概要
開票を待たずに結果を知るには、投票を終えた人に、いま何を書いたかを聞けばよい。CBSのウォーレン・ミトフスキーが、投票所を無作為に選び、一定の間隔で出てくる人に用紙を渡す方法を組んだ。速い。そして、誰がなぜそう投票したかも分かる。当選確実の報道が、まだ投票時間の残る西部の投票率を下げるという批判が起き、各局が発表の時刻を遅らせた。2000年のフロリダでは、二度、誤って当確が出されている。
場所
40.71°N -74.01°E · アメリカ合衆国
本文
**問い**。
(——**開票の結果は、**時間がかかる**。
〈**——**そして、**報道は、**早く、知りたい**。〉
**——**それまでの方法**。
〈**(1)**開票速報**。
**——**「いま、何票、数えた」**。
**——**そして、**どの地区から、開票されるかで、**傾向が、偏る**。
**(2)**そして、**「鍵となる選挙区」**(key precincts)。
**〈——過去の傾向から、**全体をよく映す地区**を、選んでおく。**
**——そして、そこの結果を、早く、集める。**
**——1960年代、CBSが、それを、使っていた。〉**
**——**問題**。
**〈——「なぜ、そう投票したか」**が、**分からない**。**
**——そして、開票を、待たなければならない。〉**〉)
**ミトフスキー**。
(**ウォーレン・ミトフスキー**(1934〜2006年)。
〈**——**統計学者である**。
**——**そして、**国勢調査局**で、**標本調査を、担当していた**。
**——**1967年、**CBSに、招かれた**。〉
**——**そして、**彼が、やったこと**。
〈**(1)**投票所を、**無作為に、選ぶ**。
**〈——「代表的な地区」を、判断で選ぶのでは、無い。**
**——確率で、選ぶ。**
**——ネイマンの原則である。〉**
**(2)**そして、**そこで、**一定の間隔で、出てくる人**に、声を、かける**。
**〈——「十人目ごと」。**
**——調査員が、選ばない。〉**
**(3)**用紙を、渡す**。
**——**そして、**その場で、書いて、箱に、入れてもらう**。
**〈——口頭では、無い。**
**——「誰に入れたか」を、**人に、言わなくてよい**。**
**——正直に、書きやすい。〉**
**(4)そして、**属性と、理由も、聞く**。
**〈——年齢、性別、人種、収入、学歴、宗教。**
**——そして、「何を、重視して、決めたか」。〉**〉
**1967年、**ケンタッキー州知事選**で、**最初に、試された**。
**——**1968年、**全国規模で**。〉)
**何が、できるようになったか**。
(**(1)**速い**。
〈**——**投票が締め切られた、**その瞬間に、**結果を、言える**。〉
**(2)**そして、**「なぜ」**。
〈**——**「若い有権者の、何割が、どちらに入れたか」**。
**——**「経済を最も重視した人は、どちらに入れたか」**。
**——**これが、**選挙の分析を、変えた**。
**〈——それまで、**選挙区ごとの集計から、推測する**しか、無かった。**
**——「この地区は、労働者が多いから、おそらく……」。**
**——出口調査は、**個人について、直接、聞く**。〉**〉
**(3)そして、**不正の検出**。
〈**——**出口調査と、**公式の結果が、**大きく食い違えば、**疑いが、生じる**。
**〈——2004年、ウクライナの大統領選。**
**——出口調査と、公表された結果が、大きく違った。**
**——そして、**オレンジ革命**へ。**
**——ただし、**出口調査そのものにも、誤差がある**。**
**——だから、**それだけでは、証拠にならない**。〉**〉)
**問題**。
(**(1)**早すぎる発表**。
〈**——**1980年、**カーター対レーガン**。
**——**東部時間の午後8時15分頃、**各局が、レーガンの勝利を、報じた**。
**——**そして、**カーターが、**午後9時50分に、敗北を、認めた**。
**——**西海岸では、**まだ、投票時間が、一時間以上、残っていた**。
**〈——そして、**投票を、やめて、帰った人がいる**、という研究がある。**
**——特に、**同時に行われる、地方の選挙**への影響が、指摘された。**
**——ただし、**影響の大きさについては、研究が、割れている**。〉**
**——**議会が、**公聴会を、開いた**。
**——**そして、**各局が、**「その州の投票が終わるまで、当確を出さない」**という、自主的な取り決めを、した**。〉
**(2)**そして、**外れる**。
〈**——**2000年、**フロリダ**。
**——**午後8時前、**各局が、ゴアの勝利を、報じた**。
**——**そして、**取り消した**。
**——**午前2時過ぎ、**今度は、ブッシュの勝利を、報じた**。
**——**そして、**また、取り消した**。
**——**「フロリダは、**未定である」**。
**〈——そして、**五週間の、票の数え直しと、訴訟**へ。**
**——最高裁が、それを、止めた。〉**
**——**原因**。
**〈——出口調査の、標本の誤差。**
**——そして、**不在者投票が、集計に、入っていなかった**。**
**——さらに、**一つの郡の集計の、入力の誤り**(マイナスの票が、入った)。〉**
**——**この後、**出口調査の体制が、**全面的に、作り直された**。
**〈——「全国選挙プール」(NEP)。**
**——そして、ミトフスキー自身が、その再設計に、関わった。〉**〉
**(3)そして、**回答しない人**。
〈**——**近年、**出口調査に、答えない人の割合が、増えている**。
**——**そして、**その偏りが、**支持政党と、相関している**、という指摘がある**。
**〈——2016年と2020年のアメリカで、繰り返し、論じられた。〉**〉
**(4)さらに、**期日前投票と、郵便投票**。
〈**——**投票所の出口に、**いない**。
**——**だから、**電話調査を、組み合わせなければならない**。
**——**2020年、**アメリカで、**過半数が、当日以外に、投票した**。
**——**出口調査という方法そのものが、**前提を、失いつつある**。〉)
**そして**。
(——**ミトフスキー**。
〈**——**2006年、**急死した**。**七十一歳**。
**——**そして、**アメリカ世論調査協会**が、**彼の名を冠した賞**を、設けている**。〉
**——**彼が、**繰り返し、言ったこと**。
〈**——**「われわれは、**予測しているのではない**。
**……**測っているのである」**(要旨)。
**——**そして、**測ったものには、**誤差の幅がある**。
**——**それを、**報じる側が、しばしば、無視する**。〉)