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Event / できごと

乗合馬車

The omnibus
AD1826年
重要度 4
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このできごとには、まだ自由に使える図版が見つかっていません。 代わりに、このデータベースが持っているAD1826年の版図を描いています(22勢力)

概要

ナントで製粉業を営むスタニスラス・ボードリーが、郊外の浴場へ客を運ぶ馬車を仕立てたところ、途中で乗り降りする者が増えた。運ぶ相手を決めずに、決まった道筋を決まった時刻に走らせる。乗り場が帽子屋の前にあり、その店の看板に「オムネス・オムニブス」(すべての人に)とあったのが名の由来だと伝わる。二年後にはパリで営業が始まり、ロンドン、ニューヨークへ広がった。個別の注文で動く馬車から、路線と時刻表で動く輸送へ。都市交通はここから数えられる。

場所

ナント
47.22°N -1.55°E · フランス

本文

**ナント**。

(**1826年**。

〈**——**フランス西部の、**港町**。

**——**人口、**七万ほど**。

**——**そして、**ロワール川の河口**にある**。〉

**——**そこで、**製粉業を営む男**。

〈**——**スタニスラス・ボードリー**(1777〜1830年)。

**——**退役した軍人でもある**。

**——**そして、**蒸気機関で、粉を挽いていた**。〉)

**始まり**。

(——**話は、**風呂から始まる**。

〈**(1)**製粉所の、**余った蒸気**。

**〈——捨てるには惜しい。**

**——それで、**公衆浴場**を作った。**

**——郊外である。〉**

**(2)**そして、**客が来ない**。

**〈——町から、遠い。〉**

**(3)さらに、**馬車を、仕立てた**。

**〈——町の中心から、浴場まで、**無料で運ぶ**。〉**

**(4)そして、**気づいた**。

**〈——客の多くが、**浴場に行かない**。**

**——途中で、乗って、途中で、降りる。**

**——つまり、**移動そのものが、目当てだった**。〉〉**

**——**そこで、**逆にした**。

〈**——**浴場のための馬車ではなく、**

**——**移動のための馬車**にする**。

**——**そして、**運賃を取る**。〉)

**名前**。

(——**乗り場は、**ある店の前にあった**。

〈**——**帽子屋、あるいは、雑貨屋**と伝わる**。

**——**店主の名が、**オムネス**(Omnès)**。

**——**そして、**看板に、こう書いてあった**。

**〈——「Omnes Omnibus」。**

**——ラテン語で、**「オムネスは、すべての人に」**。**

**——「オムニブス」は、**「すべての人のために」**という与格である。〉**

**——**人々が、**「オムニビュスに乗る」と言い始めた**。

**——**そして、**それが、乗り物の名前になった**。〉

**——**由来には、**異説もある**。

〈**——**確実なのは、**この語が、この時期のナントから広まった**ことである**。

**——**そして、**いまも、**バスは、多くの言語で「オムニバス」の系統の語で呼ばれる**。

**〈——英語のbusは、omnibusの後半だけが残ったもの。〉**〉)

**何が、新しかったのか**。

(——**馬車そのものは、**古い**。

〈**——**辻馬車**(貸切)は、17世紀からある**。

**——**駅馬車**(都市間)も、**とうにあった**。

**——**そして、**1662年にパリで、パスカルが、**五ソルの馬車**を走らせている**。

**〈——路線を決めた、乗合馬車。**

**——だが、**貧しい者の乗車を禁じられ**、十五年ほどで消えた。〉〉**

**——**ボードリーのものが、続いたのは、**三つが揃ったから**である**。

〈**(1)**路線**。

**〈——どこを通るかが、**先に決まっている**。〉**

**(2)**そして、**時刻**。

**〈——客が集まるのを、待たない。**

**——空でも、出る。〉**

**(3)さらに、**均一に近い運賃**。

**〈——だれでも、払えば、乗れる。**

**——「すべての人に」。〉〉**

**——**つまり**。

〈**——**個別の注文で動く輸送**から、

**——**路線と時刻表で動く輸送**へ**。

**——**乗る側が、**相手ではなく、時刻に合わせる**ようになった**。〉)

**広がり**。

(**(1)**パリ**。

〈**——**1828年**。

**——**ボードリー自身が、**会社を作って、走らせた**。

**——**そして、**十路線ほどに、増える**。〉

**(2)**そして、**ロンドン**。

〈**——**1829年**。

**——**ジョージ・シリバー**が、パディントンから、シティへ**。

**——**そして、**やがて二階建てになる**。

**〈——屋根の上に、**背中合わせに座る席**(ナイフボード)。**

**——それが、**ダブルデッカー**の祖である。〉〉**

**(3)さらに、**ニューヨーク**。

〈**——**1830年代**。

**——**そして、**レールを敷いた版**が、現れる**。

**〈——馬車鉄道。**

**——同じ馬で、**三倍の荷**を引ける。**

**——石畳の抵抗が、**鉄のレールで、消える**。〉〉**

**(4)そして、**日本**。

〈**——**1869年、**東京〜横浜**。

**——**明治のはじめである**。〉)

**限界**。

(——**馬である**。

〈**(1)**一頭が、**一日に働ける時間は、四時間ほど**。

**〈——一台を動かすのに、**十頭前後**が要る。〉**

**(2)**そして、**餌**。

**〈——都市の周りの農地が、**馬の飼料に、割かれる**。〉**

**(3)さらに、**糞**。

**〈——ロンドンでもニューヨークでも、**街路の糞の処理**が、深刻な問題になった。**

**——一頭が、一日に、**十数キロ**。〉**

**(4)そして、**病**。

**〈——1872年、北米で、**馬インフルエンザ**が流行した。**

**——都市の輸送が、**数週間、止まった**。**

**——人が、荷車を、引いた。〉〉**

**——**だから**。

〈**——**動力を、**馬から、外へ出す**必要があった**。

**——**ケーブル、**蒸気、**そして、**電気**へ**。

**——**路線と時刻表という骨組みは、**そのまま残った**。〉)

**残ること**。

(——**いま、**バスの路線図**を見るとき**。

〈**——**見ているのは、**ボードリーが作った形**である**。

**——**決まった道筋。

**——**決まった時刻。

**——**そして、**だれでも、払えば、乗れる**。〉

**——**「すべての人に」**という看板が**、

〈**——**店主の名字だったのは、**偶然である**。

**——**だが、**その言葉のほうが、**乗り物の性格を、正確に言い当てていた**。〉)

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