概要
天文学者ウィリアム・ハーシェルは、太陽を観るときの色ガラスによって、目に来る熱さが違うことに気づいた。色ごとに熱の量が違うのではないか。プリズムで日光を虹に分け、その帯の上に温度計を並べていった。紫から赤へ進むほど温度は上がる。そして赤の外側、何も見えないところに置いた温度計が、いちばん高く上がった。光と同じようにふるまい、目には映らず、熱として測れるものがある。のちに赤外線と呼ばれる。目に見えるものだけが世界のすべてではないことを、温度計が示した。
場所
51.51°N -0.59°E · イギリス・イングランド
本文
**色ガラス**。
(——**ウィリアム・ハーシェル**(1738〜1822年)。
〈**(1)**ハノーファーの生まれ**。
**(2)**そして、**軍楽隊の奏者**として、**イギリスへ、渡った**。
**(3)さらに、**音楽で、**身を立てながら、**望遠鏡を、**自分で、磨いた**。
**(4)そして、**1781年、**天王星**を、見つけた**。
**〈——それで、**王付きの天文官**になった**。〉〉
**——**太陽を、**観る**とき**。
〈**——**そのままでは、**目を、焼く**。
**——**だから、**色の付いたガラス**を、**重ねて、**覗く**。〉
**——**気づいた**。
〈**——**ガラスの色によって、**明るさは、同じくらいでも、
**——**目に来る、**熱さが、違う**。〉
**——**なぜか**。
〈**——**色ごとに、**熱の量が、違う**のではないか**。〉)
**虹の上に、温度計**。
(——**1800年、**スラウの自宅**で、**試した**。
〈**(1)**窓の隙間から、**日光を、入れる**。
**(2)**そして、**プリズム**で、**虹に、分ける**。
**(3)さらに、**机の上に、**帯が、できる**。
**(4)そして、**そこへ、**温度計を、**置いていく**。
**〈——球の部分を、**黒く塗ってある**。**
**——**熱を、**吸わせるためである**。〉**
**(5)さらに、**帯の外**に、**もう二本**、**置いておく**。
**〈——部屋そのものの温度**と、**比べるため**。〉〉
**——**紫のところ**。
〈**——**あまり、**上がらない**。〉
**——**赤に、**近づくほど**。
〈**——**上がっていく**。〉)
**赤の外**。
(——**赤の、**さらに外側**に、**置いてみた**。
〈**——**何も、**見えないところ**である**。
**——**帯は、**そこで、終わっている**。〉
**——**そこが、**いちばん高く、**上がった**。
〈**——**赤よりも、**上がった**。〉
**——**ハーシェルは、**これを、**「熱を作る線」**(calorific rays)と、呼んだ**。
〈**——**そして、**鏡で反射するか**、
**——**ガラスを通るか**、
**——**屈折するか**を、**次々に、確かめた**。
**——**光と、**同じようにふるまう**。〉
**——**同じ年、**王立協会**に、**報告した**。〉
**何が、変わったか**。
(——**それまで**。
〈**——**光は、**目に見えるもの**だった**。
**——**そして、**熱は、**別のもの**だと、思われていた**。〉
**——**ここで、**二つのことが、**同時に、示された**。
〈**(1)**光と熱は、**同じ帯の上**に、**並んでいる**。
**(2)**そして、**帯は、**目に見える範囲の、**外へ、続いている**。〉
**——**翌1801年、**紫の外側**にも、**何かがあることが、**分かる**。
〈**——**ドイツのリッター**が、**塩化銀**の紙を、置いた**。
**——**紫の外で、**いちばん速く、**黒くなった**。
**——**紫外線**である**。
**——**こちらは、**温度計ではなく、**化学の変化**で、**捕まえた**。〉
**——**「赤外線」**という呼び名は、**十九世紀の終わりごろ**からである**。〉
**その先**。
(——**目に見えないものを、**測る道具**が、**次々に、できていく**。
〈**(1)**熱を出すものは、**すべて、**この線を、出している**。
**〈——人の体**も。〉**
**(2)**そして、**暗闇でも、**見える**。
**〈——夜間の照準。**
**——**そして、**体温を、**触れずに、測る器械**。〉**
**(3)さらに、**星が、**何度であるか**も、**同じ考え方で、**測る**。
**(4)そして、**大気の中の気体**が、**この線を、**どれだけ、**吸うか**。
**〈——十九世紀の半ばには、**水蒸気と、**二酸化炭素**が、**熱の線を、**吸い止める**ことが、**測られる**。**
**——**温室効果**の、**最初の測定である**。〉〉)
**残ること**。
(——**人の感覚の、**外側**に、**世界が、続いている**。
〈**——**それを、**示したのは、**理屈ではなく、**
**——**机に置いた、**温度計の目盛り**である**。〉
**——**測る道具は、**答えを出す**ためだけに、**あるのではない**。
〈**——**何も無いはずのところ**に、**置いてみると、
**——**目盛りが、**動くことがある**。〉)