概要
ポツダム宣言の受諾が決まった8月14日の深夜、宮内省で天皇の朗読が二度録音された。それを奪って放送を止めようとする将校たちが宮城に押し入ったが、円盤は隠されて運び出された。15日正午、全国のラジオが鳴った。多くの国民が天皇の声を聞くのは、これが初めてである。文語で、雑音が多く、「降伏」の語は出てこない。共同宣言を受諾すると述べただけなので、放送のあとにアナウンサーが意味を説明しなければならなかった。戦争の終わりが、声で伝えられた。
場所
35.68°N 139.77°E · 日本・東京都
関わった人(1)
昭和天皇AD1901年4月29日–AD1989年1月7日 · 朗読本文
**決まる**。
(——**1945年8月**。
〈**(1)**6日、**広島**。
**(2)**そして、**8日、**ソ連が、**参戦**。
**(3)さらに、**9日、**長崎**。
**(4)そして、**同じ日の夜から、**御前会議**。〉
**——**14日、**ポツダム宣言の受諾**が、**決まった**。
〈**——**閣僚の意見は、**割れていた**。
**——**最後は、**天皇の言葉**で、**決めた**という形**が、取られた**。〉
**——**どう、**伝えるか**。
〈**——**布告を、**紙で、出す**。
**——**それだけでは、**軍が、**従わないかもしれない**。
**——**前線には、**まだ、**何百万の兵がいる**。
**——**本人の声**で、**言うことになった**。〉)
**録音**。
(——**14日の夜**。
〈**(1)**宮内省の一室**に、**放送局の技師**が、**機材を、運び込んだ**。
**(2)**そして、**十一時すぎ**、**天皇が、**詔書を、読んだ**。
**(3)さらに、**二度、**録音した**。
**〈——一度目は、**声が、高すぎた**とも、**言葉を、飛ばした**とも、伝わる。**
**——**二度目のほうが、**使われた**。〉**
**(4)そして、**円盤**が、**二枚、**できた**。〉
**——**その夜**。
〈**——**受諾に反対する将校たちが、**兵を動かし、**宮城に、押し入った**。
**——**近衛師団長が、**殺された**。
**——**目的の一つは、**録音の円盤を、**奪い、**放送を、止める**ことである**。〉
**——**円盤は、**見つからなかった**。
〈**——**箱に入れ、**別の部屋に、隠されていた**と、伝えられる**。
**——**夜が明け、**反乱は、**収まった**。
**——**そして、**円盤は、**放送局へ、**運ばれた**。〉)
**正午**。
(——**8月15日、**昼の十二時**。
〈**——**前もって、**「重大な放送がある」**と、**告知されていた**。
**——**工場でも、**役場でも、**人が、**受信機の前に、**集まった**。
**——**持っていない家の人は、**隣の家や、**町内の一台**の前に、**立った**。〉
**——**流れた**。
〈**(1)**まず、**国歌**。
**(2)**そして、**録音**。
**(3)さらに、**四分あまり**。〉
**——**多くの国民が、**天皇の声を、**聞いたのは、**これが、初めてである**。
〈**——**それまで、**写真は、あった**。
**——**肖像は、**学校に、掲げられていた**。
**——**だが、**声は、**無かった**。〉)
**分からない**。
(——**聞き取りにくかった**。
〈**(1)**雑音**。
**〈——電波の状態も、**受信機も、**良くない**。**
**——**円盤から流した音**である。〉**
**(2)**そして、**文語**。
**〈——日常の言葉では、ない。〉**
**(3)さらに、**「降伏」**という語が、**出てこない**。
**〈——共同宣言を受諾する**、と、**述べている**。**
**——**耐え難きを耐え、**忍び難きを忍ぶ**、という一節が、**よく知られている**。〉〉**
**——**放送のあと、**アナウンサーが、**内容を、**言い直した**。
〈**——**それで、**ようやく、**意味が、伝わった人**も、多かった**。〉
**——**受け取り方は、**さまざま**だった**。
〈**——**泣き崩れる**。
**——**ほっとする**。
**——**信じない**。
**——**そして、**放送のあとに、**自ら命を絶った者**も、いた**。〉)
**その先**。
(——**戦闘は、**すぐには、**止まらない**。
〈**——**満洲や、**樺太**では、**続いた**。
**——**降伏の文書に、**署名したのは、**9月2日**である**。〉
**——**それでも、**「八月十五日」**が、**戦争の終わった日**として、**記憶された**。
〈**——**声が、**その日を、**作った**。〉)
**残ること**。
(——**声は、**紙より、**疑いにくい**。
〈**——**布告は、**「誰かが、勝手に出した」**と、言える**。
**——**本人の声は、**言いにくい**。
**——**だからこそ、**円盤を、**奪おうとした者**が、いた**。〉
**——**同じ年、**別の国では**。
〈**——**[[fireside-chat]]**の十二年**が、**終わっていた**。
**——**あちらは、**毎年のように、**声が、**家に、入ってきた**。
**——**こちらは、**一度きり**である**。〉
**——**一度きりだから、**強い**とも、言える**。
〈**——**声を、**使わない**ことも、**声の使い方**である**。
**——**聞いたことのない声**が、**一度だけ、**流れる**。
**——**それが、**終わりの合図**になった**。〉)