概要
ソマリアの中央政府が崩れ、国境を越えた人々のために、ケニア北東部のダダーブに仮の居住地が設けられた。想定は九万人、数年である。三十年を超えて存続し、一時は五十万人近くが暮らした。そこで生まれ、そこで育ち、外を知らないまま成人した人がいる。移動の自由は制限され、働くことも難しい。仮設という前提が、恒久の状態を作る。世界の難民の多くが、平均して十年を超えて、こうした場所にいると推計されている。
場所
-1.29°N 36.82°E · ケニア
本文
**きっかけ**。
(**1991年1月**。
〈**——**ソマリアの、**シアド・バーレ政権が、崩れた**。
**——**そして、**中央政府が、**無くなった**。
**〈——そして、それが、**三十年以上、続く**。〉**
**——**内戦と、氏族の争い、そして、飢饉**。〉
**——**人々が、**国境を、越えた**。
〈**——**ケニアへ**。**エチオピアへ**。**イエメンへ**。〉
**1991年、**ダダーブ**。
〈**——**ケニア北東部**。**ソマリア国境から、**約100キロ**。
**——**乾燥した、**半砂漠**である**。
**——**そこに、**三つの区域**が、設けられた**。
**〈——ハガデラ、イフォ、ダガハレー。**
**——後に、二つ、加わった。〉**
**——**想定**。
**〈——**九万人**。**
**——そして、**「数年」**。〉〉)
**三十年**。
(——**そして、**続いた**。
〈**——**1992年、**約十万人**。
**——**2011年、**ソマリアの旱魃と飢饉**。
**〈——一日に、**千人以上**が、到着した時期がある。〉**
**——**同年、**約46万人**。
**〈——「世界最大の難民キャンプ」と、呼ばれた。〉**
**——**そして、**2020年代、**約20万人から30万人**。〉
**——**そして、**そこで、生まれた人**。
〈**——**推定で、**数万人**が、**キャンプで生まれ、キャンプで育った**。
**——**そして、**外の世界を、**知らない**。
**〈——「三世代目」が、いる。**
**——祖父母が、逃げてきた。**
**——親が、そこで生まれた。**
**——そして、子が、そこで生まれた。〉**〉)
**何が、あるか**。
(**(1)**配給**。
〈**——**世界食糧計画**が、**穀物、豆、油、塩、そして砂糖**を、配る**。
**——**そして、**予算が、足りなくなると、**配給が、削られる**。
**〈——2010年代後半から、**繰り返し、削減された**。**
**——「一人一日、あたりのカロリー」が、**基準を、下回った**時期がある。〉**〉
**(2)**学校**。
〈**——**小学校と、中学校**。
**——**そして、**教員の多くが、**キャンプの住民である**。
**——**さらに、**大学の遠隔講座**。
**〈——「Borderless Higher Education for Refugees」。**
**——数百人が、学位を、得ている。〉**〉
**(3)**病院と、診療所**。
**(4)**市場**。
〈**——**そして、**これが、しばしば、驚かれる**。
**——**店が、**数千、ある**。
**——**そして、**携帯電話、送金、家畜、野菜、そして衣類**。
**〈——キャンプの「経済規模」が、**年間、数千万ドル**、と推計されたことがある。**
**——そして、それが、**周辺のケニアの町の経済を、支えてもいる**。〉**〉)
**何が、無いか**。
(**(1)**移動の自由**。
〈**——**ケニアの法で、**難民は、**指定された場所に、留まらなければならない**。
**——**外へ出るには、**許可が、要る**。
**——**そして、**しばしば、出ない**。〉
**(2)**働く権利**。
〈**——**正式な雇用が、**極めて、制限されている**。
**——**そして、**「インセンティブ・ワーカー」**という制度**。
**〈——援助機関の下で働く。**
**——そして、**賃金ではなく、「奨励金」**である。**
**——ケニア人の同僚の、**数分の一から、十分の一**。〉**〉
**(3)**土地**。
**(4)そして、**先の見通し**。
〈**——**三つの「恒久的な解決」**とされるもの**。
**〈(a)**帰還**。**
**——ソマリアが、安全になれば。**
**——そして、なっていない。**
**(b)**現地への統合**。**
**——ケニアが、市民権を与える。**
**——政治的に、極めて、難しい。**
**(c)**第三国への再定住**。**
**——他の国が、受け入れる。**
**——そして、**世界全体で、年に、十万人程度**である。**
**——難民の総数の、**1%未満**。〉**
**——**つまり、**大多数にとって、**どれも、来ない**。〉)
**閉鎖**。
(——**そして、**ケニア政府が、**繰り返し、閉鎖を、宣言した**。
〈**——**2016年**(ガリッサ大学の襲撃事件の後)。
**——**2019年**。
**——**2021年**。
**——**そして、**そのたびに、**延期された**。
**〈——裁判所が、止めた。**
**——そして、国際的な圧力。〉**
**——**理由として、**「アル・シャバブの、温床である」**と、主張された**。
**——**そして、**その主張の根拠は、**弱い**、と、複数の調査が、指摘している**。〉)
**そして**。
(——**「長期化した難民の状況」**(protracted refugee situation)。
〈**——**UNHCRの定義**。
**——**「同じ国籍の難民が、**二万五千人以上、**五年以上、**同じ受入国に、いる状態」**。
**——**そして、**世界の難民の、**大多数**が、**その状態にある**。
**——**平均の滞在期間の推定は、**十年を超える**。
**〈——推定の方法によって、幅がある。**
**——そして、**二十年を超える例**が、多数ある。〉**〉
**——**他の例**。
〈**——**パレスチナ難民**(1948年から、七十七年)。
**——**アフガニスタン難民**(パキスタンとイランに、四十年以上)。
**——**そして、**ネパールのブータン難民**、**タイのミャンマー難民**。〉
**——**そして、**「仮設」**という前提**。
〈**——**恒久的な建物を、**建てさせない**。
**——**上下水道を、**整備しない**。
**——**「一時的なものだから」**。
**——**そして、**その一時が、**三十年になる**。
**〈——ある研究者の言葉として、繰り返し引かれるもの。**
**「難民キャンプは、**永続的な仮設**である」。〉**〉)