概要
ビアフラ戦争で、赤十字を通じて派遣されたフランスの医師たちは、封鎖された土地で子どもが飢えて死んでいくのを見た。赤十字は、どの陣営にも入れてもらうために、見たことを外で語らない決まりを守っていた。医師の一部は、黙っていることが虐殺の手助けになると考え、帰国して声を上げた。1971年、彼らと、医学雑誌の記者たちが、パリで新しい団体を作った。国境や政府の許しにとらわれずに入り、手当てをし、見たことを証言する。中立を守るのか、語るのか。同じ人道の中に、二つの考え方ができた。
場所
48.86°N 2.35°E · フランス
本文
**ビアフラ**。
(——**1967年、**ナイジェリアの東部**が、**「ビアフラ」**として、**独立を、**宣言した**。
〈**——**[[biafra-war]]**。〉
**——**政府軍**が、**囲む**。
〈**(1)**海**を、**塞ぐ**。
**(2)**そして、**陸の道**を、**塞ぐ**。
**(3)さらに、**食べ物**が、**入らない**。〉
**——**飢える**。
〈**——**子ども**の、**腹が、**膨れる**。
**——**痩せた手足**。
**——**その写真**が、**世界の新聞**に、**載った**。〉)
**赤十字の医師**。
(——**1968年**、**赤十字国際委員会**の、**呼びかけ**で、**フランスの医師たち**が、**ビアフラに、**入った**。
〈**——**フランス赤十字**を通じて**である**。
**——**その中に、**ベルナール・クシュネル**が、**いた**。〉
**——**見たもの**。
〈**(1)**毎日、**子ども**が、**死んでいく**。
**(2)**そして、**病院**が、**爆撃**される**。
**(3)さらに、**封鎖**そのもの**が、**人を、**殺している**。〉)
**黙る**。
(——**赤十字**には、**決まり**が、**あった**。
〈**——**現地で、**見たこと**を、**外で、**語らない**。〉
**——**なぜか**。
〈**(1)**語れば、**その国の政府**が、**次から、**入れてくれない**。
**(2)**そして、**入れなければ、**誰も、**助けられない**。
**(3)さらに、**中立**である**ことが、**どちらの陣営**にも、**入れてもらう**ための、**条件**である**。〉
**——**第二次世界大戦**の、**記憶**も、**ある**。
〈**——**赤十字国際委員会**は、**ナチスの収容所**で、**何が起きているか**を、**ある程度、**知っていた**。
**——**それでも、**公に、**非難しなかった**。
**——**そのことは、**のちに、**委員会自身**も、**認めて、**向き合うことになる**。〉)
**語る**。
(——**クシュネル**たちは、**フランスに、**帰ってから、**語った**。
〈**(1)**新聞に、**書く**。
**(2)**そして、**テレビに、**出る**。
**(3)さらに、**「これは、**ジェノサイドだ」**と、**言った**。〉
**——**赤十字**の、**決まり**を、**破った**。
〈**——**黙っていること**は、**起きていること**に、**手を、**貸すこと**になる**。
**——**それが、**彼らの考え**だった**。〉
**——**ただし**。
〈**——**ビアフラ**を、**「ジェノサイド」**と、**呼ぶことには、**当時も、**いまも、**異論がある**。
**——**分離した側**の、**宣伝**が、**その言葉**を、**広めた**面**も、**あった**、**と**。
**——**語る**ことにも、**危うさ**は、**ある**。〉)
**作る**。
(——**同じころ、**別の流れ**も、**あった**。
〈**——**1970年、**東パキスタン**(いまのバングラデシュ)を、**大きな**サイクロン**が、**襲った**。
**——**医学雑誌**『トニュス』**の**記者たち**が、**すぐに、**駆けつけられる**医師**を、**集めよう**と、**呼びかけていた**。〉
**——**1971年12月22日**、**パリ**。
〈**——**二つの流れ**が、**合わさった**。
**——**十三人ほど**の、**医師**と、**記者**が、**「国境なき医師団」**を、**作った**。〉
**——**考え方**。
〈**(1)**国境**や、**政府の許し**に、**とらわれない**。
**(2)**そして、**人種**、**宗教**、**政治**を、**問わず**、**手当てする**。
**(3)さらに、**見たこと**を、**証言する**。
**〈——フランス語で、**「テモワニャージュ」**。〉〉**
**——**初めの数年**は、**小さかった**。
〈**——**医師**を、**集めて、**送る**だけ**の、**名簿**のような団体**だった**。
**——**1970年代の終わり**、**インドシナ**の難民**の**救援**で、**大きくなる**。
**——**そして、**内部で、**方針を、**巡って、**割れた**。
**——**クシュネル**は、**1979年**に、**出て、**別の団体**を、**作った**。〉)
**残ること**。
(——**人道**の中に、**二つの考え方**が、**できた**。
〈**(1)**中立を、**守る**。
**〈——黙って、**入り続ける**。〉**
**(2)**そして、**語る**。
**〈——入れなくなっても、**知らせる**。〉〉**
**——**どちらが、**正しい**とは、**言いきれない**。
〈**——**赤十字国際委員会**も、**いまは、**ひどい違反**については、**公に、**語ることがある**。
**——**国境なき医師団**も、**語らずに、**とどまる**ことを、**選ぶ場面**が、**ある**。〉
**——**1999年、**国境なき医師団**は、**ノーベル平和賞**を、**受けた**。
〈**——**同じ賞**を、**デュナン**は、**百年近く前**に、**最初に、**受けている**。
**——**[[solferino-dunant]]**。
**——**通りがかりの商人**が、**始めたこと**が、**百年のうちに、**二つに、**分かれて、**なお、**続いている**。〉)