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Event / できごと

笑気ガスの見世物

The laughing gas shows
AD1799年
重要度 4
ロシア帝国大英帝国スペイン帝国ポルトガル帝国オスマン帝国デンマーク=ノルウェースウェーデンオーストリア帝国ポーランド神聖ローマ帝国スペインモロッコAlgiersイギリスプロイセンバイエルンアイルランド王国両シチリア王国TunisTripolitaniaMecklenburg-Strelitzサルデーニャ王国CyrenaicaザクセンAD1799年ブリストル
このできごとには、まだ自由に使える図版が見つかっていません。 代わりに、このデータベースが持っているAD1799年の版図を描いています(24勢力)

概要

ハンフリー・デーヴィが亜酸化窒素を吸って記録を残した。頭が軽くなり、笑いが止まらない。そして彼はこう書き添えた。この気体は痛みを消すので、外科手術に使えるかもしれない、と。誰も読まなかったわけではない。だが四十年以上、それは実行されなかった。代わりに広まったのは、巡回の興行である。木戸銭を取って客に吸わせ、ふらつく様を見せる。痛みを消せる気体が、笑うための見世物として、半世紀のあいだ使われ続けた。

場所

ブリストル
51.45°N -2.59°E · イギリス・イングランド

本文

**気体の研究所**。

(——**ブリストル**。

〈**——**1799年**。

**——**トマス・ベドーズ**が、**「気体医学研究所」**を開いた**。

**〈——さまざまな気体を、**病人に、吸わせてみる**。**

**——結核に効く気体が、あるかもしれない。**

**——当時としては、**まともな見込み**だった。〉〉**

**——**そこに、**二十歳の助手**がいた**。

〈**——**ハンフリー・デーヴィ**(1778〜1829年)。

**——**コーンウォールの、**外科医の徒弟**あがり**。

**——**独学で、**化学を、身につけた**。〉)

**亜酸化窒素**。

(——**一酸化二窒素**(N₂O)。

〈**——**1772年、**プリーストリー**が、作っている**。

**——**当時、**「有毒である」**と、考えられていた**。

**〈——アメリカの**サミュエル・レイサム・ミッチル**が、**

**——「これこそが、**伝染病の原因の物質**だ」と、論じていた。〉〉**

**——**デーヴィは、**自分で、吸った**。

〈**——**理屈ではなく、**試した**。

**——**そして、**死ななかった**。〉

**——**書き残したこと**。

〈**——**顔が、**熱くなる**。

**——**指の先が、**痺れる**。

**——**そして、**笑いが、止まらない**。

**〈——「私は、**跳ね回り、**大声で笑い**、そして、**部屋中を、歩き回った**」。〉**

**——**さらに、**視覚と聴覚が、鋭くなる**ように感じる**。

**——**「観念が、**目にも留まらぬ速さで、**流れていく**」。〉)

**一行**。

(**1800年**。

〈**——**『亜酸化窒素に関する研究』**。

**——**五百ページを超える、**分厚い本**。

**——**自分の身体を使った実験の、**詳細な記録**である**。〉

**——**その中に、**こう書いてある**。

〈**——**「亜酸化窒素は、**その広範な作用において、**肉体的な痛みを、破壊しうるように思われるので、**

**——**大量の出血を伴わない外科手術において、**おそらく、有用に用いうるだろう**」。〉

**——**これで、**足りていた**。

〈**——**必要な観察は、**全部、書かれている**。

**——**そして、**四十六年間、**誰も、実行しなかった**。〉)

**なぜ、使われなかったか**。

(**(1)**外科の側の、**前提**。

〈**——**手術とは、**痛いものである**。

**——**そして、**速さが、腕である**。

**〈——ロバート・リストンは、**脚を、二分半で、切断した**と言われる。**

**——痛む時間を、短くするため。〉**

**——**痛みを、**消す**という発想が、**そもそも、無かった**。〉

**(2)**そして、**痛みには、**意味がある**と、されていた**。

〈**——**痛みが、**身体を、目覚めさせる**。

**——**痛みを感じない患者は、**衰弱して、死ぬ**。

**——**そう、信じられていた**。〉

**(3)さらに、**デーヴィ自身が、**先へ進まなかった**。

〈**——**翌年、**王立研究所へ、移る**。

**——**そして、**電気化学**へ、関心が移った**。

**〈——ナトリウム、カリウム、カルシウム。**

**——次々に、元素を、単離する。**

**——安全灯も、作った。〉**

**——**気体のことは、**置いていった**。〉

**(4)そして、**この本が、**読まれた場所**が、違った**。〉)

**見世物**。

(——**代わりに、広まったのは、**興行である**。

〈**(1)**巡回の講師**。

**〈——「化学の講義」**と称する。**

**——町の集会所を、借りる。〉**

**(2)**そして、**木戸銭を、取る**。

**(3)さらに、**客の中から、**志願者を、上げる**。

**(4)そして、**吸わせる**。

**〈——ふらつく。**

**——笑い出す。**

**——歌う。**

**——殴りかかる者もいた。〉**

**(5)さらに、**客が、**それを、見て笑う**。〉

**——**「笑気」**(laughing gas)という呼び名は、**ここで、付いた**。

〈**——**イギリスでも、**アメリカでも、**流行った**。

**——**エーテルでも、**同じことが、行われた**。

**〈——「エーテル遊び」(ether frolics)。**

**——医学生の、余興でもあった。〉〉**

**——**つまり**。

〈**——**麻酔になる物質は、**二つとも、**世に出ていた**。

**——**そして、**それを、みんなで、吸っていた**。

**——**痛みが消えることも、**その場で、目撃されていた**。

**〈——転んでも、痛がらない。**

**——脛から血を流していても、気づかない。〉〉)**

**気づいた者**。

(**1844年12月10日**。

〈**——**コネティカット州、**ハートフォード**。

**——**歯科医**ホーレス・ウェルズ**が、**興行を、見に行った**。

**——**吸った男が、**ベンチに脛を、強く打ちつけた**。

**——**血が、出ていた**。

**——**本人は、**痛みを、感じていない**。〉

**——**翌日**。

〈**——**自分の親知らずを、**同僚に、抜かせた**。

**——**亜酸化窒素を、吸って**。

**——**「ピンで刺されたほどにも、感じなかった」**。〉

**——**そして、**公開実験で、**失敗した**。

〈**——**1845年、**ボストン**。

**——**量が、足りなかった**。

**——**患者が、**呻いた**。

**——**「いんちきだ」**と、野次が飛んだ**。

**——**ウェルズは、**評判を失い、**後に、自ら命を絶っている**。〉

**——**二年後**。

〈**——**[[ether-day]]**。

**——**そこにいた**ウィリアム・モートン**は、**ウェルズの、元の同僚である**。〉)

**残ること**。

(——**知識が、**あった**。

〈**——**本に、**書いてあった**。

**——**現象は、**街角で、繰り返し、目撃されていた**。

**——**それでも、**四十六年**。〉

**——**足りなかったのは、**問いのほうである**。

〈**——**「痛みは、**消してよいものか**」。

**——**この問いが、**立っていなかった**。

**——**だから、**答えが、目の前にあっても、**見えなかった**。〉

**——**そして、**問いが立った後**。

〈**——**十年で、**世界中に、広まった**。

**——**[[chloroform-victoria]]で、**残っていた反対も、**畳まれる**。〉)

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