フリードリヒ・ゴットロープ・ケラー
概要
ザクセンの村の織工の家に生まれ、正規の教育をほとんど受けていない。少年のころ、蜂の巣を見て木から紙ができると考えたと自ら書いている。1843年、濡らした木を砥石に押しつけて繊維を得る装置を作り、翌年その紙で新聞を刷らせた。特許を得たものの、更新料が払えず失効し、権利は製紙業者フォルターに移った。生涯、貧しかった。後年、僅かな年金と名誉学位を受けている。世界の紙のほとんどが、彼の方法の子孫である。
関わったできごと(1)
木材パルプの紙AD1844年 · 作った本文
**フリードリヒ・ゴットロープ・ケラー**(1816〜1895年)。
**ザクセン王国、ハイニヒェン**。
(**父——**織工**、そして**小さな商いをしていた**。
**——**貧しい**。
**息子は、**村の学校**だけである**。
〈**——**大学どころか、**中等教育も、受けていない**。〉
**そして、**手先が、器用だった**。
〈**——**十代で、**織機の部品を作り、修理した**。
**そして、**自分で、**旋盤を作った**、と伝えられる**。〉)
**着想**。
(——**彼自身の記述**(要旨)。
**(1)**少年のころ、**桜んぼの種を、砥石で磨いて、飾りを作った**。
**そのとき、**削れた粉が、水の中で、**繊維のように、綿のようになった**のを、見た**。
**(2)そして、**蜂の巣**。
**——**それが、**木から作られている**ことを、知った**。
**——**「では、木から、紙も作れるのではないか」**。
〈**——**彼が、**レオミュールの論文を読んだ形跡は、無い**。
**独立に、**同じところへ、辿り着いた**。〉)
**装置**。
**1843年から1844年**。
(——**回転する砥石**に、**濡らした丸太を、押しつける**。
**そして、**水を、かけ続ける**。
〈**——**水は、二つの役割がある**。
**(a)**摩擦熱を、冷やす**。
**〈熱すぎると、繊維が焦げる。〉**
**(b)**削れた繊維を、**流し出す**。〉
**——**得られたのは、**短い繊維の、褐色がかった懸濁液**である**。
**そして、**それを漉くと、**紙になった**。
〈**——**ただし、**そのままでは、**弱い**。
**——彼は、**襤褸のパルプを、少し混ぜた**。
**〈初期の木材パルプ紙は、**混合である**。〉**〉
**1845年1月、**この紙で、**フランケンベルクの地方紙が、印刷された**。
〈**——**その紙面に、**「この新聞は、木から作った紙に印刷されている」**という趣旨の記事がある**。
**——**現存する**。〉)
**特許、そして喪失**。
(**1845年、**ザクセンで、特許**。
**——**そして、**年ごとの更新料**が、払えなかった**。
〈**——**彼は、**貧しい**。
**そして、**装置を工業化する資金も、**無い**。〉
**1846年、**製紙業者**ハインリヒ・フォルター**(ハイデンハイム)に、**権利を、売った**。
〈**——**額は、**わずかである**。
**そして、その後、**残りの権利も、失効した**。〉
**フォルターは、**装置を改良し、**そして、世界中に売った**。
〈**——**「フォルターの砕木機」**として、知られるようになった**。
**——**ケラーの名は、**長く、忘れられていた**。〉)
**その後の生涯**。
(——**彼は、**発明を、続けた**。
〈**——**紙の他に、**多数の装置と、機構**。
**そして、**どれも、金にならなかった**。〉
**——**紙屋の職人、**そして、機械の修理**をして、**暮らした**。
**そして、**十四人の子がいた**、と伝えられる**(多くが、幼くして死んだ)。
〈**——**極めて、貧しい**。〉
**1874年、**ドイツの製紙業界が、**募金を始めた**。
〈**——**「彼のおかげで、われわれの産業がある」**。
**そして、**年金**が、与えられた**。
**——**額は、**慎ましいものである**。〉
**1891年、**ドレスデン工科大学から、**名誉博士**。
〈**——**七十五歳**。
**学校を、ほとんど出ていない男に**。〉
**1895年9月8日、**クリムミッチャウ**で死んだ**。**七十九歳**。)
**残ったもの**。
(——**いま、**世界で作られる紙の、圧倒的大部分**が、**木から作られている**。
〈**——**砕木パルプ**(彼の方法の直系)と、**化学パルプ**。
**——**そして、砕木パルプは、**新聞紙**と、**雑誌の紙**に、いまも使われている**。〉
**そして、**その紙が、**数十年で、崩れる**。
〈**——**彼の責任ではない**。
**サイジングと、リグニンの問題である**。
**——それでも、**19世紀後半以降の記録が、いま、図書館で壊れつつある**という事実は、**この発明と、切り離せない**。〉
**——**紙が、安くなった**。
**新聞が、大衆のものになった**。
**そして——**その記録が、残らない**。)
**記念**。
(——**ハイニヒェンに、**博物館**がある**。
**そして、**彼の墓石は、**製紙業界の寄付で、建てられた**。
〈**——**生前に、彼が受け取れなかったものが、**死後に、集まった**。〉)