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Event / できごと

登記が権利を作る

The Torrens title
AD1858年7月1日
重要度 4
大英帝国New South Walesパプアの人びとマオリMarduPintupiWatjarriWarlpiriNyanganyatjaraMirningKokathaKalaamayaNyangumardaWawulaNgatatjaraNgaanyatjarraMandjindjaWangkathaaKalaako/MalpaLuritjaオーストラリア先住民(狩猟採集)YankuntjatjaraNakakoWiranguArrerntePitjantjatjaraWudjariAD1858年7月1日アデレード
このできごとには、まだ自由に使える図版が見つかっていません。 代わりに、このデータベースが持っているAD1858年7月1日の版図を描いています(27勢力)

概要

土地を買うとき、売り主が本当に持ち主かを確かめるには、過去の証書を何十年分もさかのぼって調べるしかなかった。一枚でも欠ければ、後から別の相続人が現れる。南オーストラリアのロバート・トレンスは、船の登録簿の考え方を土地に持ち込んだ。国が台帳を作り、そこに載っている者が持ち主である。証書の連なりを調べるのではなく、台帳の現在の一行だけを見る。誤りがあれば国が補償する。手続きが速く安くなり、この方式は各地に広がった。ただし台帳を作る過程で、書面を持たない先住民の権利は、そこに載らなかった。

