概要
電話線は長いほど信号が弱る。技術者は当初、標準的な一マイルのケーブルの損失を単位に使っていた。ベル電話研究所が、それを比の対数として定義し直す。十分の一を意味する接頭語を付けて、デシベル。1928年に正式に採用された。比の対数だから、絶対値ではない。何と比べるかを決めなければ、数字にならない。音圧なら、若い健康な耳がかろうじて聞き取る大きさが基準である。人の感覚が対数に近いという経験則が、そのまま単位になった。
場所
40.71°N -74.01°E · アメリカ合衆国
本文
**電話の問題**。
(——**線が、長いほど、**信号が、弱る**。
〈**——**そして、**「どれだけ、弱ったか」**を、**測らなければならない**。〉
**最初の単位**。
〈**——**「標準ケーブル・マイル」**(mile of standard cable、MSC)。
**——**特定の規格の、**一マイルのケーブル**が、**800Hzの信号に対して、与える損失**。
**——**「この区間の損失は、**十二マイル相当である」**。
**〈——極めて、実務的である。**
**——そして、**器具の規格に、依存している**。〉**〉)
**対数**。
(——**そして、**なぜ、対数か**。
〈**(1)**損失が、**掛け算で、効く**。
**——**区間を、繋ぐと、**損失の比が、掛け合わされる**。
**——**対数にすれば、**足し算になる**。
**〈——「この区間が3、次が5、だから合計8」。〉**
**(2)そして、**人の感覚**。
**——**ヴェーバー=フェヒナーの法則**。
**〈——刺激の強さの、**対数**に、感覚が、比例する。**
**——正確には、**近似である**(スティーヴンスの冪法則など、修正がある)。**
**——それでも、**桁で考えるほうが、感覚に、近い**。〉**
**——**そして、**人が聞き取れる音の、**最も小さいものと、最も大きいものの比**が、
**——**約一兆倍**である**。
**〈——1,000,000,000,000。**
**——そのまま数字で扱うのは、**不便すぎる**。〉**〉)
**ベル**。
(**1924年頃、**ベル電話研究所**。
〈**——**「伝送単位」**(transmission unit、TU)**として、**提案された**。
**——**そして、**1928年、**「ベル」**(bel)**と、命名された**。
**〈——アレクサンダー・グラハム・ベル**に、ちなむ。〉**
**定義**。
**〈——**電力の比の、常用対数**。**
**——1ベル=比が10倍。**
**——2ベル=100倍。〉**
**——**そして、**大きすぎた**。
**〈——実用の場面で、**0.3ベル**などと、小数になる。〉**
**——**だから、**十分の一**。
**——**「デシベル」**(decibel、dB)。〉)
**性質**。
(**(1)**比である**。
〈**——**絶対的な量では、**無い**。
**——**「何と比べるか」**を、決めなければ、**数字にならない**。〉
**(2)**だから、**基準を、決める**。
〈**——**音圧なら、**20マイクロパスカル**。
**〈——若い健康な人の耳が、**1,000Hzで、かろうじて聞き取る**、とされた値。**
**——そして、それを、**0 dB**とする。〉**
**——**そして、**その基準を明示するため、**「dB SPL」**と、書く**。
**〈——他に、**dBm**(1ミリワット基準)、**dBu**、**dBV**、**dBA**(人の耳の感度で、重み付けしたもの)。**
**——単位が、**同じ「dB」でも、**基準が違えば、比べられない**。**
**——これが、**極めて、頻繁に、混同されている**。〉**〉
**(3)そして、**足し算が、効かない**。
〈**——**60 dBの音が、二つあると、**120 dB**では、**無い**。
**——**約63 dB**である**。
**〈——電力が、二倍になるだけ。**
**——そして、log(2)×10 ≒ 3。〉**
**——**そして、**10 dB増えると、**電力は、十倍**、**音の大きさの感覚は、およそ二倍**、とされる**。
**〈——後者は、**経験的な近似**である。〉**〉)
**目安**。
(〈**——**0 dB**——**聞こえるか、聞こえないかの境**。
**——**20 dB**——**静かな部屋**。
**——**60 dB**——**普通の会話**。
**——**85 dB**——**この辺りから、**長時間で、聴力を損なう**とされる**。
**——**100 dB**——**電車の車内、あるいは、大きな音楽**。
**——**120 dB**——**痛みを感じ始める**。
**——**140 dB以上**——**短時間でも、損傷する**。〉
**——**そして、**約194 dB**が、**大気中の音圧の、上限に近い**。
〈**——**それ以上は、**「音」ではなく、**衝撃波**である**。
**〈——大気圧そのものが、**一気圧しか無い**からである。**
**——負の圧力に、なれない。〉**
**——**1883年、**クラカタウの噴火**。
**——**約160キロ離れた地点で、**約172 dB**と推定されている**。
**——**そして、**音が、**地球を、数周した**、と記録されている**。〉)
**そして**。
(——**「測れるようになった」ことが、**何を、可能にしたか**。
〈**(1)**基準を、決められる**。
**〈——「職場の騒音は、85 dB以下に」。〉**
**(2)**そして、**争える**。
**〈——「あなたの店の音が、**うるさい**」ではなく、**
**——「深夜に、**敷地境界で、45 dBを、超えている**」。〉**
**(3)そして、**同時に**。
**——**「この数値以下なら、**我慢すべきである」**という線が、引かれる**。〉
**——**次の項目**。)