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Event / できごと

割り符と国庫

Tally sticks and the Exchequer
AD13世紀
重要度 4
北極圏の海獣狩猟民フィン・ウゴル系タイガの狩猟採集民トゥアレグの遊牧諸部族クマン(キプチャク)ベルベル諸部族アイユーブ朝キエフ・ルーシブワイフ朝ファーティマ朝神聖ローマ帝国サーミそのほかのルーシ諸公国ノルウェーヴォルガ・ブルガールムワッヒド朝東ローマ帝国ノヴゴロド公国ウラジーミル・スーズダリ公国ルーム・セルジューク朝ポーランド王国スウェーデンブルガール可汗国アンジュー帝国ハンガリー王国ガーリチ=ヴォルィーニ公国アルメニアケルト系の諸王国キーウ公国IbaditesComté de ToulouseデンマークLeónブルゴーニュポルトガルスコットランドフランス王国ジョージアDutchy of BeneventoAD13世紀ロンドン
このできごとには、まだ自由に使える図版が見つかっていません。 代わりに、このデータベースが持っているAD13世紀の版図を描いています(38勢力)

概要

イングランドの財務府は、木の棒に切れ込みを入れて金額を記した。千ポンドは手のひらの幅、一ペニーは細い線。刻んだ後で棒を縦に割り、片方を納税者が、片方を国庫が持つ。木目は二つと同じものがないので、合わせれば本物だと分かる。改竄が難しく、読み書きができなくても使える。この方式は六百年以上続き、割り符そのものが債権として転々と売買された。1834年、廃止された棒を国会議事堂の炉で燃やしたところ、煙突から火が移り、議事堂が全焼した。

場所

ロンドン
51.51°N -0.13°E · イギリス・イングランド

本文

**棒**。

(——**イングランドの財務府**(Exchequer)。

〈**——**十二世紀から、**十九世紀まで**。

**——**六百年以上、**木の棒で、会計をしていた**。〉

**——**材**。

〈**——**ハシバミ**、あるいは、**柳**。

**——**まっすぐで、**割りやすい**。

**——**長さは、**二十センチから、二メートル以上**まで**。〉)

**刻み方**。

(——**幅で、**桁を、表す**。

〈**(1)**一千ポンド**——**手のひらの幅**の、切り込み**。

**(2)**そして、**百ポンド**——**親指の幅**。

**(3)さらに、**二十ポンド**——**小指の幅**。

**(4)そして、**一ポンド**——**大麦の粒**ほど**。

**(5)さらに、**一シリング**——**もう少し細い**。

**(6)そして、**一ペニー**——**切り込みではなく、**刻んだ線**。

**(7)さらに、**半ペニー**——**穴**。〉

**——**身体の寸法を、**単位にしている**。

〈**——**道具が、**要らない**。

**——**そして、**指で触れば、**読める**。

**〈——暗くても。**

**——読み書きが、できなくても。〉〉**

**——**さらに、**棒の側面に、**内容を、書く**ことも、あった**。

〈**——**誰から、**何のために、**いつ**。〉)

**割る**。

(——**刻んだ後で、**縦に、割る**。

〈**——**均等には、**割らない**。

**——**片方が、**長く残る**ように**。〉

**——**二つの部分**。

〈**(1)**ストック**(stock)——**長いほう**。

**〈——支払った側が、持つ。**

**——「株式」を意味するstockは、**ここから来ている**という説がある。〉**

**(2)**そして、**フォイル**(foil)——**短いほう**。

**〈——国庫が、控えとして、持つ。〉〉**

**——**なぜ、割るのか**。

〈**——**木目**は、**二つと、同じものが、無い**。

**——**割った面を、**合わせれば、**元が一本だったことが、分かる**。

**——**そして、**片方だけを、**偽造できない**。

**〈——刻み目を、増やそうとしても、**もう片方と、合わなくなる**。〉**

**——**「符合する」**という言葉は、**この動作そのものである**。〉

**——**似た仕組みは、**各地にある**。

〈**——**中国の**割符**。

**——**日本の**割印**。

**——**そして、**「タリー」**(tally)という語は、**ラテン語のtalea(切った枝)から来ている**。〉)

**貨幣になる**。

(——**思わぬことが、起きた**。

〈**——**国庫が、**先に、棒を、渡す**ようになった**。

**〈——「来年の税収から、**これだけ払う**」という証書として。〉**

**——**受け取った者が、**それを、他人に、譲る**。

**——**割引して、**売る**。

**——**そして、**転々と、流通した**。〉

**——**つまり**。

〈**——**木の棒が、**債券として、市場を、回った**。

**——**十七世紀には、**これが、国家財政の、大きな部分を、占めていた**。

**——**そして、**イングランド銀行の設立**(1694年)へ、繋がっていく**。〉

**——**数**。

〈**——**財務府には、**何十万本もの棒**が、積み上がっていた**。

**——**倉が、**いくつも、要った**。〉)

**1834年10月16日**。

(——**割り符の制度は、**1826年に、廃止された**。

〈**——**紙の帳簿に、**移った**。

**——**そして、**古い棒が、**大量に、残った**。〉

**——**処分**。

〈**——**貧しい者に、**薪として、配る**という案が、出た**。

**——**却下された**。

**〈——理由は、はっきりしない。**

**——「機密が漏れる」あるいは、**手続き上の問題**とされる。〉**

**——**そこで、**燃やすことにした**。

**——**場所は、**ウェストミンスター宮殿の、**上院の炉**。〉

**——**その日**。

〈**——**二人の作業員が、**朝から、棒を、くべ続けた**。

**——**「詰め込みすぎだ」**と、注意した者がいたと、証言に残っている**。

**——**煙突が、**過熱した**。

**——**そして、**煙道の割れ目から、**床下の梁に、火が移った**。〉

**——**夜**。

〈**——**午後六時ごろ、**炎が上がった**。

**——**上院と下院、**両方が、焼けた**。

**——**ウェストミンスター・ホールと、**宝物庫は、**辛うじて、残った**。〉

**——**見物人が、**集まった**。

〈**——**テムズの対岸にも、**橋の上にも**。

**——**ターナー**が、**その場で、**スケッチをしている**。

**〈——後に、二枚の油彩になった。〉〉**

**——**いまの国会議事堂**。

〈**——**この火事の、**後に、建てられたものである**。

**——**設計は、**チャールズ・バリーと、**オーガスタス・ピュージン**。

**——**ビッグ・ベンの塔も、**そのときのものである**。〉

**——**チャールズ・ディケンズ**が、**後に、講演で、こう言った**。

〈**——**古い棒を、**燃やすのに、**ふさわしい炉があった**。

**——**そして、**その炉が、**議事堂ごと、燃やした**、と**。

**——**官僚の惰性を、**皮肉ったものである**。〉)

**残ること**。

(——**六百年**。

〈**——**読み書きのできない社会で、**国家の会計が、回っていた**。

**——**技術としては、**単純である**。

**——**切って、**割るだけ**。〉

**——**だが、**二つのことを、同時に、解いている**。

〈**(1)**数を、**記録する**。

**(2)**そして、**改竄を、**物理的に、不可能にする**。

**〈——木目という、**複製できない模様**を、**割り符が、共有する**。**

**——[[cylinder-seal]]が、**印章の固有性**で、やったことを、**木の繊維で、やっている。〉〉**

**——**そして**。

〈**——**紙に、移った**。

**——**紙は、**軽く、嵩張らず、**細かく書ける**。

**——**その代わり、**木目が、無い**。

**——**代わりに、**署名と、印と、そして、複式簿記**([[double-entry-bookkeeping]])が、要った**。〉)

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