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Event / できごと

フレネル・レンズ

The Fresnel lens
AD1823年
重要度 4
デンマークスウェーデン=ノルウェーオーストリア帝国エジプトスペインフランスモロッコAlgiersグレートブリテン及びアイルランド連合王国プロイセン両シチリア王国バイエルンTunisサルデーニャ王国TripolitaniaハノーファーCyrenaicaAD1823年ボルドー
このできごとには、まだ自由に使える図版が見つかっていません。 代わりに、このデータベースが持っているAD1823年の版図を描いています(17勢力)

概要

灯台の光を遠くへ届けるには、レンズで束ねればよい。しかし必要な大きさのレンズは、厚く、重く、自重で歪み、そして光を吸ってしまう。オーギュスタン・ジャン・フレネルは、レンズを同心円の帯に分け、曲面だけを残して厚みを削った。板のように薄く、光を通す。さらに外側には全反射するプリズムの環を置き、上下へ逃げる光まで拾った。ジロンド川口のコルドゥアン灯台に据えられ、光の届く距離が倍以上になった。彼は三十九歳で結核により死んだ。

場所

ボルドー
44.84°N -0.58°E · フランス

関わった人(1)

オーギュスタン・ジャン・フレネルAD1788年5月10日–AD1827年7月14日 · 設計

本文

**問題**。

(——**灯台の光を、**遠くへ、届けたい**。

**方法**。

〈**(1)**反射鏡**(catoptric)。

**——**放物面の鏡を、**光源の後ろに、置く**。

**——**そして、**それを、複数、並べる**。

**〈——18世紀後半から、使われた。**

**——問題。**

**——鏡が、**光を、吸う**(当時の銀メッキで、反射率は、**六割程度**)。**

**——そして、**放物面から外れた光は、**逃げる**。〉**

**(2)**レンズ**(dioptric)。

**——**凸レンズで、**束ねる**。

**——**問題**。

**〈——**必要な口径のレンズは、**極端に、厚く、重くなる**。**

**——直径1メートルのレンズなら、**中心の厚さが、数十センチ**。**

**——重さ、**数百キロ**。**

**——そして、**厚いガラスは、光を、吸う**。**

**——さらに、**自重で、歪む**。**

**——そして、**冷やすときに、割れる**。〉〉**)

**着想**。

(——**「レンズの、どこが、光を曲げているか」**。

〈**——**表面の、**曲面**である**。

**——**内部の、厚い部分は、**光を、通しているだけ**である**。

**——**そして、**吸っている**。〉

**——**では、**その厚みを、削ればよい**。

**方法**。

〈**(1)**レンズを、**同心円の、輪**に、分ける**。

**(2)**それぞれの輪の、**曲面だけを、残す**。

**(3)**そして、**残りを、削って、**平らな板の上に、並べ直す**。

**——**「階段状の」レンズ**。

**〈——厚さが、**数センチ**で済む。**

**——そして、**光学的な性能は、**元の厚いレンズと、ほぼ同じ**。〉〉**

**先行**。

〈**——**ビュフォン**(1748年)が、**同じ発想を、述べている**。

**〈——一枚のガラスから、**階段状に、削り出す**、という案。**

**——実際に作るのは、極めて、難しい。〉**

**——**コンドルセ**(1773年)も**。

**——**そして、**ブリュースター**(イギリス)が、**同じ頃、独立に、考えていた**。

**——**フレネルが、やったのは、**輪を、別々に作って、組み合わせる**ことである**。

**〈——「作れる」形にした。〉**〉)

**そして、もう一段**。

(——**フレネルは、**さらに、外側に、**プリズムの環**を、置いた**。

〈**——**中央のレンズから、大きく外れた角度へ行く光**は、**レンズでは、拾えない**。

**——**そこに、**断面が三角形の、ガラスの環**を、置く**。

**——**光が、**そこで、屈折し、**内部で全反射し、**そして、水平方向へ、出る**。

**〈「カタディオプトリック」。**

**——屈折と、反射の、両方を使う。〉**

**——**これで、**光源から出る光の、**極めて大きな割合**を、水平方向へ、集められる**。

**〈——反射鏡だけの方式で、**約17%**。**

**——フレネル・レンズで、**約80%以上**、と、当時、計算された。〉**〉)

**等級**。

(——**フレネルが、**大きさの規格**を、定めた**。

〈**——**第一等**——**焦点距離920ミリ、直径約1.8メートル、高さ約2.6メートル**。

