← 地図で見る
Event / できごと

コチニール

Cochineal
AD1523年
重要度 4
アマゾンの狩猟採集民平原のバイソン狩猟民高原の漁労・狩猟採集民ナチェズApachePomoHuronCherookeeDelaware砂漠の狩猟採集民HopiコマンチCoqsNavajoカリブの狩猟採集民Calusaマヤの諸都市国家シャイアンAD1523年オアハカ
このできごとには、まだ自由に使える図版が見つかっていません。 代わりに、このデータベースが持っているAD1523年の版図を描いています(18勢力)

概要

ウチワサボテンに寄生する小さな虫の、雌の体を乾かして砕くと、鮮やかな深紅が採れる。メソアメリカでは千年以上前から栽培されていた。スペインが植民地の産物として送り出すと、ヨーロッパの染色が変わる。それまでの赤は茜と地衣で、くすんでいた。枢機卿の緋衣も、イギリス軍の赤い上着も、これである。原料が虫であることをスペインは長く伏せ、生産をオアハカに独占させた。銀に次ぐ輸出品になり、そして合成染料が、それを終わらせた。

場所

オアハカ
17.07°N -96.73°E · メキシコ

本文

**虫**。

(——**コチニールカイガラムシ**(*Dactylopius coccus*)。

〈**——**ウチワサボテン**(ノパル)に、寄生する**。

**——**体長、**約5ミリ**。

**——**白い、粉のようなものに、覆われている**。

**〈——蝋である。**

**——遠目には、**サボテンに、白い黴が生えているように見える**。〉**

**——**そして、**その下の体が、**濃い赤紫**である**。〉

**色素**。

〈**——**カルミン酸**。

**——**虫の、**乾燥重量の、約20%**を占める**。

**〈——極めて、高い含有率である。〉**

**——**そして、**捕食者に対する、防御である**、と考えられている**。〉

**量**。

〈**——**一ポンド(約450グラム)の染料に、**約7万匹**が要る**。

**〈——推定に、幅がある。**

**——一説に、10万匹。〉**〉)

**栽培**。

(——**野生ではなく、**栽培されていた**。

〈**——**メソアメリカで、**少なくとも二千年前から**、とされる**。

**——**そして、**家畜化されている**。

**〈——野生種と比べて、**体が大きく、蝋が多く、そして、飛べない**。**

**——雌は、**羽が無く、脚も、退化している**。**

**——人の手なしでは、**生きられない**。〉**〉

**作り方**。

〈**(1)**サボテンの畑(ノパレラ)を、作る**。

**(2)**そこに、**虫の付いた葉を、括りつける**。

**〈——あるいは、**巣を編んだ籠**を、吊るす。〉**

**(3)**三か月ほど、育てる**。

**(4)**そして、**雌を、**刷毛で、掻き落とす**。

**〈——雄は、小さく、羽があり、**色素が少ない**。**

**——そして、交尾の後、すぐ死ぬ。〉**

**(5)**殺して、乾かす**。

**〈——日に干す。**

**——あるいは、**熱湯**、**蒸気**、**あるいは、竈で焼く**。**

**——そして、**方法によって、色が、微妙に、変わる**。**

**——それが、**等級として、取引された**。〉**

**(6)そして、**砕く**。〉

**——**極めて、**手間がかかる**。

〈**——**そして、**気候に、弱い**。

**——**雨と、霜で、**全滅する**。〉)

**それまでのヨーロッパの赤**。

(〈**(1)**茜**(マダー)。

**——**煉瓦色に近い、**くすんだ赤**。

**(2)**ケルメス**。

**——**地中海のカシに付く、**別のカイガラムシ**。

**——**そして、**コチニールより、**色素が、はるかに少ない**。

**〈——十倍以上の量が、要る。〉**

**(3)**ブラジルウッド**(蘇芳)。

**——**色が、**褪せる**。

**(4)そして、**ポーランド・コチニール**。

**——**東欧の、草の根に付く虫**。〉

**——**いずれも、**「本当に、鮮やかで、褪せない赤」**では、なかった**。〉)

**征服**。

(**1519年から**。

〈**——**コルテスが、**メキシコの市場で、**それを、見た**。

**——**そして、**1523年、カルロス1世が、**「新大陸から、送るべきもの」**の一つとして、指定した**。〉

**——**そして、**ヨーロッパで、**衝撃を、与えた**。

〈**——**染めてみたら、**極めて、鮮やかで、**そして、褪せない**。

