返した**。
〈**——**「クラレンス・サンダース、独りぼっちの店主」**(Clarence Saunders, Sole Owner of My Name)。
**〈——前の会社に、自分の名を、使えなくされたためである。**
**——そして、その店も、大恐慌で、潰れた。〉**
**——**そして、**「ケドゥーズル」**(Keedoozle)。
**〈——完全自動の店。**
**——客が、**サンプルの陳列にキーを差し込む**と、**
**——テープに穴が開き、**奥の倉庫から、品が、コンベアで、出てくる**。**
**——1937年、1948年、1949年と、三度、試みた。**
**——そして、三度とも、**機械が、追いつかなかった**。〉**
**1953年、死去**。**七十二歳**。
**——**貧しかった**。〉)