← 地図で見る
Event / できごと

江戸の町火消

The townsmen's fire brigades of Edo
AD1718年
重要度 4
ロシア帝国スペイン帝国中央アジアの諸ハン国チベットアユタヤ朝Avaシャン諸邦日本大越大越朝鮮王朝ラオスの諸国フィリピンカンボジアLan NaアイヌモシリAD1718年江戸
このできごとには、まだ自由に使える図版が見つかっていません。 代わりに、このデータベースが持っているAD1718年の版図を描いています(17勢力)

概要

明暦の大火の後も、江戸は繰り返し燃えた。町奉行大岡忠相が、町人自身による組を作らせた。いろは四十七組。のち本所深川にも置かれた。屋根に登り、纏を立て、そこから風下の家を壊す。水では消えない。壊して延焼を止めるのが仕事である。鳶職が担い、火事場での組同士の縄張り争いと喧嘩が絶えなかった。それでも、都市の防火を住民の組織が担うという形が、ここで定着した。

場所

江戸
35.69°N 139.75°E · 日本・東京都(江戸城=現在の皇居)

関わった人(1)

大岡忠相AD1677年–AD1752年 · 作らせた

本文

**火事と喧嘩は江戸の華**。

(——**そう言われた**。

**そして、それは、**誇りではなく、諦めに近い**。)

**規模**。

(**江戸時代の二百六十年間で、**大火**(数百戸以上を焼いたもの)が、**約50回**。

**小さな火事を含めれば、**1,800回**を超える**、という集計がある**。

**——**平均すると、**数か月に一度、どこかが燃えている**。〉

**なぜか**。

**(1)**木と紙と、藁葺きの家が、密集している**。

〈**町人地の人口密度は、**極端に高い**。

**——**裏長屋**。**九尺二間**(間口約2.7メートル、奥行約3.6メートル)。〉

**(2)**冬の、北西の季節風**。

〈**関東の冬は、**乾いて、強い風が吹く**。

**——**大火は、ほとんどが、**冬から春**である**。〉

**(3)**火の使用**。

〈**竈、行灯、火鉢、そして、**風呂**。〉

**(4)そして、**放火**。

〈**厳罰である**(**火罪**——火あぶり)。

**それでも、**絶えなかった**。〉)

**明暦の大火**。

**1657年**。

(——**江戸の**六割以上**が焼けた**。

**死者、**推定3万から10万人**。

**江戸城の天守も、焼けた**。

〈**そして、**再建されなかった**。

**——「天守は、実用ではない」**という判断があった、とされる。〉

**この後、**幕府は、都市の造りを変えた**。

〈**火除地**(空き地を作る)。

**広小路**(道を広くする)。

**防火堤**。

**そして、**大名屋敷と寺社を、郊外へ移した**。〉)

**それまでの火消**。

**(1)**大名火消**(1643年〜)。

(——**大名に、消火を命じる**。

**十六家が、交代で当たった**。〉)

**(2)**定火消**(じょうびけし、1658年〜)。

(——**明暦の大火の翌年**。

**旗本から、**四人(後に十人)**を任命した**。

**それぞれが、**臥煙**(がえん)**と呼ばれる、抱えの人夫を持った**。

〈**火消屋敷**に住み込ませた**。

**——**荒くれ者が多く、評判が悪い**。〉)

**——しかし**。

**(1)**武家地と、江戸城が、優先される**。

**(2)**町人地は、後回しになる**。

**(3)そして、**数が、足りない**。

**町火消**。

**1718年(享保3年)**。

(**町奉行**大岡忠相**。

**——**町人自身に、消させる**。

**各町に、**火消の組を作らせた**。

**1720年、**いろは四十七組**に、再編**。

〈**「へ」「ら」「ひ」「ん」**は、**語感が悪い**として避けられ、**「百」「千」「万」「本」**に置き換えられた**。

**——「へ」は屁、「ら」は摩羅、「ひ」は火、「ん」は語呂**。

**そして、**本所・深川に、十六組**が、別に置かれた**。〉

**担ったのは、**鳶職**である**。

〈**なぜ、鳶か**。

**——**高い所に登れる**。

**そして、**建物を壊す道具と、技術を持っている**。

**普段は、**建築の足場を組む**。

——**火事のときは、**壊す**。〉)