**——**媒染剤(明礬、錫)を、変えると、**緋色から、深紅、そして紫まで、出せる**。

**〈——特に、**錫を使うと、**燃えるような緋色**になる。**

**——1630年頃、オランダの**コルネリス・ドレベル**が、その方法を、見出した。**

**——「ドレベルの緋色」。〉**〉)

**独占**。

(——**スペインは、**それを、隠した**。

〈**(1)**原料が、**虫であること**を、伏せた**。

**——**「植物の種である」**と、思われていた時期がある**。

**〈——顕微鏡で、**確かめられた**のは、18世紀である。**

**——ルーヴェンフックが、それを、見た。〉**

**(2)**そして、**生きた虫の、輸出を、禁じた**。

**(3)**さらに、**生産を、**オアハカに、集中させた**。

**〈——先住民の共同体が、育てた。**

**——そして、**レパルティミエント**という制度で、**

**——スペイン人の代官が、**前貸しをして、買い叩いた**。**

**——虫の代金は、**しばしば、支払われなかった**。〉〉**

**規模**。

〈**——**16世紀後半から、**銀に次ぐ、メキシコの輸出品**である**。

**——**年に、**数十万ポンド**。

**——**そして、**アムステルダムの取引所で、**先物が、取引された**。〉)

**着たもの**。

(〈**——**枢機卿の緋衣**。

**〈——「カーディナル・レッド」。〉**

**——**イギリス軍の、赤い上着**。

**〈——「レッドコート」。**

**——ただし、**兵卒のものは、より安い茜染め**である。**

**——将校のものが、コチニールだった。〉**

**——**そして、**ゴブラン織り**と、**ペルシアとトルコの絨毯**。

**——**さらに、**ベラスケスと、レンブラントと、ターナー**の絵の、赤**。

**〈——顔料(レーキ)として、使われた。**

**——そして、**この顔料は、光で、褪せる**。**

**——だから、**当時の絵の赤が、いま、失われている**ことがある。〉**〉)

**終わり**。

(**(1)**1777年、**フランスの博物学者**ティエリ・ド・メノンヴィル**が、**

**——**オアハカから、**虫と、サボテンを、盗み出した**。

〈**——**そして、**ハイチで、栽培しようとした**。

**——**失敗した**。〉

**(2)**19世紀、**カナリア諸島とグアテマラ**で、**栽培が、広がった**。

**(3)そして、**1856年以降、**合成染料**。

〈**——**モーヴ、そして、**アリザリン**(1868年、茜の色素の合成)、そして**アゾ染料**。

**——**桁違いに、安い**。

**——**そして、**均一である**。

**——**十九世紀末には、**コチニールの市場が、崩れた**。〉)

**そして、いま**。

(——**戻ってきた**。

〈**——**食品と、化粧品の、着色料**として**。

**〈——「カルミン」「コチニール抽出物」「E120」。**

**——ハム、ソーセージ、菓子、ヨーグルト、そして口紅。〉**

**——**理由**。

**〈——合成の赤色色素(特にタール系)への、**安全性の懸念**。**

**——そして、「天然」への、志向。〉**

**——**そして、**問題**。

〈**(1)**アレルギー**。

**——**稀に、**重いものが、報告されている**。

**(2)**そして、**「虫である」**こと**。

**——**菜食主義者と、いくつかの宗教で、**問題になる**。

**〈——2012年、**スターバックスが、いちごのソースに使っていたことが、問題になり、**

**——切り替えた。〉**

**——**そのため、**表示が、義務づけられている国がある**。〉

**——**そして、**ペルー**が、**いま、世界の生産の大部分**を、占めている**。〉)

同じ時代のできごと

ハラールの城壁都市AD13〜16世紀「新大陸」という認識AD1507年(ヴァルトゼーミュラーの地図)システィーナ礼拝堂の天井画1508年王陽明の龍場の悟りAD1508年マラッカの陥落AD1511年エラスムス『愚神礼賛』AD1511年バルボアの太平洋到達AD1513年9月25日ピーリー・レイースの世界図AD1513年
AD1523年の世界を地図で見る国境・できごと・生きている人が、その年のものに入れ替わります