概要
オスマン帝国は早くにジュネーヴ条約に加わっていた。だが、バルカンでの戦いが始まると、白地に赤い十字の腕章は、兵にとって十字軍の旗に見えた。十字を掲げた救護員が狙われることもあったという。1876年、帝国はスイス政府に、自分たちは十字の代わりに赤い新月を使い、相手の赤十字は尊重すると通知した。ロシアとの戦争では、双方がそれぞれのしるしを認め合った。しるしが中立であるためには、見る側にとっても中立に見えなければならない。赤新月が条約に正式に書き込まれるのは、1929年である。
場所
41.01°N 28.98°E · トルコ・イスタンブール
本文
**加わる**。
(——**オスマン帝国**は、**1865年**、**ジュネーヴ条約**に、**加わった**。
〈**——**[[geneva-convention-1864]]**の、**翌年**である**。
**——**早い**。〉
**——**帝国は、**このころ、**ヨーロッパの国際法**の、**輪の中**に、**入ろうとしていた**。
〈**——**[[crimean-war]]**で、**英仏と、**並んで戦った**。
**——**そして、**パリ条約**で、**「ヨーロッパの協調」**に、**加えられた**。〉)
**十字**。
(——**白地に、**赤い十字**。
〈**——**ジュネーヴの人々**にとっては、**スイスの旗**を、**裏返したもの**である**。
**——**宗教の意味**は、**持たせていない**、**と**。〉
**——**しかし、**帝国の兵**には、**どう見えたか**。
〈**(1)**十字**は、**キリスト教**の、**しるし**である**。
**(2)**そして、**十字軍**の、**旗**である**。
**(3)さらに、**帝国の兵の多く**は、**ムスリム**である**。〉
**——**1876年、**バルカン**で、**セルビア**などとの戦い**が、**始まる**。
〈**——**帝国の救護員**は、**腕に、**十字**を、**付けることを、**嫌がった**。
**——**十字の腕章を付けた救護員**が、**味方の兵**に、**襲われることもあった**と、**伝えられる**。〉)
**通知**。
(——**1876年11月**、**帝国**は、**スイス政府**に、**知らせた**。
〈**(1)**自分たちの**救護**は、**白地に、**赤い新月**を、**使う**。
**(2)**そして、**相手が使う、**赤い十字**は、**尊重する**。
**(3)さらに、**相手にも、**赤い新月**を、**尊重して、**もらいたい**。〉
**——**これは、**条約**に、**書いてない**ことである**。
〈**——**ジュネーヴの委員会**は、**困った**。
**——**しるし**が、**増えれば、**遠くから、**分かりにくくなる**。
**——**そして、**国ごとに、**好きなしるし**を、**使い始めかねない**。〉)
**認め合う**。
(——**1877年**、**ロシア**との**戦争**が、**始まった**。
〈**——**露土戦争**。〉
**——**ロシアは、**十字**を、**使う**。
〈**——**帝国は、**新月**を、**使う**。
**——**そして、**双方**が、**相手のしるし**を、**尊重する**と、**約束した**。〉
**——**その戦争の間**だけ**の、**取り決め**である**。〉
**書き込まれる**。
(——**時間が、**かかった**。
〈**(1)**ペルシャ**は、**「赤い獅子と太陽」**を、**求めた**。
**(2)**そして、**ほかにも、**しるしを、**求める国**が、**出てくる**。〉
**——**1929年**、**条約**が、**改められた**。
〈**——**赤い十字**に、**加えて、**赤い新月**と、**赤い獅子と太陽**が、**認められた**。
**——**ただし、**それ以上は、**増やさない**、**という含み**で**。〉
**——**その後も、**問題は、**残った**。
〈**——**イスラエル**の救護団体**は、**赤い「ダビデの盾」**を、**使っている**。
**——**十字も、**新月も、**使わない**。
**——**長いあいだ、**国際的な運動**に、**正式には、**加われなかった**。〉
**——**2005年、**三つめのしるし**として、**宗教の意味を、**持たない**、**赤い菱形**(レッドクリスタル)**が、**採られた**。〉
**残ること**。
(——**中立**とは、**言い張ること**ではない**。
〈**——**ジュネーヴの人々**は、**十字**に、**宗教の意味**は、**無い**と、**言った**。
**——**しかし、**撃つかどうか**を、**決める**のは、**戦場で、**それを、**見る兵**である**。〉
**——**しるし**は、**見る側**にとって、**中立に見えなければ**、**役に立たない**。
〈**——**だから、**しるし**は、**一つにできなかった**。
**——**そして、**増やせば、**それぞれ**が、**また、**何かの**しるし**に、**見えてしまう**。〉
**——**いま、**この運動**は、**「赤十字・赤新月運動」**と、**二つの名**で、**呼ばれている**。〉)