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Event / できごと

機械時計と、等しい一時間

The mechanical clock
AD1335年
重要度 5
シベリアの諸集団キプチャク汗国イル汗国リャザン公国マムルーク朝ノヴゴロド公国サーミノルウェー神聖ローマ帝国ハフス朝ポーランド王国フランス王国リトアニア大公国English territoryセルジューク朝スウェーデンマクリアカスティーリャ王国カネム=ボルヌハンガリー王国ハドラマウトモロッコTeutonic Knights東ローマ帝国アラゴン王国ブルガール可汗国デンマークシチリア王国ポルトガルRaškaスコットランドオスマン帝国ヴェネツィア共和国AD1335年ミラノ
このできごとには、まだ自由に使える図版が見つかっていません。 代わりに、このデータベースが持っているAD1335年の版図を描いています(33勢力)

概要

それまでの時間は、日の出から日の入りまでを等分したものだった。だから、一時間の長さが、夏と冬で違う。日時計も水時計も、そう作られていた。修道院が、定時の祈りのために正確な合図を求め、脱進機を持つ機械が生まれた。1335年、ミラノのサン・ゴッタルド教会の塔で、時刻ごとに自動で鐘を打つ装置が動いた。以後、時間は、天体からではなく、機械の刻みから来るものになった。長さの等しい一時間が、そこから始まる。

場所

ミラノ
45.46°N 9.19°E · イタリア・ロンバルディア州

本文

**不定時法**。

古代から中世まで、多くの文明で、時間はこう数えられていた。

**日の出から日の入りまでを、12に分ける**。 **日の入りから日の出までを、12に分ける**。

(**昼の一時間**と、**夜の一時間**の、長さが違う。

そして——**季節によって、変わる**。

〈ローマで、夏至の昼の一時間は約75分、冬至は約45分。

日本の江戸期も同じである。「**明六つ**」「**暮六つ**」。一刻の長さが、夏と冬で違った。〉)

**なぜ、それでよかったか**。

**仕事が、日の光に従っていたからである**。

(畑を耕す。市を開く。旅をする。**暗ければ、できない**。

だから、**昼を等分するのが、合理的だった**。)

**日時計と、水時計**も、この方式に合わせて作られた。

(日時計の目盛りが、**不等間隔**になっている。

水時計〈クレプシュドラ〉は、**季節ごとに、目盛りの板を替えた**。)

**修道院**。

**変化の起点は、祈りである**。

**聖ベネディクトの戒律**(6世紀)。

**一日に、8回**、決まった時刻に祈る。

**朝課**(マティン、真夜中過ぎ)、**賛課**(ラウド、夜明け)、**一時課、三時課、六時課、九時課**、**晩課**(ヴェスペル)、**終課**(コンプリン)。

**問題**——**真夜中に、どうやって起きるか**。

(**夜、日時計は使えない**。

そして、**冬の北ヨーロッパでは、水時計の水が凍る**。)

**方法**。

- **蝋燭に、目盛りを刻む**(アルフレッド大王の考案とされる)。 - **星の位置**を見る(雲があれば、使えない)。 - **詩篇を、決まった数だけ唱える**(時間の代わりに)。 - そして——**当番の修道士が、起きていて、他を起こす**。

(——**人が、時計だった**。)

**脱進機**。

**13世紀後半**、ヨーロッパで、**重りで動く歯車を、一定の速さで進める仕組み**が現れた。

**脱進機**(escapement)。

(**冠型脱進機**(verge escapement)と、**フォリオ**(横棒の振り子)。

原理——重りが歯車を回そうとする力を、**横棒が、行ったり来たりしながら、一歯ずつ逃がす**。

「**チクタク**」という音は、この、一歯ずつ逃がす音である。)

(**誰が発明したかは、分かっていない**。

——**記録がない**。

13世紀の文書に「horologium」(時計)という語が現れるが、それが機械式か、水時計かの区別が、つかない。

**1271年**、ロベルトゥス・アングリクスが書いている。「**時計を作ろうとしている職人たちがいるが、まだ完成していない**」。

——この頃、複数の場所で、同時に試みられていた。)

**精度**——**一日に、数十分の誤差**。

(——**極めて悪い**。

しかし、**水時計より、はるかによい**。そして、凍らない。)

**打鐘**。

初期の機械時計には、**文字盤がなかった**。

**音を、鳴らすだけである**。

(「clock」という語の語源——**中世ラテン語 clocca**、**「鐘」**。

〈フランス語 cloche、ドイツ語 Glocke。〉

——**時計とは、鐘のことだった**。)