**——**そして、**第六等**まで**。

**——**大きいほど、遠くへ届く**。

**〈——第一等は、**主要な岬と、大洋に面した灯台**。**

**——小さいものは、**港と、河口。〉**

**——**この規格が、**世界標準になった**。〉)

**コルドゥアン**。

(**1823年7月25日**。

**——**ジロンド川の河口**(ボルドーの、下流)。

〈**——**コルドゥアン灯台**。

**——**16世紀末に建てられた、**極めて古い灯台**である**。

**〈——「灯台のヴェルサイユ」と呼ばれる、装飾的な塔。**

**——そして、**フランスの現役の灯台で、最も古い**。**

**——2021年、世界遺産。〉**

**——**そこに、**フレネルの第一等レンズ**が、据えられた**。〉

**結果**。

〈**——**光の届く距離が、**倍以上になった**、とされる**。

**——**そして、**燃料の消費が、減った**。

**〈——同じ明るさを、**少ない油**で、得られる。〉**〉

**——**そして、**十年で、**フランス中の灯台が、これに切り替わった**。〉)

**普及と、抵抗**。

(——**イギリスは、**遅れた**。

〈**——**トリニティ・ハウス**(灯台を管理する組織)が、**反射鏡の方式に、固執した**。

**——**理由**。

**〈——**「フランスのものである」**。**

**——そして、**既存の設備への投資**。〉**

**——**1830年代から、**次第に、導入された**。〉

**アメリカ**。

〈**——**さらに、遅れた**。

**——**灯台の管理者**スティーヴン・プレザントン**(財務省の役人)が、**費用を理由に、拒み続けた**。

**〈——彼は、灯台の予算を、**極端に切り詰めることで、評価されていた**。**

**——そして、アメリカの灯台は、**「世界で最も、質の悪いもの」**として、船乗りに、悪名高かった。〉**

**——**1852年、**灯台局が、設置され、**方針が、変わった**。

**——**そして、**南北戦争で、**南軍が、レンズを、外して隠した**。

**〈——北軍の船が、使えないように。**

**——戦後、多くが、見つかった。**

**——そして、いくつかは、失われた。〉**〉)

**フレネル**。

(——**彼は、**土木技師**である**。

〈**——**灯台の仕事は、**「灯台委員会」の委員**としての、公務である**。〉

**そして、**彼の本業は、**光の理論**である**。

〈**——**光は、**波である**。

**——**そして、**横波である**(進行方向に、垂直に振動する)。

**——**それを、**数学で示した**。

**〈——当時、**ニュートン以来の粒子説**が、主流である。**

**——そして、フランス学士院の懸賞論文(1819年)で、**

**——審査員のポアソンが、**フレネルの理論に、反例を、突きつけた**。**

**「この理論によれば、**円盤の影の中心に、明るい点ができる**はずである。**

**……**そんな馬鹿なことは、ありえない」**。**

**——そして、アラゴが、**実験した**。**

**——点が、あった**。**

**〈「ポアソンの明点」、あるいは「アラゴの明点」。**

**——反証しようとした人の名が、付いている。〉**

**——フレネルが、賞を得た。〉**〉

**1827年7月14日、死去**。**三十九歳**。

〈**——**結核**である**。

**——**死の直前、**ロンドン王立協会が、**ラムフォード・メダル**を、贈った**。

**そして、彼は、こう言ったと伝えられる**。

**「わたしが、最も高く評価する賞賛は、……**もはや、わたしには、意味がない」**(要旨)。〉

**——**エッフェル塔に刻まれた、七十二人の名の一つ**である**。〉)

**そして、いま**。

(——**灯台のレンズとしての役目は、**終わりつつある**。

〈**——**回転する巨大なレンズ**の代わりに、**LEDの点滅**。

**——**そして、**GPS**。

**——**多くの灯台が、**自動化され、あるいは、廃止された**。

**——**外されたレンズが、**博物館と、収集家の手に、渡っている**。〉

**——**しかし、**原理は、あらゆるところにある**。

〈**——**プロジェクターと、映写機の集光**。

**——**自動車のヘッドライトと、テールランプ**。

**——**カメラのフォーカシング・スクリーン**。

**——**そして、**薄いプラスチックの、拡大レンズ**。

**〈——本の栞のような、平たい虫眼鏡。**

**——あれが、フレネル・レンズである。〉**

**——**さらに、**太陽光を集める装置**。〉

**——**「厚みを、削る」**という一つの考えが、**二百年、使われている**。)

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