場所

アデレード
-34.93°N 138.60°E · オーストラリア・南オーストラリア州

本文

**証書の鎖**。

(——**土地を、買うとき**。

〈**——**売り主が、**本当に、持ち主か**を、**確かめなければならない**。〉

**——**昔のやり方**。

〈**(1)**証書を、**遡る**。

**〈——今の持ち主が、**誰から買ったか**。**

**——その人は、**誰から買ったか**。**

**——さらに、その人は。〉**

**(2)**そして、**どこまで、遡るのか**。

**〈——イングランドでは、**六十年**が、目安とされた時期がある。**

**——後に、短くなっていく。〉**

**(3)さらに、**一枚でも、欠けていれば**。

**〈——後から、**別の相続人が、現れる**かもしれない。**

**——「あの売買は、無効だった」。**

**——買った側が、**負ける**ことがある。〉〉**

**——**だから**。

〈**——**弁護士に、**調べさせる**。

**——**時間が、**かかる**。

**——**そして、**費用が、**かかる**。

**——**小さな土地ほど、**割に合わない**。〉)

**南オーストラリア**。

(**1836年、**植民地として、始まった**。

〈**——**流刑地では、**ない**。

**——**土地を売り、**その金で、**移民を、送る**という設計**。

**〈——エドワード・ギボン・ウェイクフィールドの、**「組織的植民」**の考え方。〉〉**

**——**だから、**土地の売買が、**最初から、**経済の中心にあった**。

〈**——**そして、**すぐに、**混乱した**。

**〈——測量が、追いつかない。**

**——同じ区画が、**二重に、売られる**。**

**——証書が、**紛失する**。**

**——訴訟が、増えた。〉〉**

**——**さらに、**1851年**。

〈**——**ヴィクトリアで、**金が、出た**。

**——**人が、**押し寄せる**。

**——**土地の取引が、**爆発的に、増えた**。

**——**旧来のやり方では、**さばけない**。〉)

**ロバート・リチャード・トレンス**。

(——**1814〜1884年**。

〈**——**アイルランドの、**コーク生まれ**。

**——**父ロバート・トレンスは、**南オーストラリア植民地委員会の、**初代委員長**。

**——**アデレードの、**トレンス川**は、父にちなむ**。〉

**——**息子は、**税関の職員**として、**渡った**。

〈**——**そして、**関税長官**になる**。

**——**法律家では、**ない**。〉

**——**思いついたこと**。

〈**——**船の登録**。

**——**税関で、**毎日、扱っていた**。

**〈——船には、**登録簿**がある。**

**——所有者が、**そこに、記載されている**。**

**——買うときは、**その一行を、見ればよい**。**

**——過去の売買を、**遡る必要が、無い**。〉**

**——**「土地も、**同じにできないか」**。〉

**——**もう一人**。

〈**——**ウルリッヒ・ヒュブに**、**ドイツ出身の商人**が、**助言したとされる**。

**〈——ハンザ都市の、**土地登記の仕組み**を、知っていた。**

**——トレンスが、**どこまで独自か**は、議論がある。〉〉)**

**仕組み**。

(**(1)**国が、**台帳を、作る**。

〈**——**一区画に、**一枚の証書**。

**——**そして、**その写しが、**登記所に、綴じられる**。〉

**(2)**そして、**登記された者が、**持ち主である**。

〈**——**「登記が、権利を、証明する」**のではない**。

**——**「登記が、権利を、作る」**。

**〈——ここが、決定的な違いである。**

**——過去に、どんな瑕疵があっても、**登記されれば、それが、正である**。〉〉**

**(3)さらに、**買うときは、**台帳の、現在の一行**だけを、見る**。

〈**——**遡らない**。

**——**「鏡の原則」**——台帳が、権利関係を、そのまま映す**。

**——**「カーテンの原則」**——その裏を、覗く必要が、無い**。〉

**(4)そして、**保険の原則**。

〈**——**それでも、**誤りは、起きる**。

**——**登記の過誤で、**権利を失った者には、**国が、金銭で、補償する**。

**——**そのための基金を、**手数料から、積む**。〉)

**通す**。

(**1857年**。

〈**——**トレンスは、**議員に、なった**。

**——**そして、**法案を、出した**。〉

**——**反対したのは、**法曹である**。

〈**——**証書の調査は、**弁護士の、主要な収入源**だった**。

**——**「素人が、法制度を、いじるな」**と、言われた**。

**——**法案の起草も、**トレンス自身と、**協力者が、行っている**。〉

**——**1858年1月**、可決**。

〈**——**同年**7月1日**、施行**。

**——**そして、**トレンス自身が、**初代の登記官になった**。〉

**——**広がり**。

〈**(1)**オーストラリアの他の植民地**が、**数年で、続いた**。

**(2)**そして、**ニュージーランド**(1870年)。

**(3)さらに、**カナダの西部諸州**。

**(4)そして、**イギリス本国**。

**〈——1875年から、段階的に。**

**——本国のほうが、**遅かった**。〉**

**(5)さらに、**シンガポール、マレーシア、**そして、**アイルランド**。

**(6)そして、**日本の不動産登記**も、**この系統の影響を、受けている**。

**〈——ただし、日本の登記には、**公信力が無い**。**

**——「登記が権利を作る」までは、**行っていない**。**

**——そこが、トレンス方式との、大きな違いである。〉〉**

**——**アメリカ**。

〈**——**いくつかの州が、**採用した**。

**——**だが、**広まらなかった**。

**〈——既に、**権原保険**(title insurance)という産業が、育っていた。**

**——民間の保険が、**国の台帳の代わりを、していた**。〉〉)**

**台帳に、載らなかった人**。

(——**これが、**この制度の、影である**。

〈**——**台帳を作るには、**最初に、誰かを、**「最初の持ち主」**として、登記しなければならない**。〉

**——**オーストラリアでは**。

〈**——**イギリスの主張は、**「テラ・ヌリウス」**(無主の地)だった**。

**〈——誰のものでもない土地だから、**先占によって、王のものになる**。〉**

**——**先住民(アボリジナル)の土地との関わりは、**書面が、無い**。

**——**だから、**台帳に、載りようが、無かった**。〉

**——**そして、**トレンス方式は、**それを、**確定させる**方向に、働いた**。

〈**——**登記が、権利を、作る**。

**——**登記されていない権利は、**主張しにくくなる**。

**——**制度の正確さが、**排除の正確さでもあった**。〉

**——**1992年**。

〈**——**マボ判決**。

**——**オーストラリア高等法院が、**テラ・ヌリウスの前提を、**否定した**。

**——**「先住権原」**(native title)が、**法的に、認められた**。

**——**百三十四年、**かかった**。〉

**——**ただし**。

〈**——**既に、**トレンス方式で、**登記されてしまった土地**については、

**——**先住権原は、**消滅している**とされることが、多い**。

**——**台帳の強さが、**そのまま、**取り返しのつかなさ**になっている**。〉)

**残ること**。

(——**取引を、**速く、安くした**。

〈**——**これは、**大きな成果である**。

**——**普通の人が、**弁護士を雇わずに、**家を、買えるようになった**。〉

**——**やったことは、**単純である**。

〈**——**過去を、**遡るのを、やめた**。

**——**代わりに、**「いま、台帳に、こう書いてある」**という、**一行を、絶対にした**。

**〈——[[tally-stick]]は、**割った木目**で、**改竄を、防いだ。**

**——ここでは、**国が、一つの台帳を、独占すること**で、防いでいる。〉〉**

**——**そして**。

〈**——**線を引くこと([[land-ordinance-1785]])と、

**——**名前を、載せること**は、**別の作業である**。

**——**前者が、**土地を、区画にした**。

**——**後者が、**区画を、財産にした**。〉)

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