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Event / できごと

ナイロン

Nylon
AD1935年2月28日
重要度 4
大英帝国カナダアメリカ合衆国アメリカ合衆国デンマークメキシコDominion of NewfoundlandニカラグアホンジュラスキューバグアテマラAD1935年2月28日ウィルミントン
このできごとには、まだ自由に使える図版が見つかっていません。 代わりに、このデータベースが持っているAD1935年2月28日の版図を描いています(11勢力)

概要

デュポンが、実用を求めない基礎研究の部門を作り、ハーヴァードからウォーレス・カロザースを招いた。当時、高分子が長い鎖状の分子であることは、まだ論争の対象だった。彼はそれを合成で示し、その過程で溶融した樹脂から糸が引けることに気づく。1935年、ナイロン66が得られた。石炭と空気と水から作る、と宣伝された。1940年に売り出された靴下は初日で完売し、戦時中は落下傘に回された。カロザースは発売を見ずに、うつ病により自ら命を絶っている。

場所

ウィルミントン
39.75°N -75.55°E · アメリカ・デラウェア州

関わった人(1)

ウォーレス・カロザースAD1896年4月27日–AD1937年4月29日 · 合成した

本文

**論争**。

(——**1920年代、**高分子とは何か**が、**争われていた**。

〈**——**ヘルマン・シュタウディンガー**(ドイツ)の主張。

**「ゴムやセルロースは、**極めて長い、一本の鎖状の分子**である」**。

**——**「巨大分子」**(Makromolekül)。

**そして、**多くの化学者が、**反対した**。

**——**「そんな大きな分子は、**存在しない**。**

**小さな分子が、**何かの力で、集まっている(コロイド)**だけである」**。

**〈——当時の権威が、こう言った。**

**「親愛なる同僚よ、**巨大分子などという考えは、捨てたまえ**。**

**……**有機分子に、分子量5,000を超えるものは、無い」。〉**〉)

**デュポン**。

(——**火薬の会社である**(1802年創業)。

**そして、**第一次大戦で、**莫大な利益を得た**。

〈**——**「死の商人」**と、批判された**。〉

**1920年代、**多角化を、進めていた**。

**そして、**1927年、**研究担当のチャールズ・スタインが、**提案した**。

〈**——**「実用を目的としない、**純粋な基礎研究**の部門を、作る」**。

**——**企業が、そんなことをするのは、**当時、極めて珍しい**。

**〈年間、**25万ドル**の予算。〉**

**——**「純粋科学部門」**、通称**「パーピュリティ・ホール」**(Purity Hall)。〉)

**カロザース**。

(——**ハーヴァードで、**有機化学を教えていた**(当時31歳)。

**——**デュポンが、**招いた**。

〈**——**彼は、**最初、断った**。

**「わたしは、**神経の発作**を、繰り返す。**

**……**産業界の生活に、耐えられるとは、思えない」**(要旨)。

**——**デュポンは、**「何を研究してもよい。予算は、制限しない」**と、答えた**。

**そして、**給料は、**ハーヴァードの、二倍以上**。〉

**1928年、**入社**。〉)

**研究**。

(——**彼は、**シュタウディンガーの説を、**実験で、確かめようとした**。

**方法**。

〈**——**単純な分子を、**意図的に、繰り返し、つないでいく**。

**——**そして、**「できたものが、高分子の性質を持つか」**を、見る**。

**〈——観察するのではなく、**作って、示す**。〉**〉

**1930年——**二つの成果**。

〈**(1)**ネオプレン**(合成ゴム)。

**——**助手の**アーノルド・コリンズ**が、**アセチレンの重合物から、**弾む固体を得た**。

**〈——後に、**油に強い合成ゴム**として、大量に使われた。**

**——第二次大戦で、天然ゴムが断たれたときに、決定的だった。〉**

**(2)**そして、**ポリエステル**。

**——**助手の**ジュリアン・ヒル**が、**溶けた樹脂を、ガラス棒で、つついた**。

**——**すると、**糸が、引けた**。

**〈——そして、**冷えると、**さらに、引き伸ばせる**。**

**——強くなる。〉**

**〈——「ある日、**廊下で、それを引っ張り合った**」**という話が、伝えられている。**

**研究者たちが、**溶けた樹脂から糸を引いて、廊下の端まで走った**。〉**

**——**「冷延伸」**(cold drawing)。

**——**分子の鎖が、**引く方向に、並ぶ**。

**そして、**強くなる**。〉

**——**問題**。

〈**——**このポリエステルは、**融点が低く**、**そして、**水と溶剤に、弱い**。

