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Event / できごと

キープ

The khipu
AD15世紀
重要度 4
サバンナの狩猟採集民アマゾンの狩猟採集民パンパの諸文化アンデスの狩猟採集民インカ帝国アンデスの諸国と首長制社会アイマラの諸王国カリブの狩猟採集民チムー王国AD15世紀クスコ
このできごとには、まだ自由に使える図版が見つかっていません。 代わりに、このデータベースが持っているAD15世紀の版図を描いています(9勢力)

概要

インカには文字がなかったと言われるが、記録は膨大にあった。主縄から何十本もの副縄を垂らし、そこに結び目を作る。結びの位置が桁を、形が数を表し、十進法で記す。ゼロは、その桁に結び目を作らないことで示した。色と撚りの向きも情報を持つ。倉の中身、人口、労役の割り当てが、これで管理された。読み書きする専門職がいて、駅伝の走者が運んだ。スペイン人は当初これを証拠として法廷で認め、後に偶像崇拝として焼いた。数の部分は解けたが、物語を記したとされる縄は、いまも読めない。

場所

クスコ
-13.53°N -71.97°E · ペルー

本文

**「文字がなかった」**。

(——**インカについて、**繰り返し、書かれてきたこと**。

〈**——**ユーラシアの大帝国と、**比べたときの、**欠落**として**。〉

**——**だが、**記録は、あった**。

〈**——**膨大に**。

**——**倉に、何が、どれだけあるか**。

**——**どの村に、何人いるか**。

**——**誰が、何日、労役に出たか**。

**——**それが、**細かく、管理されていた**。〉

**——**道具の名**。

〈**——**キープ**(khipu / quipu)。

**——**ケチュア語で、**「結び目」**。〉)

**形**。

(**(1)**主縄**。

〈**——**横に、**渡す**。〉

**(2)**そして、**副縄**。

〈**——**そこから、**垂らす**。

**——**数本から、**千本を超えるものまで、ある**。

**〈——最大のものは、**千五百本**を超える。〉〉**

**(3)さらに、**副縄から、**さらに、枝が出る**。

〈**——**階層になっている**。

**——**上位の縄が、**下位の縄の、合計**である場合がある**。

**〈——検算が、**縄の構造そのものに、組み込まれている**。〉〉**

**(4)そして、**結び目**。

〈**——**三種類**。

**〈——単純結び。**

**——長結び(巻き数で、1から9を表す)。**

**——8の字結び(1を表す)。〉〉**

**——**材料**。

〈**——**綿、あるいは、**リャマやアルパカの毛**。

**——**そして、**染めてある**。〉)

**数の書き方**。

(——**十進法**である**。

〈**(1)**主縄に近いほうから、**百の位、十の位、一の位**。

**〈——縄の、**位置**が、桁である。〉**

**(2)**そして、**結び目の数**が、**その桁の値**。

**(3)さらに、**一の位だけ、**結び方が、違う**。

**〈——長結びと、8の字結び。**

**——だから、**どこが末尾か**が、触れば、分かる。〉**

**(4)そして、**ゼロ**。

**〈——その桁の位置に、**結び目を、作らない**。**

**——空白が、ゼロである。**

**——[[brahmagupta-zero]]と、**独立に、同じ解に、辿り着いている**。〉〉**

**——**1912年**。

〈**——**リーランド・ロックが、**数の部分の読み方を、**明らかにした**。

**——**そして、**上位の縄が、下位の合計になっている**例を、示した**。

**——**足し算が、**合う**。〉)

**数でない部分**。

(——**縄には、**他の情報も、載っている**。

〈**(1)**色**。

**〈——十種類以上が、使い分けられている。〉**

**(2)**そして、**撚りの向き**。

**〈——右撚りか、左撚りか。**

**——結び目の、傾く向きも。〉**

**(3)さらに、**素材**。

**(4)そして、**副縄が、**主縄の、どちら側から出ているか**。〉

**——**これらが、**何を意味するのか**。

〈**——**完全には、**分かっていない**。

**——**色が、**物の種類**(穀物、布、武器)を、示すという説がある**。

**——**そして、**人名や、地名を、記した縄がある**という説も**。〉

**——**「物語のキープ」**。

〈**——**スペイン側の記録に、**繰り返し、出てくる**。

**——**キープを読み上げて、**歴史や、法や、罪状を、語った**という証言**。

**——**それらは、**いまも、読めない**。

**〈——数の部分は、解けた。**

**——語りの部分は、**解けていない**。〉〉**

**——**近年**。

〈**——**ハーバードのキープ・データベースなどで、**千点以上が、記録されている**。

**——**そして、**植民地期の文書と、**照合する試み**が、続いている**。

**〈——同じ村の、同じ年の、納税の記録。**

**——数が、合うものが、いくつか、見つかっている。〉**

**——**それでも、**「読めた」**と言える段階には、**達していない**。〉)

**誰が、扱ったか**。

(——**キープカマヨック**(khipukamayuq)。

〈**——**「キープを、預かる者」**。

**——**専門の職である**。

**——**世襲だったとされる**。〉

**——**そして、**運んだ**。

〈**——**チャスキ**(飛脚)。

**——**街道沿いの、**小屋に、詰める**。

**——**次の走者へ、**手渡す**。

**〈——一日に、**二百キロ以上**、伝わったという記録がある。**

**——海岸で獲れた魚を、**クスコの王が、生で食べた**という話も。〉〉**

**——**つまり**。

〈**——**紙も、文字も、車輪も、無しに、

**——**数百万人の帝国の、**記録と、通信**を、回していた**。〉)

**焼かれる**。

(——**征服の直後**。

〈**——**スペイン人は、**これを、使った**。

**——**貢納の記録として、**法廷で、証拠に、採った**。

**——**キープカマヨックを、**証人として、呼んだ**。

**〈——「征服前に、我々は、これだけ納めていた」。**

**——先住民の側が、**訴訟で、これを、用いた**。〉〉**

**——**1583年**。

〈**——**第三リマ教会会議**。

**——**キープを、**偶像崇拝の道具**として、**焼くことを、決めた**。

**——**多くが、**失われた**。〉

**——**残ったもの**。

〈**——**千点ほど**。

**——**多くは、**墓から出た**。

**——**乾いた海岸の砂が、**繊維を、保存した**。〉

**——**そして**。

〈**——**十九世紀まで、**一部の村では、**使われ続けた**。

**——**家畜の管理などに**。

**——**いまも、**儀礼的に、作られる村がある**。〉)

**残ること**。

(——**「文字がない」**と言うとき、

〈**——**何を、**文字と呼ぶか**が、**問われている**。

**——**平らな面に、**線を引いたもの**だけを、そう呼ぶなら、**キープは、文字ではない**。

**——**だが、**記録し、**保存し、**離れた場所へ運び、**読み返せる**なら**、

**——**それを、**何と呼ぶか**。〉

**——**そして**。

〈**——**[[clay-tokens]]は、**数を記す道具から、**文字になった**。

**——**キープは、**ならなかった**。

**——**能力の差ではない**。

**——**通った道が、**違っただけである**。〉)

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