概要
デュナンの本に動かされたジュネーヴの五人が委員会を作り、各国の代表を呼んで話し合いを重ねた。1864年8月、十二か国が条約に署名する。戦場の傷病兵は、どちらの国の兵であっても収容して手当てする。野戦病院とそこで働く者は攻撃しない。そのしるしとして、白地に赤い十字を掲げる。わずか十条の取り決めだった。戦争そのものは禁じていない。戦争をする国どうしが、戦争の最中にも守る決まりを、戦争の前に約束したのは、これが初めてである。
場所
46.20°N 6.14°E · スイス(CERN・国際機関)
本文
**五人**。
(——**1863年2月**、**ジュネーヴの**公益協会**が、**委員会を、**作った**。
〈**(1)**ギュスターヴ・モワニエ**。
**〈——法律家。**協会の会長。**
**——**実務を、**動かした**のは、**この人**である。〉**
**(2)**そして、**ギヨーム=アンリ・デュフール**。
**〈——スイスの将軍**。**
**——**内戦を、**短く、**終わらせた人**として、**知られていた**。〉**
**(3)さらに、**ルイ・アッピア**と、**テオドール・モノワール**。
**〈——二人の、**医師**。〉**
**(4)そして、**アンリ・デュナン**。
**〈——[[solferino-dunant]]**の、**書き手**。〉〉**
**——**のちに、**赤十字国際委員会**と、**呼ばれる**。〉
**会議**。
(——**1863年10月**。
〈**——**十数か国**の、**代表**が、**ジュネーヴに、**集まった**。
**——**政府の代表**も、**そうでない者**も、**混じっていた**。〉
**——**決めたこと**。
〈**(1)**各国に、**救護の団体**を、**作る**。
**(2)**そして、**救護する者**は、**腕に、**白地に赤い十字**の、**腕章**を、**付ける**。
**(3)さらに、**各国の政府**に、**その者たち**を、**守るよう、**求める**。〉
**——**しかし、**これは、**「求める」**だけ**である**。
〈**——**国を、**縛る**には、**条約**が、**要る**。〉)
**1864年8月**。
(——**スイス政府**が、**外交会議**を、**開いた**。
〈**——**8月22日、**十二か国**が、**署名**した**。〉
**——**条文は、**十**。
〈**(1)**野戦病院**と、**救護所**は、**中立**とする**。
**〈——攻撃しない。**
**——**そこに、**傷病兵がいる限り**。〉**
**(2)**そして、**そこで働く者**も、**中立**とする**。
**〈——医者。**
**——**看護する者**。**
**——**運ぶ者**。**
**——**捕らえても、**捕虜にせず、**帰す**。〉**
**(3)さらに、**傷病兵**は、**どちらの国の兵**であっても、**収容し、**手当てする**。
**(4)そして、**手当てに協力した住民**も、**守る**。
**(5)さらに、**しるし**は、**白地に赤い十字**。
**〈——旗と、**腕章**。〉〉**
**——**しるし**の由来**。
〈**——**スイスの国旗**の、**色を、**入れ替えたもの**と、**説明されている**。
**——**会議の記録**に、**そうはっきり書いてあるわけではない**、**という指摘**もある**。〉)
**何を、しなかったか**。
(——**戦争**を、**禁じてはいない**。
〈**——**それは、**この会議の人々**も、**分かっていた**。
**——**禁じようとすれば、**誰も、**署名しない**。〉
**——**何を、**したか**。
〈**(1)**戦争**を、**する国どうし**が、
**(2)**そして、**戦争の最中**にも、**守る決まり**を、
**(3)さらに、**戦争の前**に、**約束した**。〉
**——**これが、**初めて**である**。
〈**——**それまでも、**戦場の慣わし**は、**あった**。
**——**しかし、**その場の、**将軍どうしの取り決め**だった**。
**——**戦争ごとに、**消えた**。〉)
**すぐに、試される**。
(——**1866年、**プロイセンとオーストリアの戦争**。
〈**——**プロイセンは、**署名していた**。
**——**オーストリアは、**まだ、**していなかった**。〉
**——**1870年、**普仏戦争**。
〈**——**双方が、**加わっていた**。
**——**それでも、**赤十字の腕章**を、**付けた者**が、**撃たれた**という訴えが、**両側から、**出た**。
**——**腕章**を、**勝手に、**付ける者**も、**いた**。〉
**——**決まり**は、**守らせる者**が、**いない**。
〈**——**裁く場**が、**無い**。
**——**あるのは、**「守らなかった」**と、**世の中に、**知られること**だけ**である**。〉)
**広がる**。
(——**条約**は、**書き直されていく**。
〈**(1)**海の上の、**傷病兵**。
**(2)**そして、**捕虜**。
**〈——[[pow-agency-1914]]**。〉**
**(3)さらに、**第二次世界大戦のあと**、**1949年**、**占領地の**住民**。〉
**——**いま、**世界のほぼすべての国**が、**加わっている**。
〈**——**国連の加盟国**より、**多い**。〉)
**残ること**。
(——**しるし**が、**要る**。
〈**——**遠くから、**見て、**「撃つな」**と、**分かる**もの**。〉
**——**しかし、**しるし**は、**ただの、**色と形**である**。
〈**——**見る側**が、**何を、**思い浮かべるか**は、**決められない**。
**——**十二年後、**そのこと**が、**問題になる**。
**——**[[red-crescent-1876]]**。〉)