**——**衣料には、使えない**。

**〈——ポリエステルが繊維になるのは、**1941年のイギリス(ウィンフィールドとディクソン)**である。〉**〉)

**ナイロン**。

**1935年2月28日**。

(——**カロザースのチームの、**ジェラルド・バーチェット**が、**「ポリマー66」**を、合成した**。

〈**——**ヘキサメチレンジアミン**(炭素6)と、**アジピン酸**(炭素6)。

**——**だから、**「66」**である**。

**——**アミド結合**でつながる(**ポリアミド**)。

**〈——絹と、羊毛と、同じ結合である。**

**——タンパク質も、アミド結合(ペプチド結合)でつながっている。〉**〉

**性質**。

〈**——**融点、約263度**(——高い)。

**——**水に、強い**。

**——**そして、**極めて、強い**。

**〈同じ太さの鋼線に、匹敵する引張強さ、と宣伝された。**

**——誇張を含む。〉**

**そして、**細く、しなやかに、引ける**。〉

**——**「絹の代わり」**である**。

〈**——**当時、**アメリカは、**絹の大部分を、日本から輸入していた**。

**——**そして、**その関係が、悪化しつつあった**。〉)

**発売**。

(——**四年、かかった**。

〈**——**工業化が、難しい**。

**原料の大量生産**。**紡糸の装置**。**そして、**染色**。

**——**デュポンは、**総額2,700万ドル**を、投じた**。〉

**1938年10月、**公表**。

〈**——**「石炭と、空気と、水から作られる」**。

**〈——原料のベンゼンは、石炭から。**

**窒素は、空気から。**

**——宣伝としては、正しい。〉**

**そして、**「鋼のように強く、蜘蛛の糸のように細い」**。〉

**1940年5月15日、**全米で、発売**。

〈**——**ナイロンのストッキング**。

**——**初日に、**約400万足**が、売れた**。

**〈店の前に、行列ができた。**

**——「ナイロン暴動」と呼ばれた騒ぎもあった。〉**〉

**そして、**戦争**。

〈**——**1941年12月**。

**——**ナイロンの生産が、**全部、軍に、回された**。

**〈落下傘。**

**——それまで、絹である。**

**そして、絹は、日本から来ていた。〉**

**さらに、**ロープ、テント、タイヤコード、そして蚊帳**。

**——**そして、**女性のストッキングが、**市場から、消えた**。

**〈——脚に、**線を描いた**。**

**——ストッキングの縫い目に、見えるように。〉**

**1945年、**生産が、民生に戻った**。

**——**そして、**再び、行列ができた**。〉)

**カロザース**。

(——**発売を、見ていない**。

**1937年4月29日**。

〈**——**フィラデルフィアのホテルの一室**。

**——**レモンジュースに、**青酸カリ**を溶かして、飲んだ**。

**〈——彼は、**それを、常に、持ち歩いていた**、と同僚が証言している。**

**——「いつでも、やれるように」。〉**

**四十一歳**。

**背景**。

〈**——**若い頃から、**重いうつ**を、繰り返していた**。

**そして、**1936年、**最も親しかった妹イザベルが、**急死した**。

**〈肺炎。**

**——彼は、深く、動揺した。〉**

**さらに、**「自分は、もう、何も新しいものを生み出せない」**という考えに、囚われていた**、と記録されている**。

**〈——ナイロンを作った後に、である。〉**

**——**入院と、治療を、受けていた**。〉

**そして——**七か月後、**娘ジェーンが、生まれた**。

**——**彼は、**妻の妊娠を、知っていた**。〉)

**その後**。

(——**「ナイロン」という名の由来**。

〈**——**「ニューヨークとロンドン」の頭字**、という話は、**後から作られたもの**である**。

**——**デュポンの記録によれば、**「no-run」**(伝線しない)**から始まり、**発音しやすいように変えていった**、とされる**。

**〈そして、**実際には、伝線した**。〉**〉

**そして、**合成繊維の時代**。

〈**ポリエステル**(1941年)、**アクリル**(1944年)、**そして、後にポリプロピレン**。

**——**現在、**世界の繊維の生産量の、約三分の二が、合成繊維**である**。

**〈——そして、**その洗濯によるマイクロプラスチックが、海に流れ込んでいる**。〉**〉

**そして、**シュタウディンガー**。

〈**——**1953年、**ノーベル化学賞**。

**——**「高分子は、長い鎖である」**という、**彼の主張が、正しかった**。

**そして、**カロザースの合成が、**それを、決定的に、示した**。

**——**カロザースは、**1936年、**全米科学アカデミーの会員**に選ばれている**。

**〈——産業界の化学者としては、初めてである。〉**

**そして、その翌年に、死んだ**。〉)

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