**方法**。

**破壊消防**。

(——**水では、消えない**。

**当時のポンプ(**龍吐水**、りゅうどすい)は、**射程も水量も、まったく足りない**。

〈**二人が交互に押す、木製の箱型のポンプ**。

**——**ほとんど、気休めである**。

**実際には、**壊した後の、火の粉を消すのに使われた**、とされる。〉

**だから——**

**(1)**火の風下の家に、登る**。

**(2)**屋根を剥がし、柱を倒し、家を壊す**。

**(3)**そこで、火を止める**。

〈**壊された家の持ち主は、**補償されない**(原則として)。

**——**それでも、そうするしかなかった**。〉)

**纏**(まとい)。

(——**組の目印である**。

**屋根の上に、**纏持ちが登って、立てる**。

**意味**。

**(1)**「この家は、われわれが受け持った」**という宣言。

**(2)**風上と風下の目印**。

**(3)そして——**纏持ちは、逃げられない**。

〈**纏を立てたら、**火が消えるか、家が崩れるまで、そこにいる**。

**——**焼け死んだ纏持ちが、いる**。

**それが、**組の名誉になった**。〉

**纏の頭の飾り(**馬簾**)と形は、組ごとに違う**。

**——**いまも、消防出初式で、これが立てられる**。〉)

**喧嘩**。

(——**組と組が、**現場で、争った**。

**理由**。

**(1)**手柄の取り合い**。

〈**「どちらの組が消したか」**が、名誉と、報酬に関わる**。〉

**(2)**縄張り**。

**(3)そして、**単に、気性である**。

〈**記録に残る大きな喧嘩**——

**1805年、「め組の喧嘩」**。

**——**芝の「め組」の鳶と、**相撲取り**が、大喧嘩になった**。

**発端は、**芝居小屋の木戸銭**である**。

**双方、数十人**。**町奉行が裁いた**。

**——歌舞伎の演目になった**。〉

**幕府は、**繰り返し、喧嘩を禁じた**。

**——**止まらなかった**。〉)

**意味**。

(——**都市の防火を、**住民の組織が担う**という形が、ここで定着した**。

**そして、**その組織が、同時に、**地域の共同体の核**になった**。

〈**祭りの、担ぎ手**。

**普請の、人足**。

**——**火消の組は、**町の自治の、実体だった**。〉

**そして、**幕府にとって、両義的である**。

〈**必要である**。**そして、**武装した町人の集団**でもある**。

——**ローマで、トラヤヌス帝が、消防隊の設立を却下したのと、同じ構造がある**。〉)

**その後**。

(**1868年、**明治**。

**——**町火消は、**消防組**に再編された**(1872年、東京府)。

**そして、**1894年、消防組規則**。

**1948年、**消防組織法**——**現在の消防本部と、消防団**。

〈**消防団**——**いまも、**約80万人**が、非常勤の団員として登録されている**。

**——**平時は別の仕事をし、火事と災害のときに出る**。

**この形は、**町火消の直系である**。

**そして、**団員は、減り続けている**。〉)

**そして、纏**。

(——**現在も、東京消防庁の出初式で、**江戸の各組の纏**が、立てられる**。

**そして、**梯子乗り**。

**——**火の見の技を、そのまま残した演技である**。)

同じ時代のできごと

元禄文化AD1700年頃サンクトペテルブルクの建設AD1703年宝永の大噴火AD1707年12月16日(宝永4年11月23日)正徳の治AD1709年(宝永6年)享保の改革1716年
AD1718年の世界を地図で見る国境・できごと・生きている人が、その年のものに入れ替わります