**1335年、ミラノ**。

**サン・ゴッタルド・イン・コルテ教会**の鐘楼。

年代記作者**ガルヴァーノ・フィアンマ**が、記録した。

「**そこには、一つの驚くべき鐘がある。それは、昼と夜の24時間のそれぞれの時刻に、鐘を打つ**。

**第一時には一回、第二時には二回、第三時には三回、……そして第二十四時には二十四回**。

**これによって、あらゆる身分の人々が、時を知ることができる**」。

(——**自動で、時刻の数だけ、鐘を打つ**。

**これが、記録に残る、最初期の明確な機械時計の一つ**である。〉

**そして、決定的に重要なこと**。

**24時間が、等しい長さになっている**。

——**機械は、季節を知らない**。歯車は、同じ速さで回る。

**だから、機械時計は、必然的に、定時法をもたらした**。)

**広がり**。

**14世紀**、ヨーロッパ中の都市が、**塔に時計を建てた**。

- 1344年、パドヴァ(ヤコポ・デ・ドンディの天文時計)。 - 1352年、ストラスブール。 - 1354年、そして各地。

**都市が、競って建てた**。

(**極めて高価である**。市の年間予算の相当部分を投じた例がある。

——それでも、建てた。**都市の富と、技術と、独立の象徴**だったからである。)

(そして、**多くが、精巧な仕掛けを備えた**。

人形が動く。天体の運行を示す。鶏が鳴く。

〈プラハの天文時計〈1410年〉、ストラスブールの時計。

——伝説として、「**時計職人が、二度と同じものを作れないよう、目を潰された**」という話が、複数の都市に伝わっている。**いずれも、史実ではない**。〉)

**帰結**。

**(1)労働時間**。

**14世紀のフランドルの織物の町**で、**労働の開始と終了を告げる鐘**(**ヴェルクロック**、労働の鐘)が現れた。

(——それまで、労働は「日の出から日没まで」だった。

**時計が、労働時間を、数字で区切れるようにした**。

そして、**その鐘をめぐって、争いが起きた**。

〈労働者が、鐘が早く鳴らされていると抗議した記録がある。

——**時計を支配する者が、労働時間を支配する**。〉)

**(2)時間の観念**。

**ルイス・マンフォード**(『技術と文明』1934年)の有名な主張。

「**産業の時代の鍵となる機械は、蒸気機関ではなく、時計である**」。

(彼の論——時計が、**時間を、均等で、数えられ、そして商品にできるもの**に変えた。

そして、その観念がなければ、**工場も、賃金労働も、成立しない**。)

**(3)そして——正確さへの追求**。

- **1656年**、**ホイヘンス**の**振り子時計**。

(ガリレオが、振り子の等時性を発見していた〈1583年頃。ピサの大聖堂のランプを見て、自分の脈で測った、という逸話がある〉。

ホイヘンスが、それを時計に組み込んだ。

**誤差——一日に15秒以下**。

〈それまでの、一日数十分から、**数百倍**の改善である。〉)

- **1675年**、ホイヘンスの**ひげぜんまい**(携帯できる時計へ)。 - **1761年**、**ハリソンの航海時計**(経度の測定)。 - 1927年、**水晶時計**。 - **1949年**、**原子時計**。

(——現在の最良の光格子時計の誤差は、**宇宙の年齢の間に、1秒未満**である。)

**日本**。

日本は、**明治まで、不定時法を使い続けた**。

(**和時計**——極めて特異な工夫がある。

**日本の職人は、機械時計を、不定時法に合わせて作り替えた**。

〈**二挺天符**——昼用と夜用の、二つの調速機を持ち、切り替える。

そして、**割駒式**——文字盤の目盛りを、**季節ごとに、手で動かす**。

——**24節気ごとに、調整する**。極めて手間がかかる。〉

**世界の時計の歴史の中で、他に例のない方向の発展である**。)

**1872年(明治5年)12月**、太陽暦の採用とともに、**定時法に切り替わった**。

(**12月3日が、明治6年1月1日になった**。

——理由の一つとして、**明治6年が13か月(閏月がある)で、官吏の月給を13回払わねばならないのを避けた**、という説がしばしば語られる。〈大隈重信の回想による。〉

そして、**和時計は、一夜にして無用になった**。)

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