概要
農耕をしない狩猟採集の人びとが、100万立方メートルの土を運んで半円の土塁を築いた。農業が無ければ大工事もできない、という前提が崩れる。
場所
ポバティ・ポイント
32.63°N -91.41°E · アメリカ合衆国・ルイジアナ州
32.63°N -91.41°E · アメリカ合衆国・ルイジアナ州
本文
ルイジアナの湿地に、六重の半円の土塁が並んでいる。 いちばん外の弧は端から端まで1.2km、 一緒に築かれた塚を含めると、動かされた土は100万立方メートルを超える。
築いたのは農民ではない。 この地域で農耕が始まるのは、それから2000年以上あとになる。 遺跡から出るのは魚と木の実と狩りの跡で、栽培された作物はほとんど出ない。
石は、1000km以上離れた場所から運ばれていた。 オザークの水晶、五大湖の銅、アパラチアの滑石。 広い範囲の集団が、季節ごとにここへ集まっていたと考えられている。
工事は数世代かかったのではなく、 比較的短い期間に集中して行われた形跡がある。
農耕が余剰を生み、余剰が階層を生み、階層が大工事を可能にする。 その順序が、ここでは成り立たない。 『万物の黎明』はこの遺跡を、その筋書きへの反例として挙げた。
出典(1)
デヴィッド・グレーバー、デヴィッド・ウェングロウ(酒井隆史 訳) 『万物の黎明 人類史を根本からくつがえす』第4章(季節によって社会の形を変える人びと)