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Event / できごと

肩で引く

The horse collar
AD900年頃
重要度 4
カリフ国(正統・ウマイヤ・アッバース)フィン・ウゴル系タイガの狩猟採集民トゥアレグハザールキエフ・ルーシベドウィンベルベル系の人びとサーミキエフ・ルーシ東ローマ帝国スラヴの諸部族アグラブ朝後ウマイヤ朝東フランク王国イドリース朝カロリング朝フランク王国西フランク王国ヴォルガ・ブルガールノルウェー王国第一次ブルガリア帝国アヴァールMagyarsバルトの諸部族Swedes and Gothsクロアチア王国デーン人IrlandaMercia大モラヴィア国アストゥリアス王国セルビアChudsPechenegsLombard duchiesAD900年頃アーヘン
このできごとには、まだ自由に使える図版が見つかっていません。 代わりに、このデータベースが持っているAD900年頃の版図を描いています(34勢力)

概要

古代の馬具は、帯を馬の首に回して引かせる。力を出すほど気管と血管を圧迫し、馬は自分の首を絞めながら働く。だから重い荷は牛に引かせた。中国で先に現れた、肩の骨に当てる硬い枠が、中央アジアを経て九世紀のヨーロッパに届く。馬の牽引力が数倍になった。馬は牛より速く、持久力があり、長く働く。重い犂で北ヨーロッパの粘土質の土が耕せるようになり、農民は遠くの畑まで通えるようになった。村の形が変わった。

場所

アーヘン
50.78°N 6.08°E · ドイツ

本文

**問題**。

(——**古代の馬具**。

〈**——**「喉帯・腹帯式」**(throat-and-girth harness)。

**——**帯を、**馬の首の付け根**と、**胴**に、回す**。

**そして、**そこから、**車や犂に、繋ぐ**。

**——**馬が、前へ進もうとすると、**首の帯が、**喉に、食い込む**。〉

**結果**。

〈**——**気管が、圧迫される**。

**そして、**頸静脈が、圧迫される**。

**——**馬が、**息ができなくなる**。

**——**だから、**強く引けない**。

**〈——引こうとすればするほど、**自分の首を、絞める**。〉**〉

**だから**。

〈**——**重い荷は、**牛に、引かせた**。

**——**牛は、**首の付け根に、**大きな瘤(頸峰)**か、**角の後ろの太い骨**がある**。

**——**そこに、**軛**(くびき、yoke)**を、載せられる**。

**〈——牛の骨格は、**押す力を、そこで受けられる**ようにできている。〉**

**——**そして、**牛は、遅い**。

**〈——時速3キロ程度。〉**〉)

**答え**。

(——**首ではなく、**肩**で、引く**。

〈**——**硬い、楕円形の枠**を、**馬の肩に、当てる**。

**——**内側に、**詰め物**(藁、毛、皮)。

**そして、**その枠から、**引き綱を、出す**。

**——**力が、**肩甲骨と、胸の骨格**に、かかる**。

**——**喉が、**押されない**。〉

**結果**。

〈**——**牽引力が、**数倍**になった、と推定されている**。

**〈——推定の幅は、大きい。**

**古い研究(ルフェーヴル・デ・ノエット、1920年代)は、**四倍から五倍**とした。**

**——後の研究は、**その実験の設定を、批判している**。**

**——それでも、**大幅な改善であったこと**は、確かである。〉**〉)

**起源**。

(——**中国**。

〈**——**先行する形として、**「胸帯式」**(breast-strap harness)が、**戦国時代から漢代**に、現れる**。

**——**首ではなく、**胸に、幅の広い帯**を、当てる**。

**〈——これだけでも、**大きな改善である**。〉**

**そして、**硬い枠の首輪**(頸環)が、**北魏から唐**の絵に、描かれている**。

**〈——敦煌の壁画。〉**

**——**5世紀から、遅くとも9世紀までに、成立していた**、と考えられている**。〉

**ヨーロッパへ**。

〈**——**中央アジアの遊牧民**を、経由した、と考えられている**。

**——**そして、**9世紀から10世紀**、**北ヨーロッパに、現れる**。

**〈——最初期の図像**——**トリアーの写本**(9世紀)**、**

**バイユーのタペストリー**(11世紀)に、**明瞭に、描かれている**。〉**〉)

**そして、何が、変わったか**。

(**(1)**重量有輪犂**。

〈**——**北ヨーロッパの土は、**重い粘土質**である**。

**——**地中海の、乾いた軽い土とは、違う**。

**そして、**それを耕すには、**土を切り、起こし、反転させる**、**重い犂**が要る**。

**〈——刃(コールター)、鋤先(プラウシェア)、そして撥土板(モールドボード)。〉**

**——**それを引くには、**大きな力**が要る**。

**〈——牛を、六頭から八頭、繋ぐ。**

**——そして、遅い。〉**

**——**馬なら、**二頭で、より速く、引ける**。〉

**(2)**耕せる面積が、増えた**。

〈**——**馬は、牛より、**一日に、長く、速く、働ける**。

**——**同じ人手で、**より広い畑を、耕せる**。〉

**(3)そして、**村の形**。

〈**——**馬が使えると、**畑まで、遠くても、通える**。

**——**それまで、**畑のそばに、住まなければならなかった**。

**——**散在する農家から、**大きな村に、集まって住む**ようになった、という議論がある**。

**〈リン・ホワイト・ジュニアの主張。**

**——そして、この因果を、**単純化しすぎている**、という批判もある。〉**〉

**(4)そして、**三圃制**。

〈**——**畑を、三つに分ける**。

**冬穀(小麦、ライ麦)/春穀(大麦、燕麦、そして豆類)/休閑**。

**——**それまでの二圃制(作付けと休閑を、半分ずつ)より、**収穫が、増える**。

**そして——**春穀に、**燕麦**を作れる**。

**——**燕麦は、**馬の飼料**である**。

**〈——馬を、養える。**

**そして、**馬が、耕す**。**

**——循環している。〉**

**さらに、**豆類が、**土に窒素を入れる**。〉)

**そして、代償**。

(——**馬は、**牛より、金がかかる**。

〈**(1)**飼料**。

**——**牛は、**草を食べる**。

**——**馬は、**穀物(燕麦)が、要る**。

**〈——重い仕事をさせるなら。〉**

**(2)**蹄鉄**。

**——**鍛冶屋が、要る**。**そして、**定期的に、金がかかる**。

**(3)そして、**食えない**。

**——**牛は、**働けなくなったら、食べられる**。

**——**馬は、**中世ヨーロッパで、**食べる習慣が、薄かった**。

**〈——732年、**教皇グレゴリウス3世**が、**馬肉食を、異教の習慣として禁じた**、とされる。**

**——そして、その影響の大きさについては、議論がある。〉**〉

**——**だから、**貧しい農民は、**牛を、使い続けた**。

〈**——**馬が、農耕の主役になるのは、**地域によっては、はるかに後**である**。

**そして、**牛と馬が、**併存し続けた**。〉)

**そして、終わり**。

(——**内燃機関**。

〈**——**19世紀末から20世紀前半**。

**——**トラクターと、トラック**。

**そして、**馬が、農村から、消えた**。

**〈——アメリカの農用馬・騾馬の頭数は、**1918年頃の約2,600万頭を頂点に、**

**1960年には、300万頭を下回った**。〉**〉

**——**千年、**ヨーロッパの農業を支えた仕組み**が、**数十年で、無くなった**。

〈**——**そして、**「馬力」**という単位だけが、残った**。〉)

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